未経験でも就労しやすい介護職は、定年を迎えた60代が再就職先に選ぶケースも増えています。
未経験から介護をしてみたいけどデメリットや注意点を知っておきたい。
介護の資格や職場はどんなところがあるのか知りたい
上記のような60代未経験から介護職に転職したい方はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では60代未経験から介護職に転職するメリット・デメリットを解説。また介護転職を成功させるためのポイントや注意点、さらに介護資格や介護の施設についてもまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
60代介護職員の労働現状
60代男女別の就業率
介護・福祉分野で働く、サービス提供責任者、看護職員、ケアマネジャー、生活相談員・支援相談員、PT、OT、ST等、管理栄養士・栄養士、福祉用具専門相談員、介護職員、訪問介護員の9職種の職員合計のうち、60代の就業率は男性で8.6%、女性で19%と、女性が男性の約2.5倍となっています。
20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60歳以上 | |
男性 | 24.5% | 34.8% | 18.7% | 10.7% | 8.6% |
女性 | 9.7% | 17.9% | 25% | 25.6% | 19% |
出典 介護労働安定センター
60代職種別の就業率
60代男女の就業率を特に介護職員と訪問介護員についてみると、介護職員では12.0%、訪問介護員では31.6%でした。
介護職員の各年代別での就業率では60代は最下位となってますが、訪問介護員では就業率が1番高く、60代で活躍している訪問介護職員が多いことがわかります。
20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60歳以上 | |
介護職員 | 19.0% | 24.0% | 22.4% | 19.7% | 12.0% |
訪問介護員 | 4.4% | 11.5% | 22.9% | 27.5% | 31.6% |
出典 介護労働安定センター
60代未経験が介護職に転職するメリット
【メリット①】スキルアップの機会を得られる
まだ現役で働けるといっても、他の業界では60代から昇格する機会はほぼありません。
しかし、介護職の場合は年齢にかかわらず、資格取得をしていって正社員になり、管理者などを目指すことも可能ですし、中には実務経験を積んで必要な資格を取ったあと、自分で介護事業を立ち上げるという方もいて、この年代から新たにスキルアップを目指せるのはメリットです。
【メリット②】人生経験を生かせる
これまで職場や家庭で培ってきた仕事や作業スキル、または対人スキルなど、人生経験を仕事に生かせるのもメリットです。
60代ではすでに親の介護を終えたという人も少なくありませんが、そんな中で感じた「こうした方がよかった」という改善点や、「これは喜んでもらえた」という貴重な経験も、仕事の場で役立てられます。
【メリット③】安心感を持ってもらえる
他の年代の職員よりも、利用者と年齢が近いので共通の話題が多く、利用者には分かり合える安心感を持ってもらえます。
昔の歌や映画など知っているものが同じ、という些細なことでも、高齢者にとっては嬉しいものですし、近しく感じる人とは信頼関係も作りやすくなります。
信頼感があれば意思の疎通もスムーズになって介護もしやすく、利用者と介護者、お互いにとってメリットになります。
60代未経験が介護職に転職するデメリット
【デメリット①】体力的につらい
60代になると体力の衰えは否めませんが、他の年代の職員と同様に仕事をしなければならないので、その点はデメリットになります。
疲れを溜めないよう健康管理をしっかりする、無理のない短時間勤務を選ぶなど、つらさを軽減する働き方の工夫が必要です。
【デメリット②】記憶力や理解力の不安
体力的な問題と同様に、60代では知識・理解についても、若い年代の人よりも記憶力や理解の速さで遅れを取ってしまうところがあります。
介護職には技術とともに、介護保険法などの制度や、認知症を始めとする高齢者の疾病に関する知識なども必要になりますが、新たに勉強する場合も覚えにくい、また一度学んでも忘れてしまいやすく、努力が必要な点はデメリットでしょう。
【デメリット③】パソコン操作が必要
介護職員は介護が仕事ですが、利用者の介護記録や報告書の作成など、パソコンを使う場面も多くあります。
60代は、若い年代に比べパソコンに苦手意識を持つ人も多く、触ったことも無いという人もいて、データ管理や操作を一から覚えなければいけないのが、60代にとってはデメリットといえます。
逆にパソコンが得意な方は重宝される存在になるでしょう。
未経験から介護転職を成功させる5つのポイント
ポイント① 自分に合った施設を選ぶ
介護施設には実は多くの種類があり、利用者の介護をする、という点では同じですが、
など、違った特徴を持っています。
例えば、
人前で話したり明るくイベントを仕切ったりするのが得意な人は通所介護が向いています。
利用者に寄り添いじっくり向き合うことが得意な人には在宅介護が向いています。
体力に自信があったりチームでケアをしたい人には施設介護が向いています。
自分の性格や得意分野を生かせる職場を選ぶことが転職成功のポイントのひとつです。
ポイント② 自分に合った雇用形態、勤務時間
介護職には正社員・パート・アルバイトなど雇用形態も働く時間帯もいろいろあるので、家庭重視の働き方なのか、バリバリ稼いでスキルアップもしていくことが目標なのかなど、どのように働きたいかを明確にして職場と働き方を選ぶと失敗がありません。
将来は管理者等を目指しているなら正社員としてフルタイムで、家庭や子どもを優先して働くなら日勤のみの勤務や短時間のパート、少ない日数で稼ぎたいなら夜勤だけの夜勤専従という働き方もあります。
自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことで、無理なく勤務を続けられます。
ポイント③ 資格取得しておく
転職成功のいちばんのポイントは、介護職の基本となる「介護職員初任者研修」資格を取得しておくことです。
資格を持っていることで採用される確率も上がりますし、未経験であっても有資格者では無資格者に比べて給与額も高くなります。
介護職員初任者研修資格は、130時間の講習受講が必要で、通常3か月ほどかかるのですが、スクールによってはひと月程度で受講できるカリキュラムを組んでいるところもあります。
また、雇用保険の受給が終了した人、雇用保険を受給できない人が該当するハローワークの求職者支援制度を使うと、教材代等自己負担は多少かかりますが講習は無料で受講することも可能です。
ポイント④ 実際に職場を訪問してみる
見学会や説明会などを行っているところでは、実際に案内してもらうこともできますが、もしそうした機会が作られていなくても、面接で訪問した時にさりげなく職員や施設内の様子を見ておきましょう。
施設内の隅々まで清掃が行き届いていたり、季節の装飾がされているような職場は、余裕をもって仕事ができている、という目安にもなりますし、職員が声を掛け合っていたり笑顔が多い職場は、未経験者も安心して勤務できるでしょう。
ポイント⑤ 介護転職エージェント&介護求人サイトを活用する
介護経験者であっても人間関係が良い職場や高給与の職場を探すのは、コネや信頼性のある介護人脈が無い限り非常に困難です。そこで利用するべきなのが「介護転職エージェント」と「介護求人サイト」です。
- 「介護転職エージェント」
プロのアドバイザーがあなたの希望する職場を無料で紹介してくれます。 - 「介護求人サイト」
介護求人のみが掲載されているので見やすく気に入った求人に自分で応募します。
転職エージェントは各介護施設や事業所の内部情報を把握していますので、紹介してくれる職場は「人間関係が良い」「高給与」「好待遇」なところが多いです。
▼「介護転職エージェント」人間関係が良く高給与の介護求人を無料で探してもらう
▼「介護求人サイト」自分で介護求人探して応募する
60代未経験で介護に転職する3つの注意点
【注意点①】無理のない勤務を
勤務時間や業務内容は、自分の体力も考慮して無理なく続けられるように選びましょう。 直ぐにからだを壊して辞めるとなれば、せっかく採用してくれた職場にも迷惑をかけることになります。
体力的に不安があるなら、短時間勤務から経験してみて慣れたらシフトを増やしてもらうとか、デイサービスの送迎業務など体力的な負担があまりない業務を選ぶようにしましょう。
【注意点②】以前のキャリアにこだわりすぎない
まだまだ現役で働ける上に時間の融通が利く60代は、即戦力として歓迎される一方、この年代の男性職員はあまり採らないという雇用側の声もあります。
これは、壮年期の男性すべてというわけではないのですが、中には前職よりも介護職を下に見ていたり面接に来ても前職の成果ばかりを話すなど、自己中心的な傾向の人がみられるのが理由です。
未経験で転職するのですから、新たな職場で一から学ぶ、利用者のために働く、という意識が大切です。
【注意点③】職場に溶け込む努力
介護はひとりひとりで作業しているように見えても、チームで働くことが多く、利用者に関する情報の共有や職員同士の協力が欠かせません。
普段からコミュニケーションをはかり、意思疎通をスムーズにしておくことも大事な仕事です。
特に男性の場合、女性の多い職場環境になり、先輩職員が女性や年下であることも多いはずですが、これまでと全く違った状況に興味を持ち楽しむように心がけると、人間関係もうまくいくでしょう。
介護職の資格の種類
介護職の代表的な3つの資格をご紹介します。
そのほか介護の資格はまだまだたくさんありますのでご覧ください。
参考 介護資格一覧表【22選】|種類・難易度・通信通学講座料金・受験資格・期間を比較
介護職の施設の種類
介護の施設・事業所には次のようなものがあります。
介護の仕事は職場によってそれぞれメリット・デメリットがありますので、仕事内容や一日の流れ、給料などをチェックしてみましょう。
介護施設一覧 | |
高齢者施設 | ・特別養護老人ホーム(特養) ・介護老人保健施設(老健) ・介護療養型医療施設 ・サービス付き高齢者向け住宅 ・介護付有料老人ホーム ・認知症対応型グループホーム |
通所型事業所 | ・デイサービス(通所介護) ・小規模多機能型居宅介護 |
訪問介護事業所 | ・訪問介護 |
障害者施設 | ・障害者施設 |
おわりに
定年を迎えても嘱託や再雇用という形で雇用する職場が多く、年齢にかかわらず働き続けられるのが介護職の良いところです。
70歳を過ぎて現役介護職員として元気に働いている人もいるのは、社会に出ることで気力や体力を保てているからかもしれません。 これまでのキャリアとはまた違った生きがいや、やりがいを見出せる仕事ですから、迷っている方は一度チャレンジしてはいかがでしょうか。
- 参考 介護転職の流れ
- 参考 履歴書の書き方
- 参考 面接の服装・身だしなみ
- 参考 面接の退職理由【例文あり】
- 参考 面接の志望動機【例文あり】
- 参考 円満退職するまでの流れ