特定福祉用具販売とは|利用方法、選び方、料金・費用、メリット・デメリットを解説

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女性高齢者

福祉用具を購入したいけど、どこで買えばいいのかしら?

このように

  • 福祉用具を購入してみたいけど、どこで買えばいいかわからない
  • 特定福祉用具販売のメリット・デメリットが知りたい
  • 福祉用具の購入とレンタルの違いが知りたい

など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。

介護の123編集部
介護の123編集部

この記事では、特定福祉用具販売とは?、福祉用具の「レンタル」と「購入」の違い、特定福祉用具販売で購入できる品目、料金・費用、メリット・デメリット、利用方法、販売している事業所の選び方、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

特定福祉用具販売とは

特定福祉用具販売とは、

  • 要介護者の身体に直接触れる福祉用具
  • 排せつに関する福祉用具
  • 衛生面や心理面でレンタルには馴染まない福祉用具

など、対象となる福祉用具を指定販売業者から購入した場合に介護保険から給付を受けて購入することが出来る制度になります。

福祉用具を利用することで、在宅生活を送る要介護者が出来る限り長く自立した生活を送ることが出来るよう日常生活の自立支援や介護を行う家族の負担軽減を目的としたサービスです。

特定福祉用具販売を利用できるのは、年度内に10万円が上限となっており一旦全額を支払ってから申請をすることにより9割(所得により8割もしくは7割)が介護保険から支給されます。

つまり、実質1割から3割の負担で購入が可能です。

福祉用具の「レンタル」と「購入」の違いは?

介護保険を利用する「福祉用具貸与(レンタル)」「特定福祉用具販売(購入)」では対象となる品目が異なります。

福祉用具貸与(レンタル)は、定期的なメンテナンスやアフターフォローをしてもらうことが出来る点が大きな特徴ですが長く利用しても自分の物になる訳ではありません。

福祉用具を購入した場合には、入院した場合や施設へ入所した場合でも使い慣れた福祉用具を利用できるメリットがあります。

また、費用についても長く支払い続ける必要はありませんので長期間利用する場合はレンタルより割安になることもあります。

どちらがよいとは一概に言えませんので、その時々の状況や対象品目を考えてレンタルと購入を使い分けるのがよいでしょう。

特定福祉用具販売の事業所数

特定福祉用具販売事業所数は、平成29年10月度で6,305箇所が事業所の指定を受けています。

平成26年10月度が6,272箇所、平成27年10月度が6,461箇所、平成28年10月度が6,359箇所と毎年多少の増減はありますが、事業所数に大きな変化は見られません。

特定福祉用具販売の事業所数

参考 厚生労働省(介護サービス施設・事業所調査)

特定福祉用具販売の利用者数

特定福祉用具販売の利用者数を見ると、平成26年度で約51万1,000件の利用がありました。

特定福祉用具販売の給付金額は、平成26年度が約140.2億円、平成23年度が約138億円、平成20年度が約119.3億円とその数は徐々に増加しています。

要介護度別給付割合 2014年

要介護度 給付件数(利用者数)
要支援1 約6万5,000件
要支援2 約8万2,000件
要介護1  約10万2,000件
要介護2 約10万8,000件
要介護3 約7万4,000件
要介護4 約5万6,000件
要介護5  約2万4,000件

参考 厚生労働省(福祉用具・住宅改修)

特定福祉用具販売で購入できる品目

特定福祉用具販売を利用して購入できる品目は以下の5種目です。それぞれどのような種目かを見ていきます。

【1】腰掛便座

特定福祉用具販売を利用して購入できる腰掛便座は以下に該当するものです。

1-1 和式便器の上に置いて腰掛式に変換するもの

和式便器の上に設置して腰掛式(洋式便器)の形状にするものです。和式便器の場合には、しゃがんだり立ち上がったりする場合に膝に負担がかかり転倒の危険もあります。

和式便器から洋式便器へ改修をする場合には、介護保険の住宅改修を利用できますが費用面や賃貸住宅の場合など改修が難しい場合には腰掛式便器を設置するという方法が便利です。

1-2 洋式便器の上に置いて高さを補うもの

便座が低くて立ち上がりの際に膝に負担がかかる場合に使用します。乗せるだけで簡単に高さ調整が出来るがタイプが多く大掛かりな工事などは必要ありません。

1-3 電動式又はスプリング式で便座から立ち上がる際に補助できる機能を有しているもの

便座から立ち上がる際に、電動やスプリングの動力を使用して立ち上がりの補助をする機能を搭載しているものです。

便座が垂直に持ち上がるものや後方から斜めに持ち上がるものがあり、車椅子などからの移乗がやりやすいように手すりが取り外せるものなどもあります。

便座に機器を設置するため、狭いトイレ内では使用できない場合もあります。

1-4 便座、バケツ等からなり、移動可能である便器(居室において利用可能であるものに限る

ポータブルトイレと呼ばれる、移動が可能な便器です。トイレまでの移動が困難な方や場合やトイレ内に車椅子が入れない場合などに活躍します。

ベッドサイドなど日常いる場所の近くに置いておくことにより、スグに使用できる利点があります。

最近では様々なタイプのものが販売されており、居室内に置いておいても違和感のない家具調のタイプやウォシュレット付きのタイプ、水洗式で家庭のトイレと変わらない機能を持つタイプなども出てきています。

しかし、高機能なものは価格も高額な傾向があります。

【2】自動排泄処理装置の交換可能部品

尿や便を自動で吸引する自動排泄処理装置は介護保険でレンタルをすることが出来ます。

自動排泄処理装置は、尿を貯める本体と尿を受けるレシーバーやチューブで構成されており本体以外の交換可能部品については、レンタルの対象ではなく購入をしなくてはいけません。

尿意があっても移動が難しい場合などに使用するため、尿意がない方や尿が出て続ける方は利用が出来ません。

なお、自動排泄処理装置はあまり多くの種類がなく定期的な清掃も必要となりますので導入する際には注意が必要です。

【3】入浴補助用具

特定福祉用具販売では、安全に入浴を行うために下記の入浴補助用具が対象となっています。

3-1 入浴用椅子(シャワーチェア・シャワーキャリー)

座面の高さが35センチ以上かリクライニング機能を有するものが対象となっています。

利用者の体格に合わせてコンパクトなものから大きめなもの、肘部分が跳ね上がるタイプ、折りたたみ式など様々なタイプがあります。

また、浴室内を移動するための浴室内車いす(シャワーキャリー)も対象となります。

3-2 浴槽用手すり

浴槽用手すりは浴槽の縁に挟んで固定する手すりです。

長さや大きさは様々なタイプのものがあり、浴槽の大きさや形状によっては取り付けが難しいこともあります。なお、体重をかけて使用するものなので取り付けをする際には十分注意が必要です。

3-3 浴槽内椅子

浴槽内椅子は、浴槽(湯船)の中で使用する椅子です。

身体が小柄な場合などに浴槽内に置いたり、座位の安定や立ち上がりを楽にしたりするために使用します。滑りにくい素材で作られており、高さ調整ができるタイプもあります。

3-4 入浴台(浴槽の縁にかけて利用する台であって、浴槽への出入りのためのもの)

浴槽の縁にかける入浴台で、浴槽内に安全に移乗するために使用します。

加齢により足腰が弱ってくると、浴槽をまたぐことが難しくなりまた危険になります。そのような場合に、入浴台を利用することで足腰が弱っていても安全に入浴をすることが出来ます。

3-5 浴室内すのこ、浴槽内すのこ

浴室や浴槽で使用するものです。

木製のものだけに限らず、滑り止めや水はけがよいものもあり転倒の防止や安全な入浴のために使用します。

3-6 入浴用介助ベルト

入浴時の介助は、衣服をつけていない状態で行うため掴むことが出来る場所が限られます。

入浴用介助ベルトは、要介護者が身につけることで介護者がベルトを持ち安全に移乗介助を行い介護者の負担軽減につなげるものです。

【4】簡易浴槽

空気式又は折りたたみ式等で容易に移動できるものであって、取水又は排水のために工事を伴わないものが対象です。

ポータブル浴槽と呼ばれ、居室内で入浴をするために使用します。寝たきりの場合や自宅の浴室での入浴が難しい場合に使用されます。

入浴は身体の清潔を保ち、皮膚の状態観察や気分転換など要介護者の楽しみのひとつにもなっています。

【5】移動用リフトのつり具の部品

移動用リフトは、福祉用具貸与を利用してレンタルをすることが可能です。そのリフトで使用するつり具については、レンタルの対象ではなく購入になります。

つり具にも幾つかのタイプがあり、シート状のものやベルト状のものなど用途や身体状況によって選択します。

特定福祉用具販売の料金・費用

特定福祉用具販売では購入金額を支払った後、申請することにより購入額の9割から7割が介護保険から支給されます。

一旦全額を支払った後に払い戻す方法を償還払いと呼びます。

特定福祉用具販売では年度内に購入できる金額の上限が、10万円までと決められています。

特定福祉用具販売は、入院中や介護施設への入所中の場合には利用することが出来ません。また、要介護申請を行う前の購入は対象となりませんので注意が必要です。

特定福祉用具販売の目安(1割負担の場合)

品目 タイプ 金額 自己負担
腰掛便座 腰掛式に変換するもの 20,000円 2,000円
高さを補うもの 15,000円 1,500円
電動式補助機能付き 200,000円 110,000円
ポータブルトイレ 28,000円 2,800円
ポータブルトイレ
家具調ウォシュレット付き
120,000円 30,000円
自動排泄処理装置
の交換可能部品
 女性用レシーバー  21,000円 2,100円
入浴補助用具 折りたたみシャワーチェア 40,000円 4,000円
シャワーキャリー 95,000円 9,500円
浴槽用手すり 29,000円 2,900円
浴槽内椅子 17,000円 1,700円
入浴台 32,000円 3,200円
浴室内すのこ
1.2m×1.2m 
60,000円 6,000円
入浴用介助ベルト 11,000円 1,100円
簡易浴槽 空気式 70,000円 7,000円
移動用リフトの
つり具の部品
シート型 64,000円 6,400円
脚分離型 50,000円 5,000円

 ※料金は福祉用具事業所により異なります。

特定福祉用具販売のメリット

【メリット①】介護保険を利用できるため安価で購入することが可能

特定福祉用具販売では介護保険を利用して福祉用具を購入できるため、年度内に10万円以下であれば1割から3割の自己負担で購入をすることが出来ます。

【メリット②】自分の物になるので気を使わずに使用できる

一度購入をしてしまえば自分の持ち物になるため、破損や汚れなどを気にすることなく利用をすることが出来る点は購入のメリットです。

【メリット③】新しいものを利用することが出来る

レンタルの場合には、以前誰が使っていたのだろうかと抵抗感を持つ人もいるかもしれませんが販売の場合は、新品を希望すれば誰も使用していない新品を購入することが出来ます。

特定福祉用具販売のデメリット

【デメリット①】介護保険を利用できる種類が限られる

特定福祉用具販売の対象となるのは5種類のみです。

その他の福祉用具は、レンタルを利用するか介護保険を利用しない全額自費購入に限られます。対象となる種類が限られていることはデメリットのひとつと言えます。

【デメリット②】アフターフォローが別料金

購入をした場合には、その後に福祉用具に不具合があった場合でも別料金でのメンテナンスやアフターフォローとなる場合があります。

特定福祉用具販売の利用方法

【1】問い合わせ・相談

特定福祉用具販売を利用したい場合、既に担当のケアマネジャーがいる場合にはケアマネジャーに相談をします。

介護サービスを利用しておらず、担当のケアマネジャーがいない場合には直接、福祉用具販売事業所に相談することも可能です。

 

【2】ケアプラン作成

特定福祉用具販売にはケアプラン(介護計画)が必要となります。ケアプランの作成は介護者本人が行う訳ではなく、福祉用具専門相談員が作成します。

平成24年度から、特定福祉用具販売の場合にも「特定福祉用具販売計画」(介護予防も含む)の作成が義務付けられています。

特定福祉用具販売計画は、他の介護サービスを利用しており担当のケアマネジャーがいる場合には「居宅サービス計画」に沿って作成されなくてはいけません。

 

【3】事業所の選択

介護保険を利用した特定福祉用具販売を利用するには、介護保険の指定を受けた福祉用具販売事業所を利用しなくてはいけません。

指定を受けている事業所は、ケアマネジャーからの紹介や市区町村のホームページ、介護保険情報を掲載した冊子に掲載されています。

なお、福祉用具の購入金額は事業所によって取扱う品目や購入金額が異なる場合があります。

 

【4】契約

購入したい福祉用具を福祉用具専門相談員に相談し、身体状況や住宅環境などを勘案し適切な福祉用具を選択してもらいます。

商品が決まったら、福祉用具の取扱いや料金の説明を受け、支払い方法や特定福祉用具販売の還付方法について確認し契約をします。

 

【5】市区町村に支給申請

福祉用具を購入し一旦全額の支払いを行います。その後、支給申請書や領収書、商品が分かるパンフレットや写真などを提出し介護保険からの支給申請を行います。

なお、市区町村によっては事前に申告が必要な場合や、ケアマネジャーの意見書が必要な場合などがあるので、予め福祉用具販売事業所やケアマネジャーに確認をするのがよいでしょう。

特定福祉用具販売をしている事業所の選び方

特定福祉用具販売は、介護保険の指定を受けている事業所から購入をします。

ケアマネジャーから進められるままに事業所を選ぶケースも多くありますが、事業所は自分で選ぶことが可能です。

複数の事業所を比較・検討する

取扱う福祉用具は、事業所により異なります。

幾つかの事業所から話しを聞き、説明を受けてみると比較になります。

なお、市区町村によっては自己負担分である1割から3割の自己負担のみを支払い、残りの9割から7割を直接事業所に支払う「受領委任払い」という制度が可能な場合があります。

それには事業所の登録も必要なため、そのような制度が可能な事業所を選択するという方法もあります。(全ての市区町村で行っている訳ではありません)

事業所の対応・知識を確認する

複数の事業所に福祉用具の説明や制度の説明を受けてみると、福祉用具の知識や制度への理解が深まります。

また、福祉用具販売の場合にはレンタルとは異なり、定期的なメンテナンスは求められていません。出来る限り丁寧な対応をしてもらえる福祉用具事業所を選ぶことは重要になります。

契約内容を確認する

福祉用具の取り扱い方法や料金、支払い方法などを確認します。特定福祉用具販売では、購入して終わりではなく、その後に介護保険の還付の手続きも発生します。

申請の書類などの作成も協力してくれる事業所を選ぶと還付手続きもスムーズに進みます。

おわりに

特定福祉用具販売の対象は、排泄や入浴などに関係するQOL(生活の質)に直接影響する福祉用具です。生活の質の向上は介護者の負担軽減にも繋がり、出来る限り長く在宅生活を続けるためにも重要になってきます。

在宅介護生活は、利用者本人はもとより家族にとってもいつまで続くか分からないものです。特定福祉用具販売の制度を上手く活用することで、安心した在宅生活を続けていけるはずです。

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