ストレスが多いと言われる介護職で働く職員にとって、問題の解決を試みても効果が無く、何とかやり過ごして仕事を続けても「もう限界!」となった場合、どのような対処ができるでしょうか。
また、限界な状況を一気に解決する転職についてと、就職を避けるべきブラックな施設を見極める方法など、介護職のストレスで限界を感じている方に役立つ情報を集めてみました。
介護職員がストレスを感じる6つの原因
仕事の大変さ
介護の仕事は慢性的に人手不足で、配置基準ギリギリの人員で運営している施設も多くありますが、高齢者の命を預かる仕事でもあるので、多忙な中でも少ない人数で事故やケガが無いよう注意しなければならず、勤務中は緊張や集中が続きます。

感情労働とも言われるような精神的な負担や、体力的にキツイ場面も多く、そのような仕事の大変さがストレスの原因になっています。
休みが少ない
毎日の介護業務に追われて、
- 介護記録の記載などの事務作業
- ミーティングが勤務時間外にずれ込む
- 研修や会議が休日に行われる
などのサービス残業が多く、十分な休養が取れない現状があります。
また人手不足から有給休暇が取りづらい職場が多く、リフレッシュする機会が作れないため、仕事のストレスがなかなか発散できません。
人間関係

介護の職場は職員の年齢層が広く、中には子や孫ほど年の離れた職員同士が一緒に働くことから、年代による価値観や感覚の違いで意思疎通がしづらく、人間関係が難しいと言われます。
また多忙でストレスの多い職場では、職員の気持ちにも余裕が無くなり、些細なことでトラブルになるなど一層関係が難しく、時にはイジメやパワハラのような問題になることもあり、ストレスが新たなストレスを生むような悪循環も起きます。
問題のある利用者
入居者や利用者の中には、暴力や暴言、セクハラなど問題行動のある人もいます。
しかし相手が高齢者なので、振り払ったり抑え込むなどの行動はケガや事故に繋がりかねず、また中には認知症などの疾患が原因でそのような行動になる人もいるので、職員が強く出ることができないまま放置されていることも多いのです。
結局、職員が我慢するしかない状況は大きなストレスになります。
雇用側の意識や対応
利用者からの問題行動や職場の人員不足など、雇用側が解決すべきことが放置されて職員にそのしわ寄せがくると、問題そのものへのストレスに加えて、雇用側である施設長や管理者の対応に対する不満や不信も強くなっていきます。
なかでもブラックといわれる職場では、職員の待遇や権利を省みない対応が、仕事全体に及んでいるので、職員に多くのストレスがかかることになります。
給与の低さ

介護職は全業種の中でも給与水準が低く、上位の資格を取っていても手当の額が少ないなど、仕事に見合った給与額ではない、と感じている職員が多いのが現状です。
業務が大変で勤務時間が長くても、相応の賃金であればある程度納得できるかもしれませんが、給与が少ないことでやりがいが感じられず、仕事のストレスがより強く感じる原因にもなっています。
ストレスが原因で起きる病気
うつ病
うつ病は、環境や性格などさまざまな原因が組み合わさって起きますが、仕事や人間関係のストレスも大きな要因になります。

以前は楽しめた趣味や活動にも興味を失い、憂うつな気分が2週間以上継続する状態というのが、ひとつの判断基準になります。
意欲や食欲が低下していくほか、睡眠や身体症状に問題があらわれる人も多く、専門医によるカウンセリングや薬物療法のほか、十分な休養が必要です。


睡眠障害
ほかの精神的な疾患と一緒に症状が出ることもある睡眠障害には、眠れなくなる不眠症のほか、日中に我慢できない眠気に襲われ、一度眠ると目覚めにくい過眠症などがあります。
ストレスで交感神経が刺激されることにより脳やからだが興奮することや、自律神経の乱れから、睡眠に関わるホルモンであるメラトニンの分泌がうまく行かないことが原因と考えられています。
突発性難聴
突発性難聴は、片方の耳に突然発症する高度の難聴です。

原因ははっきりしていませんが「ウィルス感染」と「内耳の血流障害」のふたつの説が有力とされ、ストレスがきっかけで発症すると言われています。
誰にでもなる可能性がありますが、明確な治療法や予防法は今のところ無いので、誘因になる疲れや強いストレスを避けることがいちばんの予防法になります。
ストレス性胃炎
ストレスによって自律神経が乱れ過剰に胃酸が分泌されて、胃を保護する胃粘液とのバランスが崩れることで、胃粘膜の炎症や胸やけ、吐き気、胃痛、食欲不振を引き起こすのがストレス性胃炎です。
長期間ストレスにさらされることで起きるストレス性胃炎は、日本人の4人に1人発症すると言われ、さらに悪化すると胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症します。
依存症
習慣的な行動が生活に悪影響を及ぼすほどになっても、それを自分で辞めたりコントロールできない状態を依存症と言います。
依存する対象には、
- アルコールや薬物
- ギャンブル
- ゲーム
- インターネット
などがあり、ストレス解消や発散のためにしていたことが、エスカレートして依存症になってしまうことがあります。
依存症は気力や強い意志で治せるものではなく、自分だけで回復することは困難なので、専門家の適切な治療や援助が必要になります。
ストレスが限界!8つの解消・対処法
ふとしたことで無性に腹が立ったり、以前なら受け流せていたようなこともその余裕が無くなった、といった場合は、常に多忙で日々のストレスをうまく解消できないまま、精神的な疲れが溜まっているのかもしれません。
そんな時は、生活の中でできるリラックス方法や、ストレス解消法を試してみてはいかがでしょうか。
深呼吸をする
深呼吸はいつでもどこでも実践することができるもっとも簡単で効果的なストレス解消法です。
深呼吸をすることで自律神経のバランスを整えてリラックスさせる効果があります。

やり方は簡単で、鼻から吸って口から吐きます。この時、鼻から吸ったときにお腹を膨らませて、口から吐くときはお腹をへこませる腹式呼吸をすることで、副交感神経を優位にさせ気持ちが落ち着きます。
アロマオイルを活用する
心を落ち着ける効果のあるラベンダーや、明るい気分にしてくれるオレンジスイートなどのアロマオイルを使って、ゆっくり半身浴をしたりアロママッサージを試してみましょう。
香りは脳に直接働いて、自律神経を整えストレスをやわらげてくれます。 アロマ専門ショップなどで好きな香りを選んでブレンドして使うのもおすすめです。 アロマオイルの使用・取り扱いは説明書の指示を守りましょう。

深呼吸と合わせて行うとより効果が倍増します。
サプリメントを試してみる
イライラすることが多い方や夜なかなか眠れない方には、自律神経を安定させリラックス効果や睡眠改善効果のあるGABAサプリやテアニンサプリがおすすめです。



適度な運動を心がける
毎日仕事と家の往復だけではどうしても運動不足になってしまいますが、適度な運動(ストレッチ、ヨガ、ウォーキングなど)を行うことで、セロトニンなどが脳内に増えて前向きになることが期待されます。
毎日続けることで眠りの質が良くなり、精神的にも良い影響を与えることができるでしょう。 休日に時間をとって家族や友人とスポーツを楽しむのも良い気分転換になります。
旅行に出かける
自分で実感するほど精神的な疲労が溜まっているようなら、思い切って休みを取り旅行に出てみるのもストレス解消にいい方法です。
普段と違う景色に身を置いていると、気になっていたことや腹が立っていたことも大したことじゃないと思えたり、違った見方ができることもあります。
相談する
業務環境の問題や、自分では解決しきれない人間関係の問題などについては、信頼できる同僚・職場の上司・先輩に相談してみましょう。
周りの人の協力があれば何か解決できる点も見つかるかもしれません。
ほかにも同様の問題で悩んでいる人が見つかれば、管理者などより上位の人に、複数で相談や交渉をして改善に向けて動いてもらうことも可能かもしれません。
異動や配置換えを希望する
人間関係の問題で、特定の人との関係で何か行き違いが原因なら、話して誤解を解いたり、意思疎通を心がけるなど対処することができるでしょう。
しかし、理不尽なイジメの場合はこちらから何かしなければいけないことは無く、距離を置くことが最善なので、職種の異なる系列の事業所などがあるなら、配置換えの希望を出して異動するという方法が考えられます。
労働基準監督署に訴える
職場でのイジメやパワハラを訴えても職場が適切に対応してくれなかったり、時間外労働など不当な勤務環境が改善されない時は、労働基準監督署に訴えて改善を促してもらう方法があります。

ブラック介護施設の場合は、訴えた後に職場で冷遇されるということもあり得るので、これは転職を考えた上での対処法ということになりますが、職場に残るほかの人のためにもなる適切な方法です。
現在の介護職を辞めるべき4つの理由
あなたが現在抱えるストレスから解放されるための方法はたった1つ「いまの仕事を辞めること」です。
仕事から帰ってきてからもずっとストレスのことを頭の中で考えているようなら、上記で挙げた解消・対処法をしても既に意味はなく、このまま今の仕事を続けると大変なことになります。
そうならないためにも辞めたほうが良い理由を参考にしてください。
会社はあなたを守ってくれない
まず会社はあなたを守ってくれません。「辞めたらまた募集すればいい」といった介護職員を1つの駒としてしか考えていない経営者も多く、そんな会社だから働いている人はどんどん辞めていき、質の悪い人間しか残らなくなります。

そもそも、あなたが苦しい時、悲しい時、辛い時、助けてくれているなら、現在のあなたはストレスなく笑顔で働いているはずです。
あなたを守れるのはあなたしかいません。自分を守るためにも今すぐ辞めるという選択肢を選ぶ必要があります。
病気になってからでは遅い
ストレスを抱えたまま放っておくと、上記で挙げた病気になります。もうすでに「うつ病」「睡眠障害」「突発性難聴」「ストレス性胃炎」などになっている場合は、早急に辞めるべきです。
もし、働けない身体になった場合、
- 病気の治療が長引く可能性がある
- 復帰するまで時間がかかる
- 次の転職活動ができなくなる
- お金もなくなってしまう
そうなる前に、少しでもあなたの身体が悲鳴をあげているなら仕事を辞めてください。
自分の夢を叶えられない
大きな夢から小さな夢まで誰でも1つはあるはずです。
例えば、、、
- 稼いだ給料で両親に親孝行したい
- 介護の経験を積み資格を取得して高給取りになりたい
- あの人と結婚したい
- 友達と旅行に行きたい
- 介護の経営者になりたい
などなど。しかし今の職場に勤めていたら、あなたが夢を叶えることは非常に困難になります。むしろ、そんな夢は遠のいて辛い日々を送ることになるのです。
そうならないためにも、転職して次の職場で再スタートすることをおすすめします。早く夢を叶えることができ毎日がイキイキするでしょう。
時間は「無限」ではなく「有限」

今あなたが仕事でのストレスを抱えて過ごしているなら、今の職場にいるメリットは限りなく少なく、時間だけがムダに流れていっています。
人間関係・職場環境が良くあなたを温かく歓迎してくれる職場はたくさんあります。
辞めてから思うことは1つです。

なんでもっと早く辞めなかったんだろう・・・
誰もがそう思いますが、働いている時は気付かないものです。時間は有限でので自分を大切にして生きてくださいね。
転職をしてストレスフリーに
職場でのストレスは、ある程度は自分で改善できるものもありますが、根本的に解決するには職場を変える転職という方法がいちばん確実といえるでしょう。
退職代行を使って楽に辞める
限界なほどストレスの多い職場なら、退職を伝えることに一層のストレスを感じることも多いでしょう。
そんな時に利用したいのが、職場に退職の意思表示をしてくれる退職代行サービスです。

一般的な代行料金は3~5万円、料金に含まれる内容やオプションは各業者でさまざまなので、内容と業者をよく吟味することが大事です。
残業代の請求や有給休暇の消化を交渉したい場合や、退職問題が複雑化しているようなときは、資格のある弁護士に退職代行と共に依頼すると良いでしょう。
介護求人サイトでゆっくり探す

希望に合った職場を自分でじっくり探したい場合は、介護職に特化した求人サイトを利用しましょう。一般の求人サイトよりも、多くの介護職求人が掲載されているので、たくさんの選択肢から選ぶことができます。
名前やメールアドレスなどの基本情報と、持っている資格、希望する施設の種類や勤務地、勤務時間などの条件を登録することで、合致した複数の求人をチェックすることができて、サイトから応募することも可能です。
介護転職エージェントにホワイト施設を紹介してもらう

転職エージェントは、自分で求人を探す求人サイトとは異なり、会員登録をすると個別にアドバイザーが付き、スキルや資格に応じた職場を紹介してくれて、応募から採用までをサポートしてくれます。
待遇の条件交渉などもしてくれるので、在職しながら限られた時間で転職活動を進めたいという人や、初めての転職で不安という人にはおすすめです。
また転職エージェントは、一般の求人には公開されていない求人を保有していることも多く、各施設の内情にも詳しいことが多いので、自分に合った良い職場を確実に選ぶことができるでしょう。
おわりに
我慢して仕事をするのが当たり前だったのは過去の時代のことで、いまは良い環境で働くことが良い仕事につながるというのが、当然の考え方になってきています。
ストレスを抱えたまま仕事を続けるのは、自分のためにもなりませんし、利用者にとっても良いことではありません。
自分で変えられない職場環境なら、能力を発揮できる新たな環境に転職することをおすすめします。