福祉用具貸与とは|13種目の料金・費用、メリット・デメリット、利用方法を解説

福祉用具貸与
スポンサーリンク

福祉用具貸与とは

福祉用具貸与とは、介護保険を利用して車いすや介護用ベッド等の福祉用具を借りることです。

日常生活の自立を助ける福祉用具を借りることで、可能な限り自宅において自立した生活を送ることや家族の介護負担の軽減を目的としています。

福祉用具貸与では、介護保険で貸与が可能な品目が詳細に決められており、要介護度によっても貸与が可能な品目が分けられています。福祉用具貸与の概要や利用方法について見ていきます。

介護者の負担を減らし利用者の自立を援助するサービス

介護保険法では福祉用具を「心身の機能が低下し日常生活を営むのに支障がある要介護者等の日常生活上の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、要介護者等の日常生活の自立を助けるためのもの」と定めています。

福祉用具貸与は福祉用具を借りることにより要介護者の自立支援に繋がり、合わせて介護者の負担の軽減を目的としたサービスです。

例外給付とは?

例外給付とは、要介護度が低い軽度者でも例外的に介護保険を利用して福祉用具貸与を利用できる制度です。

要介護度が高い方
車いすのレンタルは要介護2以上、自動排泄処理装置(排便機能を有するもの)のレンタルは要介護4以上など要介護度によって利用できる品目が決められています。
要介護度が低い方
福祉用具貸与が必要な身体状況の場合に、医師の意見に基づく判断や、ケアマネジャーの適切なケアマネジメントによる判断、要介護認定の調査結果からの妥当性などに基づき市区町村が認める場合には例外的に介護保険を利用した福祉用具貸与を利用することが出来ます。

これを軽度者に対する福祉用具貸与の「例外給付」と呼びます。

事業所数

福祉用具貸与事業所数は、2000年で8,066箇所、2008年で19,345箇所、2015年で6,398箇所の事業所が指定を受けて年々増えています。

福祉用具貸与の事業所数

また、福祉用具事業所の業務は福祉用具専門相談員や介護福祉士等の資格が必要とされており、従事者数も2000年で2,685人、2008年で5,579人、2015年で2万7,356人の従事者が働いています同じく増加していってます。

福祉用具貸与の従事者数

参考 厚生労働省(福祉用具貸与)

利用者数

福祉用具貸与を利用している利用者数は、2007年で約85万人、2012年で約140万人、2016年で約191万と約10年間で2倍以上にその数は年々増加しています。

福祉用具貸与の利用者数

なお、要介護度別で見てみると平成26年度は以下の数となっており要介護2以上の利用者が三分の二以上となっています。

福祉用具貸与の利用者数(要介護度別)

参考 厚生労働省(福祉用具貸与)

レンタルできる13種目の福祉用具

介護保険での福祉用具貸与の対象となっているのは以下の13品目で、品目ごとにレンタルが出来る要介護度が決まっています。それぞれどのような品目なのかを見ていきます。

【1】車いす

介護保険の対象:要介護2以上

自走用標準型車いす、普通型電動車いす又は介助用標準型車いすに限る

リクライニング車いすやティルト式車椅子も貸与の対象です。車いすは種類が豊富で、各社から様々なタイプのものが販売されています。レンタルの場合には、身体状況に合わせて乗り換えることが出来ることが大きな利点です。

車イスの給付件数

【2】車いす付属品

介護保険の対象:要介護2以上

クッション、電動補助装置等であって、車いすと一体的に使用されるものに限る

長時間座る場合の体圧分散クッションや身体の安定を保つために使用するクッション、車いすにセットするテーブルなどが対象です。

【3】特殊寝台

介護保険の対象:要介護2以上

サイドレールが取り付けてあるもの又は取り付けることが可能なものであって、次に掲げる機能のいずれかを有するもの
一 背部又は脚部の傾斜角度が調整できる機能
二 床板の高さが無段階に調整できる機能

電動もしくは手動で高さや背上げ、足上げなどを行うことが出来るベッドが対象です。身体の状況に合わせたベッドをレンタルできる点や、不要になった場合にすぐに返却することが出来る点が利点です。

福祉用具事業所によっては、要介護1以下の場合であっても、介護保険を利用しない「自費レンタル(全額自己負担)」と言われる方法が出来る場合もあります。

特殊寝台の給付件数

【4】特殊寝台付属品

介護保険の対象:要介護2以上

マットレス、サイドレール等であって、特殊寝台と一体的に使用されるものに限る

身体状況が変わった場合に別のものをレンタルできることは大きな利点です。 車椅子からベッドに移動するためなどに利用されるスライドボードなども貸与の対象品目です。

【5】床ずれ防止用具

介護保険の対象:要介護2以上

次のいずれかに該当するものに限る。
一 送風装置又は空気圧調整装置を備えた空気マット
二 水等によって減圧による体圧分散効果をもつ全身用のマット

褥瘡(じょくそう)の改善や予防に資する福祉用具をレンタルして利用者、家族の負担軽減に繋げるためのものです。

床ずれ防止用具の給付件数

【6】体位変換器

介護保険の対象:要介護2以上

空気パッド等を身体の下に挿入することにより、居宅要介護者等の体位を用意に変換できる機能を有するものに限り、体位の保持のみを目的とするものを除く

体位変換は、身体の一方向に体重がかかって褥瘡になることを予防したり、家族の介護負担を軽減するために使用したりします。

体位変換器の給付件数

【7】手すり

介護保険の対象:要支援1以上

取付けに際し工事を伴わないものに限る

手すりにも様々なタイプのものがあり、立ち上がりを補助する手すりや便器のサイドに置いて立ち上がりを補助する手すりなどがあります。

なお、工事を伴う据え付けを行う手すりについては、介護保険の住宅改修を利用することが出来ます。

手すりの給付件数

【8】スロープ

介護保険の対象:要支援1以上

段差解消のためのものであって、取付けに際し工事を伴わないものに限る

階段や部屋の段差、上がりかまちなどに取り付けるタイプのもので移動が出来るタイプが対象です。手すりと同様に、工事を伴うものは介護保険の住宅改修を利用することが出来ます。

スロープの給付件数

【9】歩行器

介護保険の対象:要支援1以上

歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するものであって、次のいずれかに該当するものに限る。
一 車輪を有するものにあっては、体の前及び左右を囲む把手等を有するもの
二 四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの

シルバーカーと言われるものやパイプで出来ている歩行器、身体を預けて歩くことが出来るタイプなど様々な種類があります。歩行器には様々な種類のものがあるので、身体の状況に合わせて最適なものを選ぶことが可能です。

歩行器の給付件数

【10】歩行補助つえ

介護保険の対象:要支援1以上

松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ及び多点杖に限る

カナディアン・クラッチは、一歩足の杖と体重を支えるグリップで肩に近い上腕部を支えるカフのある杖です。ロフストランド・クラッチは同様に、肘より下の前腕部で支えるタイプです。

プラットホームクラッチは、杖の上部にある対話な部分に肘を置き、腕を固定した状態で使用する杖でリウマチの方などに用いることが多いタイプです。多くの高齢者が使用している、支えが一点の杖は福祉用具貸与の対象にはなりません。

歩行補助つえの給付件数

【11】認知症老人徘徊感知機器

介護保険の対象:要介護2以上

介護保険法第五条の二第一項に規定する認知症である老人が屋外へ出ようとした時等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの

コールマットと呼ばれる、ベッドサイドに敷いてセンサーを踏んだ場合に音が鳴るタイプや赤外線による移動の感知、ドアの開閉を感知して音がなるものなどがあります。

徘徊感知機器の給付件数

【12】移動用リフト

介護保険の対象:要介護2以上

床走行式、固定式又は据置式であり、かつ、身体をつり上げ又は体重を支える構造を有するものであって、その構造により、自力での移動が困難な者の移動を補助する機能を有するもの(取付けに住宅の改修を伴うものを除く。)

ベッドから車いすやポータブルトイレへの移動のために吊り上げるリフト、段差解消や階段移動のためのリフト、立ち上がりを補助するリフトが対象になります。

移動用リフトの給付件数

【13】自動排泄処理装置

  • 尿のみを吸引するもの
    介護保険の対象:要支援1以上
  • 尿便両方を吸引するもの
     介護保険の対象:要介護4以上

尿又は便が自動的に吸引されるものであり、かつ、尿や便の経路となる部分を分割することが可能な構造を有するものであって、居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に使用できるもの(交換可能部品(レシーバー、チューブ、タンク等のうち、尿や便の経路となるものであって、居宅要介護者等又はその介護を行う者が容易に交換できるものをいう。)を除く。)

寝たままや座ったままの状態で排泄を処理する装置で、排便や排尿をセンサーが感知し吸引します。主に自力での排泄が困難な方が利用するためのものです。交換部品については、介護保険の福祉用具購入を利用することが出来ます。

福祉用具貸与にかかる料金・費用

福祉用具貸与では、負担割合に応じて1割から3割を自己負担します。福祉用具貸与は事業所ごとに価格を決めることが出来るため、同じ品物であっても事業所によって価格が異なります。

以前は、価格の上限規制もなく事業所が独自に決めることが出来たために高額な料金の事業所もあり問題となっていました。2018年度からは、個別の品目ごとに価格の上限が決められることになりその価格を超えた請求は出来なくなりました。

福祉用具貸与(レンタル)料金の目安(1割負担の場合)

品目タイプ金額自己負担額
車イス自走用モジュールタイプ8,000円800円
介助用多機能6,000円600円
ティルト式9,000円900円
電動車イス25,000円2,500円
車イス付属品体圧分散クッション2,000円200円
姿勢保持クッション1,200円120円
車いすテーブル2,000円200円
特殊寝台3モーターベッド10,000円1,000円
2モーターベッド8,000円800円
超低床2モーターベッド13,000円1300円
特殊寝台付属品防水マットレス2,000円200円
開閉式L字柵2,000円200円
スライドボード3,000円300円
床ずれ防止用具床ずれ防止マットレス5,000円500円
エアマット10,000円1,000円
体位変換器ウレタン内蔵1,600円160円
体圧分散機能2,000円200円
手すりロングタイプ3,000円300円
段差対応型11,000円1,100円
立ち上がり用4,000円400円
トイレ用5,000円500円
スロープ長さ2m7,000円700円
伸縮3m6,000円600円
段差乗り越え用500円50円
歩行器コンパクトタイプ3,000円300円
大型キャスター式2,500円250円
折りたたみ式4,000円400円
コの字型2,000円200円
歩行補助杖軽量4点杖1,500円150円
ロフストランドクラッチ1,500円150円
松葉杖2本組1,500円150円
認知症老人徘徊感知機器センサーマット8,000円800円
赤外線センサー式7,000円700円
ドア開閉センサー式5,000円500円
移動用リフトベッド固定式18,000円1800円
稼働式16,000円1600円
段差解消機14,000円1400円
自動排泄処理装置センサー式8,000円800円

参考 株式会社ヤマシタ

「福祉用具貸与(レンタル)」と「福祉用具購入」の違い

介護保険を使った福祉用具の利用には、「福祉用具貸与(レンタル)」と「福祉用具購入」があります。
違いを1つずつ見ていきましょう。

 貸与(レンタル)購入
レンタル元
販売元
福祉用具貸与事業所
または
特定福祉用具販売事業所
特定福祉用具販売事業所
対象品目・車イス
・車イス付属品
・特殊寝台(電動ベッド)
・特殊寝台付属品
・床ずれ防止用具
・体位変換器
・手すり
・スロープ
・歩行器
・歩行補助杖
・移動用リフト
・徘徊感知機器
・自動排泄処理装置
・腰掛け便座
・自動排せつ処理装置の交換可能部分
・入浴補助用具
・簡易浴槽
・移動用リフトの釣り具の部分
利用者負担1ヶ月あたり1割~3割年度内上限10万円
購入後、申請にて
購入額の9割~7割が支給

福祉用具貸与のメリット

【メリット1】安価で利用することが出来る

介護保険を利用して負担割合証に応じ、1割から3割の負担でレンタルをすることが可能です。

【メリット2】必要な期間だけ利用することが可能

福祉用具貸与では、必要な期間だけ利用することが可能です。不要になった場合に引き上げてもらうことが出来る点は大きなメリットです。

【メリット3】定期的なメンテナンスが受けられる

貸与事業所が定期的にアフターフォローをしてくれるため、不具合が起こった場合には別のものに交換してくれます。購入の場合には、期間が経過するとアフターフォローが難しい場合もあるのでレンタルならではの利点です。

【メリット4】身体状況に合わせて交換が可能

介護が必要な期間が長くなると、身体状況が変わることもあります。その時の身体状況に合わせた福祉用具に交換できることはレンタルのメリットです。

福祉用具貸与のデメリット

【デメリット1】借り物であるため利用に気を使わなくてはいけない

福祉用具貸与は福祉用具事業所から一時的にレンタルを受けるものです。そのため、借り物であることから破損や汚れが無いように気を使わなくてはいけないことはデメリットのひとつと言えそうです。

【デメリット2】長期間利用しても自分のものにはならない

一時的にレンタルを受けているので、長期間利用しても自分のものにはなりません。利用が長期間に及んだ場合には購入をした方が割安な場合もあります。

福祉用具貸与の利用方法

福祉用具貸与の利用方法

福祉用具貸与は、他の介護サービスと同様に要介護・要支援認定を受けてケアプラン(介護計画)に基づいて利用することになります。実際の流れを見ていきます。

問い合わせ・相談

福祉用具貸与の利用を検討する場合、ケアマネジャー若しくは地域包括支援センターに相談をします。

介護保険からの給付(支払い)を受けるためには「要介護・要支援認定」と「ケアプラン(介護計画)」が必要になります。まだ介護認定を受けていない場合には、利用の前に介護申請をすることが必要です。

 

ケアプラン作成

福祉用具貸与は介護保険のサービスなので、ケアプラン(介護計画)で必要性が認められて初めて利用することが出来ます。ケアプランの作成は、担当のケアマネジャーが行います。

ケアマネジャーがその方の状態に合わせたプランを作成するので、聞き取りの中で福祉用具のレンタルを相談しプランに盛り込んでもらいます。

 

事業所の選択

利用したい福祉用具が決まったら福祉用具事業所に相談をします。事業所の選定にあたっては希望する特定の事業所がない場合には、ケアマネジャーに紹介をしてもらうことも可能です。

ケアマネジャーは複数の要介護者を担当しているため、地域の事業所に詳しいことが多く適切なアドバイスをもらえます。

 

契約

事業所を選択したら、直接もしくはケアマネジャーから連絡をします。福祉用具事業所の職員は、福祉用具専門相談員やその他の専門職の資格を持っている職員です。

要介護者の状況や自宅内の様子などから適切な福祉用具を紹介してもらいます。その後に利用料金や契約内容をチェックして契約を結びます。

 

メンテナンス

福祉用具のレンタルが開始されても納品をして終わりという訳ではありません。安心して福祉用具を使用するために定期的なメンテナンスやアフターフォローが必要です。

使用する福祉用具の不調や身体状況が変化した場合など、別の物に替えてもらうことが出来る点もレンタルの強みです。

また、レンタル中に入院した場合などは介護保険を利用することが出来ず全額自己負担となります。しかしベッドなど大型の福祉用具については、短期間の入院などの場合にその都度引き上げることは難しく、事業所によっては短期間であれば設置したままにしておいてくれる場合もあります。

それにより退院が決まったらスグに自宅に戻れるという利点もあります。

福祉用具貸与の選び方

ポイント

福祉用具貸与事業所は数多くあります。しかし、扱う品目や金額は事業所によって少しずつ異なります。それでは、どのような点から事業所を選べばよいでしょうか。

複数の事業所を比較・検討する

福祉用具事業所は、介護保険の指定を受けています。そのため、市区町村のホームページや地域の介護保険情報の冊子に掲載されているケースが大半です。

その中から複数の事業所に話しを聞いてみたり、ケアマネジャーから紹介をしてもらったりして比較検討することも可能です。

事業所の対応・知識を確認する

福祉用具事業所に話しを聞いてみて、どのような対応をしてもらえるのかを確認します。

特に、緊急時の対応や入院時の対応など何かあった場合にすぐに対応してもらえる事業所を探すことは重要なポイントです。

契約内容を確認する

介護サービスは利用者と事業所の契約によって成り立ちます。契約書や重要事項説明書は細かな文字で書かれていることもあるので、不明な点があれば事業所やケアマネジャーに確認をしましょう。

おわりに

福祉用具貸与は、介護保険から給付を行い自立した生活が継続できるように支援をするものです。介護はいつまで続くか分からず期限の決まったものではありませんので、その時々で必要な福祉用具をレンタルできることは在宅生活を継続するうえで心強いサービスのひとつです。

福祉用具を上手く活用し、利用者・介護者が出来るだけ負担の少ない生活を送ることは介護保険の主目的である自立支援に繋がります。

公的介護保険
スポンサーリンク
スポンサーリンク
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします。
この記事が気に入っていただけましたら、シェアをお願いします
スポンサーリンク
介護の123
タイトルとURLをコピーしました