親の要介護の区分が決まったんだけど、思ったより低いので不服申し立てしたいんだけどどうやってすればいいの?
このように
- 要介護認定の不服申し立てについて詳しく知りたい方
- 区分変更の申請方法が知りたい方
- 不服申し立てのメリット・デメリットが知りたい方
など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、不服申し立てとは、不服申し立て期間のサービス利用は?、介護認定に差が出るわけ、主治医の意見書は正確に書いてもらう、区分変更の申請とは、不服申し立てと区分変更のメリット・デメリット、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
不服申し立てとは?
不服申し立てとは、認定された要介護(要支援)区分に対して疑問や不満がある場合に、都道府県に設置された「介護保険審査会」に対し行われた審査が妥当かどうかを審査してその決定を取り消してもらうことが出来る制度です。
不服申し立ては、要介護認定の通知を受け取った翌日から3ヶ月以内に行わなければなりません。
書類の確認をしておこう
市町村の介護保険を管轄する窓口に行き、
- 要介護認定調査で使われた認定調査票
- 主治医意見書
を入手します。
その書類に目を通して、実際の状態と異なる点があれば明確にしておきましょう。
現在は記事下に書いてある「区分変更申請」の方が一般的で有効な方法になります
不服申し立て期間のサービス利用は?
不服申し立てを行っている期間でも、以前の認定の有効期間が残っていればサービスの利用は可能です。
不服申し立ては、市区町村が行った「介護認定審査会」の決定を審査するもので「介護保険審査会」が独自に認定をやり直すものではありません。
- 介護保険審査会で取消が決まった場合
有効期間が残っていなければ介護認定が無いものと解釈される可能性があります - 認定期間が残っていない場合
介護保険が利用できないので全額自己負担となる可能性もあります
不服申し立てを行う場合で、介護サービスの利用が継続して必要な場合には各市区町村と慎重に協議をすることが必要です。
なぜ介護認定に差が出るのか?
介護認定では、介護サービスの必要度を判断するために「どれくらい介護の手間がかかるか」を基準として要介護度が決定されます。
そのため家族の感じる「大変さ」や「病気の重さ」と実際の介護認定には差が生じる可能性があります。
こんなに介護が大変なのになんで要介護度が低いの?
同じような身体状況の高齢者であっても認知症や家庭状況などによっても差が生じます。
夜中に徘徊や大声で叫ぶなど認知行動があるが、訪問調査員が来て聞き取り調査をした時はしっかりと受け答えをする
買い物をしても目的の物を買ってこれなかったり、服薬管理ができない症状がある
AさんもBさんも認知症がありますが、行動や状況が違うため介護認定も違ってきます。
「主治医の意見書」は正確に書いてもらう
介護認定は、
- 訪問調査員が実際に申請者に面談をする「訪問調査」
- 主治医に依頼する「意見書」
が判断材料になります。
そのため訪問調査で現状を正確に伝えることはもとより、普段から気軽に何でも相談できるかかりつけ医を持つなど、より正確に意見書に記入をしてもらえるようにすることも重要です。
なお、かかりつけ医を持つことは日本医師会でも推奨されています。
区分変更の申請とは?
区分変更申請とは、現に受けている要介護(要支援)認定の有効期間中に心身の状態が変わり、現状の要介護度と合わない状態となった時に、有効期間の満了を待たず要介護度を変更する目的で行う申請です。
区分変更の申請方法
区分変更の申請は、希望する場合いつでも行うことが出来ます。
初回の介護認定を受ける場合と同様に、各市区町村の窓口で申請を行いますが、既に担当のケアマネジャーがいる場合にはケアマネジャーを通じて変更申請を行うことが一般的です。
区分変更をしたいのですが
介護保険の区分変更の申請ですね。
区分変更の申請では、初回の認定調査と同様に原則30日以内に新しい要介護(要支援)度が出されることになっています。
申請に必要なもの
本人の場合
- 要介護・要支援認定区分変更申請書(窓口にあります)
- 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
- 医療保険被保険者証の写し(40~64歳の方)
- 健康保険被保険者証(第2号被保険者(年齢が65歳以下の場合))
- 本人のマイナンバーが分かるもの(マイナンバーカード、通知カードなど)
- 本人の認印
- 身分証明書(運転免許証・パスポート ・障害者手帳・年金手帳・負担割合証等など)
が必要となります。
代理申請の場合
上記の必要書類と合わせて
- 代理申請者の身分証明証
- 生活支援専門員証(事業所の場合)
- 代理申請者の認印
が必要となります。
区分変更申請中のサービス利用は?
区分変更申請中であっても、サービスの利用を継続することは可能です。
区分変更申請で要介護度が変わった場合、新しい要介護度は申請日にさかのぼり有効となります。
区分変更申請の注意点
要介護度が軽く出る場合がある
多くの場合、要介護度を高く(重く)するために変更申請をすることが一般的ですが、判定の結果要介護度が低くなるという可能性もあります。
以下のような場合には変更申請変更が却下されることも
- 元の要介護(要支援)状態区分から変更がないと判定された場合
- 非該当と判定された場合
- 要介護者から状態の重度化を申請理由とするもので、要支援に判定された場合
- 要支援者から状態の軽度化を申請理由とするもので、要介護と判定された場合
なお、運用方法は市区町村により異なる場合があります。
「不服申し立て」と「区分変更の申請」のメリット
不服申し立てのメリット
認定調査の過程が理解できる
介護認定審査会は原則非公開で行われます。不服申し立てを行うことで、どのような過程で要介護(要支援)区分が決定したかを理解することができます。
新しく申請をし直すことができる
不服申し立ては決定した要介護(要支援)度を取り消してもらうために行われます。そのため、取消が行われたら、新しく申請をし直すことができます。
区分変更の申請のメリット
迅速に新しい認定区分を受けることができる
変更の申請では、申請後30日以内に新しい認定が出されることが原則です。迅速に新しい認定区分を受けることができることが変更申請のメリットです。
好きな時に変更申請をすることができる
変更申請は、いつでも必要な時に行うことができます。いつでも必要な時に申請ができることは、変更申請のメリットになっています。
「不服申し立て」と「区分変更の申請」のデメリット
不服申し立てのデメリット
結果が出るまでに時間がかかる
不服申し立ては決定が出るまでに数ヶ月かかってしまいます。
その間に要介護認定が切れてしまった場合には介護サービスの利用が出来ない可能性も出てきます。
取消がなされた後に再度、申請が必要
不服申し立ては審査を取り消すために行うものです。そのため、取消が認められた後に再度申請を行わなくてはなりません。
認定結果が出てから3ヶ月間しか行うことができない
不服申し立ては、通知を受けた翌日から3ヶ月以内でしか行うことは出来ません。日時が限られていることはデメリットのひとつです。
区分変更の申請のデメリット
思ったような結果が出ない場合がある
区分変更を行ったからといって、必ずしも思うような結果が出ると限りません。場合によっては却下となる可能性があることも理解しておく必要があります。
既にサービスを利用している場合に、結果が出るまで暫定でサービスを利用しなくてはいけない
サービスを利用中に変更申請をした場合には、介護度が確定するまで暫定で利用をしなくてはいけません。
思いがけず高い要介護度が出た場合に自己負担額が大きくなったり、要介護度が下がった場合には区分支給限度額を超過して自費請求となってしまったりすることもあるため、暫定のサービス利用についてはサービス事業所、ケアマネジャーとよく相談しておく必要があります。
認定の有効期間が短く設定されている
変更申請によって決まった有効期間は、原則6ヶ月で最長12ヶ月と決められています。更新申請の場合には、原則12ヶ月で最長36ヶ月と決められているので、次回の更新が早くなるというデメリットがあります。
おわりに
高齢者の心身の状態は、病気や加齢と共に変化していきます。必要な介護サービスを利用するために、その時々の心身の状態に合わせて適切な介護認定を受けておくことは重要です。
介護認定の仕組みを理解し担当してもらうケアマネジャーのアドバイスなども参考に、不服申し立てや変更申請を上手く活用することが納得のいく介護認定を受ける方法です。