介護福祉士の定義は、
第四十二条第一項の登録を受け、介護福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上又は精神上の障害があることにより日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護(喀痰吸引その他のその者が日常生活を営むのに必要な行為であつて、医師の指示の下に行われるものを含む。)を行い、並びにその者及びその介護者に対して介護に関する指導を行うことを業とする
とされており、社会福祉士・介護福祉士法に基づき1987年に国家資格制度として制定されました。
介護福祉士の仕事内容
日常生活全般を支援する
介護福祉士とは、国家資格の一つで、通称CW:(Certified Care Worker)ケアワーカーとも呼ばれています。
介護福祉に関する専門的な知識および技術を持って、寝たきりや認知症高齢者、身体障害者、知的障害者など介護を必要とする人たちやその家族を対象に、心身の状況に応じた介護をしたり、介護に関する指導を介護者に行います。
医療関係者~利用者家族まで幅広く対応
具体的には、病気の初期症状の観察、服薬の介助、水分補給、通院の付き添い、医療関係への連絡、救急時の対応などの健康管理、家族や友人近隣の人々などとの対人関係の調整・促進、電話の代行、余暇活動の企画と参加などの社会活動、さらには介護計画立案や記録、家族に対する介護指導や助言なども行います
いずれにしても、常に利用者の生命の安全と人権の尊重を踏まえ、的確な介護を行う一方、本人の残存能力をできるだけ引き出して自立を支援することが求められます。
介護福祉士の将来性
将来性やニーズが非常に高い資格
今後、2025年には65歳以上の高齢人口は約3,600万人以上になり家族だけで介護をすることは困難が予想されます。
体力的にきつい仕事というイメージがありますが、高齢化の進行や国民の福祉ニーズの多様化、地域密着型サービス、介護予防サービスのマンパワーとしての期待が高まっています。
就職をする際には、介護福祉士の資格を取得していた方が有利ですし、給料面でも資格手当が付きます。
転職をする場合、50歳以上であっても介護福祉士の資格を持っているだけで転職は可能です。それくらい人手不足の業界であり、ニーズが高い資格と言えます。
介護福祉士の登録者数
しかし介護が必要な老齢者の数が爆発的に増えていて、それでも人手が足りていないのが介護業界なのです。今まさにもっとも社会に必要とされている資格の1つと言えます。
以下のグラフを見ても分かる通り、社会福祉士や精神保健福祉士に比べて介護福祉士の需要は年々ものすごい勢いで高まっています。
介護福祉士の就職・転職先
介護福祉士はどのような働き先があるかというと
- 医療機関(総合病院、リハビリテーションセンター、診療所など)
- 在宅介護(居宅介護事業所、重度訪問介護事業所、デイサービスなど)
- 介護施設(特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームなど)
- 保健施設(保健所、保健センターなど)
- 福祉施設(児童福祉施設など)
- 身体障害者施設(重症心身障害児施設 障害者更生施設など)
- 社会福祉協議会、福祉公社・社会福祉事業団、NPO法人事業所
などの在宅や施設などの幅広い介護業界で働くことが可能です。
この時介護を行う対象は一人で活動できなくなった高齢者以外にも障害者も含まれており、障害者の介護スタッフとしての役割を担うこともあります。それ以外にも旅行などのサービス関連の職種でも活用することができます。
介護福祉士の給料
介護福祉士の資格を持っている人の給料は、だいたい月給が15万〜22万となっていて、年収にして250万円〜300万円となっており、非常勤の場合は、時給800円~1200円くらいが相場になっているようです。
給料 | 金額 |
年収 | 300万円〜400万円 |
月収 | 22万〜26万円 |
時給 | 900円~1500円 |
行政機関の場合、公務員給与規定に基づきます。
施設・病院・企業・事業所などの場合、地方公務員給与規定に準じて決める場合が多いですが、地域や規模、勤務形態によってはバラつきがあります。東京の場合、大学卒業で初任給が約195,000円ほどになります。
基本給のほか、扶養手当、住宅手当、通勤手当、超過勤務手当、調整手当、特殊勤務手当、夜勤手当、宿直手当などが付きます。賞与の有無や回数は勤務先によって異なります。
介護福祉士の受験資格取得ルート
一般的には、高校卒業後、介護福祉士の養成施設に進学し、卒業と同時に取得する場合と、所定の実務を終えて試験を受験し、合格して取得する場合の2つに大別されます。
介護福祉士の資格取得ルートは非常に細かく分かれていて、「実務経験を3年以上積む」「学校へ通う」「養成施設で経験を積む」「通信講座で通う」など様々なパターンで以下の12通りのルートがあります。
実務経験ルート
- 実務経験3年以上 + 実務者研修 ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
「実務経験3年以上」で、「介護職員基礎研修課程」と「喀痰吸引等研修(3号研修を除く)」の両方を修了している場合、「実務者研修」を修了した方と同様に受験資格となります。
福祉系高校ルート
- 新カリキュラム(※平成21年度以降入学者) ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
- 特例高校等(※平成21年度以降入学者) ▶ 実務経験9ヶ月以上 ▶ 介護技術講習 ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
- 特例高校等(※平成21年度以降入学者) ▶ 実務経験9ヶ月以上 ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験
- 旧カリキュラム(※平成20年度以前入学者) ▶ 介護技術講習 ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
- 旧カリキュラム(※平成20年度以前入学者) ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
養成施設ルート
- 高等学校等 ▶ 介護福祉士養成施設(2年以上) ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
- 高等学校等 ▶ 福祉系大学等 ▶ 介護福祉士養成施設1年以上(社) ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
- 高等学校等 ▶ 社会福祉士養成施設等 ▶ 介護福祉士養成施設1年以上(社) ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
- 高等学校等 ▶ 保育士養成施設等 ▶ 介護福祉士養成施設1年以上(保) ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
経済連携協定(EPA)ルート
- 実務経験3年以上 ▶ 介護技術講習または実務者研修 ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験免除
- 実務経験3年以上 ▶ 筆記試験 ▶ 実技試験
介護福祉士の試験内容
介護福祉士の国家試験の内容は以下になります。
試験日 | 毎年 1月下旬~2月上旬ごろ(2017年は筆記試験1/28日) |
申込書受付 | 8月~9月初め |
試験会場 | ■筆記試験 34都道府県 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、福島県 群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県 石川県、岐阜県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府 兵庫県、和歌山県、鳥取県、島根県、岡山県、広島県 香川県、愛媛県、高知県、福岡県、長崎県、熊本県 大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県 |
受験資格 | 上記参照 |
受験科目 | ■筆記試験 ◆午前 1. 人間の尊厳と自立 2. 人間関係とコミュニケーション 3. 社会の理解 4. 介護の基本 5. コミュニケーション技術 6. 生活支援技術 7. 介護過程 ◆午後 1. 発達と老化の理解 2. 認知症の理解 3. 障害の理解 4. こころとからだのしくみ 5. 総合問題 |
受験料 | 13,140円 |
試験方式 | 筆記試験は5肢択一式のマークシート方式 午前中83問、午後67問の計120問が出題 |
試験時間 | 午前 1時間50分 午後 1時間40分 |
合格基準 | 学科試験の合格基準は例年総得点の60%程度で合格となります。 配点は、1問1点の120点満点 |
合格率 | 56.4%(過去10年間の平均) |
合格発表 | 3月末 ホームページまたは受験地にて受験番号を掲示 |
お問合せ | 社会福祉振興・試験センター 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-5-6 03-3486-7559(音声案内24時間対応) |
介護福祉士の合格者状況
介護福祉士の合格率は第24回から少し上がり6割をキープしています。しかし試験内容に医療的ケアなどが盛り込まれることで筆記試験は今後より難しくなることが予想されます。
筆記試験に自信がなければ、通信講座などで学びながら試験に備えることが有効です。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
第31回 2019年 | 94,610人 | 69,736人 | 73.3% |
第30回 2018年 | 92,654人 | 65,574人 | 70.8% |
第29回 2017年 | 76,323人 | 55,031人 | 72.1% |
第28回 2016年 | 152,573人 | 88,300人 | 57.9% |
第27回 2015年 | 153,808人 | 193,760人 | 61.0% |
第26回 2014年 | 154,390人 | 99,689人 | 64.6% |
第25回 2013年 | 136,375人 | 87,797人 | 64.4% |
第24回 2012年 | 137,961人 | 88,190人 | 63.9% |
第23回 2011年 | 154,223人 | 74,432人 | 48.3% |