親の介護で認定調査が来ることになったんだけど具体的にどんなことをするの?
このように
- 介護保険の認定調査について詳しく知りたい方
- 認定調査の事前準備について知りたい方
- 認定調査の注意点について知りたい方
など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、認定調査とは、認定調査票とは、訪問調査の事前の準備、訪問調査を当日受ける時の注意点、一次判定(コンピュータ判定)とは、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
認定調査とは
認定調査とは、要介護・要支援の認定を市区町村(自治体)に申請したときに、委託された訪問調査員(認定調査員)が申請者の自宅に訪問し、心身の状態など全国共通の「認定調査票」に基づき聞き取り調査をすることです。
こんにちは。認定調査にきました○○と申します。何点かご質問をさせていただきますので、本日は宜しくお願いいたします。
要介護(要支援)度は、心身の状態や能力を基にして「介護に必要な時間がどれくらいか」を基準に決められます。
認定調査票とは
認定調査票とは、訪問調査員が訪問調査を行う際に用いる調査票で「概況調査」、「基本調査」、「特記事項」の3つで構成されています。
概況調査
概況調査には、現在利用しているサービスの頻度や家族状況、居住環境、日常的に使用する機器、機械(自助具や補装具など)の有無などが記入されます。
基本調査
基本調査では大きく分けると6項目(群)から構成される74の調査項目と特別な医療について調査が行われます。
①身体機能・起居動作(13項目)
- 1-1 麻痺等の有無(左上肢、右上肢、左下肢、右下肢、その他(四肢の欠損))
- 1-2 拘縮の有無(肩関節、股関節、膝関節、その他(四肢の欠損))
- 1-3 寝返り
- 1-4 起き上がり
- 1-5 座位保持
- 1-6 両足での立位保持
- 1-7 歩行
- 1-8 立ち上がり
- 1-9 片足での立位
- 1-10 洗身
- 1-11 つめ切り
- 1-12 視力
- 1-13 聴力
②生活機能(12項目)
移乗や食事摂取、洗顔等の日常生活動作の機能や外出頻度の生活活動に関する調査
- 2-1 移乗
- 2-2 移動
- 2-3 えん下
- 2-4 食事摂取
- 2-5 排尿
- 2-6 排便
- 2-7 口腔清潔
- 2-8 洗顔
- 2-9 整髪
- 2-10 上衣の着脱
- 2-11 ズボン等の着脱
- 2-12 外出頻度
③認知機能(9項目)
意思相通や短期記憶、場所の理解、徘徊等の認知機能に関して調査を行います
- 3-1 意思の伝達
- 3-2 毎日の日課を理解
- 3-3 生年月日や年齢を言う
- 3-4 短期記憶
- 3-5 自分の名前を言う
- 3-6 今の季節を理解する
- 3-7 場所の理解
- 3-8 徘徊
- 3-9 外出すると戻れない
④精神・行動障害(15項目)
被害的、精神症状等や介護抵抗等の行動に関する調査
- 4-1 物を盗られたなどと被害的になる
- 4-2 作話4-3 泣いたり、笑ったりして感情が不安定になる
- 4-4 昼夜の逆転がある
- 4-5 しつこく同じ話をする
- 4-6 大声をだす
- 4-7 介護に抵抗する
- 4-8 家に帰る等と言い落ち着きがない
- 4-9 一人で外に出たがり目が離せない
- 4-10 いろいろなものを集めたり、無断でもってくる
- 4-11 物を壊したり、衣類を破いたりする
- 4-12 ひどい物忘れ
- 4-13 意味もなく独り言や独り笑いをする
- 4-14 自分勝手に行動する
- 4-15 話がまとまらず、会話にならない
⑤社会生活への適応(6項目)
薬の内服や金銭管理、社会生活を行う能力や意思決定等の社会生活への適応に関する調査
- 5-1 薬の内服
- 5-2 金銭の管理
- 5-3 日常の意思決定
- 5-4 集団への不適応
- 5-5 買い物
- 5-6 簡単な調理
⑥その他 過去14日間にうけた特別な医療について(12項目)
人工透析や人工肛門、酸素療法、経管栄養などの特別な医療についての調査
【処置内容】
- 1. 点滴の管理
- 2. 中心静脈栄養
- 3. 透析
- 4. ストーマ(人工肛門)の処置
- 5. 酸素療法
- 6. レスピレーター(人工呼吸器)
- 7. 気管切開の処置
- 8. 疼痛の看護
- 9. 経管栄養
【特別な対応】
- 10. モニター測定(血圧、心拍、酸素飽和度等)
- 11. じょくそうの処置
- 12. カテーテル(コンドームカテーテル、留置カテーテル、ウロストーマ等)
特記事項
調査項目では正確に把握することが難しい状況を把握するために、具体的、固有な状況を介護認定審査会に伝えるために記入します。
「訪問調査」事前の準備
訪問調査では、事前の準備をしておくことにより安心して調査に臨むことが出来ます。後から「あれも言えばよかった」と思っても遅いので、可能な限り事前準備を行い調査に備えましょう。
どんな内容を聞かれるのか確認しておく
訪問調査では、本人が答えた内容を調査員が判断して調査票へ記入します。短時間で正確に現状や想いを伝えることは非常に難しいものです。
また訪問調査員と本人が初対面の場合、高齢者の普段の様子はわかりません。
そのため訪問調査では、限られた時間の中で多くの質問に対して、正しく答えなくてはいけません。あらかじめ、どのような質問項目について聞かれるのかを確認しておくと余裕をもって調査に臨むことが出来ます。
普段の様子についてメモや日記で残しておく
ご家族は、普段の介護の様子や困ったことなどについて出来る限り細かく記録に残すようにしましょう。
高齢者の中には、訪問調査員が来た時には非常に受け答えがしっかりしていたり、普段の様子とは異なる行動が出来たりする場合もあります。
例えば、『歩行について』という項目で歩行を促した際に、「よく見せよう」という気持ちから普段は出来ないことが「出来てしまう」場合があったりします。
普段○○はできますか?
はい、○○は出来ますよ!(シャキッ)
そうすると、調査項目では『1.できる』となってしまい、調査結果が軽くなってしまうことにもなりかねません。
既往歴や生活歴について事前に確認しておく
家族が訪問調査に同席する場合、既往歴や親がどのような生活を送ってきたかを確認しておきましょう。
義母や義父の訪問調査に立ち会う場合、既往歴や過去の生活歴などが分からない場合には、事前に分かる人に確認しておくとよいでしょう。
「訪問調査」を当日受ける時の注意点
訪問調査を受ける際には、当日どのような点に注意すればよいのでしょうか。
親だけではなく家族が立ち会うようにする
訪問調査では、本人だけではなく普段の様子が分かる家族が立ち会うようにしましょう。
高齢者の中には、「出来ない」と言うことや「わからない」ということに羞恥心や抵抗を感じる方もいます。
介護が必要な高齢者の方にもプライドがありますので、本人の発言を否定するのではなく出来る限り上手く実情を伝えるようにしましょう。
特に認知症がある親の場合には、調査員が来訪したときや調査終了後に本人が居ないところで、
本人は自覚がないみたいですが、2年ほど前から物忘れがひどかったり怒りっぽくなってきました。
といった「困っていること」や「問題行動」について伝えることも有効な方法です。
訪問調査員は、所属先に戻ってから調査結果をまとめることが一般的です。帰るまでに伝えることが出来れば問題はありません。
なお、訪問調査については自宅だけではなく入院中であれば入院先で調査を受けることも可能です。
退院後に介護サービスを利用したい場合は、入院中に調査を受けることが出来れば看護師等にその場で状況を確認することも出来ます。
困っていることを具体的に伝える
調査員に聞かれたことには、出来る限り具体的に答えるようにしましょう。
例えば「ひどい物忘れについて」の項目で、「ひどい」と感じる度合いは人により異なります。
認定調査員は資格や研修を経たプロですので、
伝える時は
うちの母は買い物に行ってもよく道に迷いなかなか帰ってこれないことが何度もありました。また昨日話したことを忘れて何度も同じ話をします。
など「具体的にこういうことがありました」という事例を伝えることで、適切な調査結果に繋げることができます。
普段の状況をありのままに伝える
要介護認定は全国一律の調査項目で、公平公正に行われます。
困っていることを過剰に伝えれば、要介護度が高く出ると思われたりもしますが、決してそんなことはありません。明らかに辻褄が合わない項目がある場合には、再調査となってしまう場合もあります。
また、実際に困っていることを上手く伝えられないと要介護度が軽く出てしまい必要なサービスが使えないことにも繋がります。
普段の状況をありのままに伝える、ということが正しい要介護認定を受ける方法です。
一次判定(コンピュータ判定)
訪問調査による「基本調査」と高齢者の主治医による「主治医意見書」を基に、客観的で公平な判定を行うためコンピュータによる一次判定を行います。
一次判定では、介護が必要な時間を推計する
要介護度の判定は、どれくらい介護サービスを行う必要があるかを判断するものです。
一次判定では多くの高齢者を調査して割り出した「介護が必要な時間(要介護認定等基準時間)」をコンピュータによって推計します。
要介護認定等基準時間
要介護認定基準時間とは、一次判定の結果から以下の項目についてどれくらいの介護が必要かを算出したものです。
直接生活介助 | 入浴、排せつ、食事等の介護 |
間接生活介助 | 洗濯、掃除等の家事援助等 |
問題行動関連行為 | 徘徊に対する探索、不潔な行為に対する後始末等 |
機能訓練関連行為 | 歩行訓練、日常生活訓練等の機能訓練 |
医療関連行為 | 輸液の管理、褥瘡の処置等の診療の補助 |
要介護認定等基準時間による分類
要介護認定等基準時間を算出し、その時間と認知症加算の合計を基に要支援1~要介護5に判定されます。
要支援1 | 要介護認定等基準時間が25分以上32分未満 又はこれに相当すると認められる状態 |
要支援2 要介護1 |
要介護認定等基準時間が32分以上50分未満 又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護2 | 要介護認定等基準時間が50分以上70分未満 又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護3 | 要介護認定等基準時間が70分以上90分未満 又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護4 | 要介護認定等基準時間が90分以上110分未満 又はこれに相当すると認められる状態 |
要介護5 | 要介護認定等基準時間が110分以上 又はこれに相当すると認められる状態 |
おわりに
要介護認定は、介護保険サービスを利用するために必ず必要になります。
要介護認定調査は客観的な事実に基づいて公正に判断されるため、普段の状況についてありのままに正しく伝えましょう。
そのためには、調査でどのような内容について聞かれるかを事前に学んでおくことで安心して調査に臨むことが出来ます。