特別養護老人ホーム(特養)の仕事内容とは

入居型の介護施設の中でも、一時金などの初期費用が不要で、比較的安く入居できることから、希望者が多いのが特別養護老人ホーム(略して特養)です。社会福祉法人や自治体が運営している施設で、介護老人福祉施設といわれることもあります

退去者があってもすぐに新しい入居者が入り、中には数か月待ち~数年待ちという特養もあり求人も豊富です。

今回は、この特別養護老人ホームの仕事について、その内容や給与・待遇などについてみていきましょう。

特別養護老人ホームとは?

特別養護老人ホームとは

入居者はこんな方

特別養護老人ホームは、65歳以上で要介護3以上の介護認定を受けた人が入居でき、末期がんや関節リウマチ、パーキンソン病など、特定の疾患に該当する人は40歳~64歳の人でも入居が可能です。

常に介護が必要な介護度の高い人の入居が多く、基本的には終の棲家として最後まで入居し続けることができるので、看取りを行うことも多い施設です。

入居するには各自治体に申し込み、審査を受けて、より必要度の高い人から入居が決まります。入居に際し一時金は不要で月額利用料を支払いますが、この料金は収入や介護度によって決まります。

特別養護老人ホームのユニット

運営をするのは社会福祉法人に限られていて、施設の開設には都道府県知事の認可を受けることが必要になります。通常は50名以上と比較的大規模の施設が多いのですが、近年は個室10室までを一単位として介護を行うユニット型特別養護老人ホームも増えています。

特別養護老人ホームの事業所数

特別養護老人ホームの利用者数

出典:厚生労働省

雇用形態

特養の雇用形態は、常勤の正社員、非常勤のパート・アルバイトのほか、派遣社員、施設によっては夜勤専従のパートなどがあります。

常勤の正社員は有資格者という条件での雇用が多く給与は月給、パートやアルバイト等は時給または日給での雇用が多く、無資格の人や未経験者の求人も見られます。

介護施設(入所型)の就業形態

出典:「介護労働の現状について」介護労働安定センター

人員配置

厚生労働省の「特別養護老人ホームの概要」によると、人員の配置には以下のような基準があります。

看護職員・介護職員

入居者3名に対して1名。ただし、夜間はこの限りではなく人数は少なくなります

医師

100名に対して1名とされていますが、必ずしも常駐ではなく非常勤の場合もあり

栄養士・機能訓練指導員

1名以上

ケアマネジャー・生活相談員

入居者100名に対して1名以上

仕事内容

特養の仕事内容

勤務はシフト制で夜勤もあり、施設によって2交替、3交替、中には4交替や5交替というシフトのところもあります。

主な仕事は、日常生活における介助(食事介助、おむつ交換を含む排泄介助、車いすへの移乗介助など)のほか、入浴介助も行います

特養では最低週2回、入浴の機会を入居者に提供することが決められていて、介護度の高い人には寝たまま入浴できる機械浴槽を用いることもあります。

施設内の掃除は施設の職員か委託された業者が行い、洗濯はできるだけ入居者が自分で行うことが自立のためには望ましいのですが、職員がサポートしたり、家族が来所した際に行うこともあります。

リハビリやレクリエーションとして、季節に合わせたイベントや外出、地域の学校や幼稚園との交流など、入居者さんが楽しめるいろいろな企画を立て準備・進行するのも職員の大切な仕事です。

身体の機能改善や維持のための本格的なリハビリを、作業療法士理学療法士が行う施設もあります。

一日の流れ

 

特別養護老人ホームの1日の業務は、おおむね次のような流れになっています。

特別養護老人ホームの一日流れ
  • 6時
    起床
    着替えや排泄、服薬の介助を行います。
  • 7時
    朝食
    準備ができた人から順次朝食を摂るので、食事の介助を行います。
  • 8時
    口腔ケア
    食後の歯磨き。自分でできない方の介助を行います。
  • 9時
    日勤職員が出勤
    夜勤職員は、夜間の入居者さんの様子など必要事項を日勤の職員に伝え引継ぎをします。
  • 10時
    通院や外出
    通院している入居者さんに付き添い、薬の受け取りなども行います。
  • 11時
    入浴
    必要な方には、入浴準備から介助を行います。入浴は順番や日によって、午後になることも。
  • 12時
    昼食
    誤嚥に注意しながら利用者さんひとりひとりに合った食事介助を行います。
  • 13時
    食後
    後の服薬や口腔ケアなどを行います。職員は交替で休憩をとります。
  • 14時
    レクリエーション
    利用者さんの身体機能の維持と認知症予防を兼ねて利用者さんが楽しめる節の行事や、外出、体操などを行います。
  • 15時
    おやつ
    お茶とお菓子で歓談します。昼寝をする利用者さんもいます。
  • 16時
    介護記録記入
    出勤してきた夜勤職員に引継ぎ、日勤の職員は退勤となります。
    (シフトや施設によって退勤時間は変わります)
  • 17時
    夜勤職員に引きつぎ
    使用済みのタオルなどの洗濯と、施設内の清掃を行います。
  • 18時
    夕食
  • 19時
    食後の休憩
    口腔ケアや服薬を済ませ、就寝まで入居者さんは思い思いに過ごします。
  • 20時
    就寝準備
    着替えや服薬介助、トイレ誘導などを行い就寝前の準備をします。
  • 21時
    消灯
    夜勤職員が、翌朝まで巡回や排せつ介助などを行います。

給料

介護職の給料

平均給与相場

特養はグループホームなどと比較すると大規模の施設が多く、運営母体も大きいことから安定した経営の所が多く、またデイケアなどの通所施設には無い夜勤手当を含むことから、給与は介護職全体の平均より高めの水準となっています。

平成29年の厚生労働省資料による、特養事業所職員の平均給与額は以下のようになっています。

正社員

特養の常勤月給の給与は322,310円となっており、介護職全体の平均給与額297,450円に比べ約2万5千円アップしています。

また常勤の日給では213,420円、これは介護職全体の日給平均給与額224,360円と比べて約1万円ダウンしています。

常勤・正社員の平均給与額
月給の平均給与額322,310円
(基本給+手当+一時金)
日給の平均給与額213,420円
(基本給(日給)×実労働日数+手当+一時金)

出典:「介護従事者処遇状況等調査結果」厚生労働省

パート・アルバイト・契約社員

パート・アルバイト・契約社員など非常勤職員の場合は、月給では月平均274,570円、日給では月平均142,900円、時給では月平均117,290円となっています。

パート・アルバイトなどの非常勤職員の平均給与額
月給の平均給与額
(契約社員)
274,570円
(基本給+手当+一時金)
日給の平均給与額
(夜勤専従など)
142,900円
(基本給(日給)×実労働日数+手当+一時金)
時給の平均給与額
(パート・アルバイト)
117,290円
(時給×実労働時間+手当+一時金)

出典:「介護従事者処遇状況等調査結果」厚生労働省

また、特養のパート・アルバイト時給月平均117,290円は、介護職全体の時給平均給与額101,260円と比べると約1万5千円アップしています。

給与の待遇

昇給

通常年に1回昇給があります。

給与規程がきちんと決められて文章化されているところが多く、勤務成績に応じて通常の幅以上の昇給を設けている施設もあります。

賞与

多くの特養では一般的な会社等と同じく、夏・冬の2回賞与が支給されますが、中には期末手当として、春・夏・冬の年3回支給というところもあります。

金額的には年間に2~3か月分というところが多いようです。

資格手当

介護に関する資格を保有していると資格手当が支給されます。

上位資格になるほど金額が上がり、初任者研修修了者で0~3000円、実務者研修修了者で3000~5000円、介護福祉士で6000~10000円ほどが一般的な金額です。

中にはそれぞれ10000円、20000円、30000円など高額な資格手当のところも見られます。

資格の手当額
介護職員初任者研修
(旧:ヘルパー2級)
0~3000円
実務者研修
(旧:ヘルパー1級)
3000~5000円
介護福祉士6000~10000円

出典:「介護従事者処遇状況等調査結果」厚生労働省

昇給する(給料を上げる)ためのコツ

特養昇給するためのコツ

長く働く(勤続年数)

ほとんどの特養で年に1度の昇給があるので、長く勤務すればそれだけ給与が上がっていきます。

厚生労働省が調査した介護職員の平均給与額のうち、サービス種類別の勤続年数による平均給与を見てみると、特養の1年目では264,550円、5年目で289,980円、10年目では312,360円と年に5,000円程度昇給していることがわかります。

勤続年数別の平均給与額
(特養の常勤:月給)
1年目264,550円
5年目289,980円
10年目312,360円

出典:「介護従事者処遇状況等調査結果」厚生労働省

技術を磨く(スキルアップ)

厚生労働省の平均給与額の資料によると、【特養の常勤職員:月給】の介護資格「あり」と「なし」の平均給与額を比較すると、その金額には大きな差があり、資格手当を増やすことが確実な給与アップにつながることがわかります。

資格有無の平均給与額
(特養の常勤:月給)
保有資格なし282,390円
介護職員初任者研修309,430円
実務者研修310,760円
介護福祉士332,010円
社会福祉士357,540円
ケアマネジャー379,040円
資格保有者平均325,460円

出典:「介護従事者処遇状況等調査結果」厚生労働省

また、特養を運営している社会福祉法人では、資格取得に向けた研修制度が整っているところが多く、業務扱いで研修を受けることができたり、勤務日の配慮、資格取得の費用補助などスキルアップのための支援をうけられるところもあります。

役職に就く(キャリアアップ)

管理職手当、業務管理手当、ユニットリーダーに支給される主任手当など、役職に就くことで手当が付き給与をアップさせる方法もあります。

それぞれの役職によって必要な資格もあるので、前項の「スキルアップ」がキャリアアップと、より給与を増やすことにもつながります。

平均給与額の資料によると、管理職の給料は383,420円に対して、管理職でないものは316,260円と約6万5千円もの差があります。

管理職の有無の平均給与額
(特養の常勤:月給)
管理職ではない316,260円
管理職383,420円

出典:「介護従事者処遇状況等調査結果」厚生労働省

交渉をする

雇用側と交渉する、というのも給与をアップする方法のひとつになりますが、その場合交渉材料になる資格やスキルを持っていると有利に進めることができるでしょう。

特別養護老人ホームで働くメリット・デメリット

特養の仕事のメリット・デメリット

メリット

スキルアップができる

特養では職員に対して、定期的に資質向上のための研修の機会を与えなければならないことが運営基準にも記載されています。このため多くの特養では働きながら介護の知識や技術を学んでスキルアップしていくことができます。

また、特養の仕事は大変、というイメージがありますが、介護度や家庭環境の違う多くの入居者さんのお世話をすることで、人間的にも吸収できることは多くある職場と言えます。

福利厚生が整った所が多い

社会福祉法人に限り運営できる特養は、半ば公的な施設でもあり税制が優遇されていたり福利厚生が整っているところが多く、安心して長く勤めることができます。

デメリット

身体介護が多く負担が大きい

おもに介護度が高い入居者さんばかりなので身体介助も多く、体力的な負担が大きい点がデメリットといえます。

やりがいが感じづらいことも

介護度の軽い利用者さんが多いデイケアなどと違い、食事や排せつなど日常生活の介助が中心の特養では、大人数の入居者さんに対して1日中繰り返されるお世話が単調に感じるなど、状況によってはやりがいを感じづらいことがあります。

特別養護老人ホームに向いている人・向いていない人

特養向いてる向いてない

向いている人

介護職の技術を身につけたい人

特養の仕事を経験するとどの施設に行っても勤められる、という声もあるほど、さまざまな経験を積むことができる職場です。

中でも、特養ではケアプランの作成を職員が行い、ケアマネジャーなどとのカンファレンスを経て、実施プランとするところが多いようなので、ケアマネジャーを目指している人にもプラン作成を学ぶ良い機会となります。

体力に自信がある人

身体介助の多い特養の仕事。介助のコツや工夫で負担を軽減することはできますが、体力的にハードな仕事であることは確かです。

スポーツをやっていたり身体を動かすことが好き、体力に自信があるという人には向いています。

人と接することが好きな人

どの介護職でもそうですが、人と接するのが好きというのは必要な素質です。

会話のうまさよりも、介助中のちょっとした声掛けや、耳の遠い方に大きな声で聴き取りやすく話すなど、人と接することが好きであれば自然にできる気遣いが大切になってくるからです

向いていない人

体力に不安がある人

特養の仕事では身体介助は避けられません。

腰や足に不調がある、体力に自信が無いという人は、より悪化することも考えられるので、比較的介護度の軽い人が多いデイケアや、生活介助が中心の訪問介護の仕事のほうが向いているといえるでしょう。

せっかちな人

多数の入居者さんを抱える特養の仕事は忙しく、ゆっくり待っていれない状況もありますが、そもそも高齢者は動きがゆっくりですし、急かすと転倒やケガの原因にもなります。

自分のイライラをコントロールできない、待てない、という人には向いていないかもしれません。

生真面目すぎる人

年齢とともに気難しくなっている入居者さんや認知症の方もおられるので、時には言われることや態度に傷つくこともあるかもしれません。毎回真に受けていると大きなストレスになってしまうので、適度に聞き流せて楽観的な人の方が働きやすいでしょう。

特別養護老人ホームへの転職する方法

介護職の給料

転職を成功させるための5つのコツ

転職の目的を明確に

まず前職を辞める時、どんなことが理由だったのかを含めて振り返り、自分の転職目的をはっきりさせます。

希望の給与額や待遇、スキルアップが目的なら取りたい資格なども詳しくあげてみましょう。

目的に合う職場を探す

転職の目的から、給与や待遇、やりがいやポリシーなど、優先順位の高いほうから希望の条件を書き出してみます。

同じ介護職からの転職なら、前の職場のどこが不満だったのか何が改善できればよかったのかも改めて考え、そこを解決している職場を探してみます。

未経験の場合はフォロー体制を重視

介護職が未経験だったり、介護に関するどの資格も持っていない場合は、研修制度が充実していて人材を育てることを重視している職場を選ぶと良いでしょう。

資格取得の援助を受けられるなど多くのメリットがあります。

ライフスタイルに合わせた働き方

さらなるスキルアップを目指してバリバリ働き長く勤務したい、という人なら正社員の勤務、短時間勤務を希望ならアルバイトやパート、自分の時間を確保しながら夜勤だけで稼ぎたい、という人なら夜勤専従という働き方もあるので、目的に合わせた働き方を選択します。

従来型かユニット型か

従来型特養では一部屋に複数のベッドを置く多床型という形が多かったのですが、最近ではユニット型といって、ひとりに一部屋の個室があり、その入居者を10名以下の一つの単位(ユニット)として、きめ細かい介護をする新型特養と呼ばれる施設も多くなっています。

従来型では多くの入居者さんをたくさんの職員がみんなで介護しているのに対し、ユニット型では専任という形で、担当職員が少人数の入居者さんと長くかかわるところが違います。

従来型からユニット型に転職して戸惑った、という声もあるので、自分のやりたい介護の形から選択するといいでしょう。

転職する際の3つの注意点

施設の特性を理解する

特養は介護度の高い人が多く、反応が薄かったりコミュニケーションを取ることが難しいかたもいます。

通所型の施設のように会話やレクを共に楽しむことができない入居者さんを前に、仕事が単調に感じることもあるかもしれません。

しかし、介護度の高い方が少しでも日常のことができるようになったり、表情が出てくる、といったわずかな変化に喜びややりがいを感じる、といった声もあります。

施設の特性を理解して納得してから転職することで、やりがいにもつながります。

必ず施設見学をする

面接時、または事前にでもぜひ職場の見学をさせてもらいましょう。

働いている職員の様子や施設内の雰囲気からも、求人には載っていないことがわかります。

職員同士に会話が多くチームワークが良さそうだったり、季節の飾りや花、入居者さんの作品等がきれいに飾られているような施設は、職員が余裕を持って気持ちよく働いていることがわかりますし、逆に職員が疲れた印象でギスギスしている、施設内も暗く殺風景な雰囲気というところは避けたほうが無難です。

どんな理念を持った法人が運営しているか

自分が目標とする仕事の姿勢と、施設の経営理念が近いところがやはり働きやすいといえるでしょう。病院などが母体になっていて医療ケアに力を入れている法人もありますし、デイケアやグループホームなど介護施設を多数運営している法人もあり、同じ特養といっても、施設それぞれに違いや特徴があります

多くの特養ではHPがあり、どんな介護を目標に運営しているかが掲げられているので、より納得できる理念を持った施設を選ぶと、目標ややりがいを持って働きやすいといえます。

転職サイトを活用する

転職の準備は、前職に勤務しながらだとなかなか時間がとれず、思うように進まないということもあります。

転職サイトを利用すると、希望の条件に合った職場を探してくれて、給与などの条件交渉も代わって行ってくれるので、忙しい人でもスムーズに準備を進めていくことができます。

おわりに

できれば住み慣れた自宅に住み続けたいと誰もが思いますが、介護が必要になって入居するのが特養などの入居型の介護施設です。

そのため入居者さんにとって施設は第二の家のようなもの。

できるだけ住み心地よく暮らせるように、できないことをしてあげるのではなく、できるようにお手伝いする、という心構えで仕事と向き合っていきたいものですね。

 

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