2019年10月新処遇改善加算で10年勤続の介護福祉士が8万円アップ?

新介護職員特定処遇改善加算

内閣府の2018年版高齢社会白書によると、日本の総人口1億2671万人のうち65歳以上の人口は3515万人と、高齢化率は27.7%となりました。

介護を必要とする高齢者が増えると同時に、介護職員の必要数も増加し、2000年度には54.9万人だった介護職従事者の数が平成28年度には約3.3倍の183万人超える数になっています。

しかし、必要性が高い仕事の割に、全産業の中でも介護職員の給与水準は低いとされ、その待遇改善等のため、この2019年度にも新たな処遇改善が行われる予定です。

2019年10月から実施されるという、この新たな処遇改善についてお伝えしていきます。

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介護職員が不足している現状

介護サービスが安定して供給されるためには、介護職員の人材が十分に確保されている必要があります。

しかし2009年度から2017年度の介護労働実態調査によれば、人員が不足していると回答した事業所や施設のうち、その理由(複数回答)として一番多く挙げられたのは「採用が困難である」で88.5%、2番目に多かった「離職率が高い」の18.4%と比べても、極端に高い割合になっています。

介護職員が不足している理由

サービス別では、訪問介護の人手不足感が非常に高く、2017年度では「大いに不足」「不足」をあわせて55.2%が不足していると回答、2009年度の33%からは20%以上高くなっていて、毎年の高齢者の増加にともない、人員の不足感も増していることがわかります。

訪問介護員の不足率

参考 厚生労働省:介護人材の処遇改善について

介護職員等特定処遇改善加算とは?

現行の介護職員処遇改善加算は、慢性的に人員不足といわれる介護業界の人材を増やし、介護職員の離職を減らして長期的に勤務してもらうために、介護職員の労働環境の改善と賃金アップを目的として作られた仕組みで2012年から導入されています。

各介護施設や事業所は提供している介護サービスの報酬を毎月、国民健康保険団体連合会(国保連)に請求することで得ていますが、処遇改善加算とは、職員の賃金アップに充てるための金額を、この毎月の介護報酬に上乗せして施設・事業所等に支給することで、職員の給与に充ててもらう、という仕組みになっています。

介護事業者は、事業の指定を受けている都道府県等に届け出ることで、加算を受けることができ、加算額はⅠ~Ⅴまでに区分されていて、それぞれに満たすべき要件が決まっています。(加算Ⅳ、加算Ⅴについては一定の経過期間をおき廃止される予定になりました)

今回2019年度の障害福祉サービス等報酬改定で、介護職員の確保と定着のための政策対応として行われるのが「介護職員等特定処遇改善加算」です。

具体的には、現行の介護職員処遇改善加算に加え、リーダー級の人材に対し他の業種と変わらない賃金水準を目指して更なる処遇改善を行うものです。

介護職員処遇改善加算の取得状況

新たな処遇改善加算を受けるには、加算Ⅰ~Ⅲを取得していることが前提です。

厚生労働省の2017年度の調査によると、介護施設全体では91.2%の施設・事業所が取得していて、取得していない事業所は8.8%と1割以下になっています。

取得している事業所全体の64.9%が加算Ⅰ、次いで13.5%が加算Ⅱ、10.7%が加算Ⅲを取得しています。

介護職員処遇改善加算の取得状況(2017)

参考 厚生労働省:介護従事者処遇状況等調査結果の概要

新しい経済政策パッケージ

これまで2015年度、2017年度の介護報酬改定の際にも、処遇改善加算はその都度拡充されていましたが、今回2019年の10月に消費税が8%から10%に増税されることに伴い、事業所等の消費税負担の補てん介護職員の処遇改善のため「新たな経済政策パッケージに基づく更なる処遇改善加算」が行われることになりました。

国は「2020年代初頭までに、50万人分の介護の受け皿を整備する」としていますが、その際の一番の課題が介護人材の確保で、2025年度末の介護人材の需要は245万人にのぼる見込みです。

この人材確保の取り組みを一層進めるために、経験・技能のある介護職員において「月額平均8万円相当の改善」または「役職者を除く全産業の平均水準、年収440万円」の水準を確保するとして、介護人材の処遇改善に1000億円の公費を投入することが、2018年12月19日の社会保障制度審議会介護給付費分科会において報告されています。

参考 厚生労働省:障害福祉人材の処遇改善について

新処遇改善加算の取得要件(加算の対象)

新たな処遇改善加算の対象サービス種類は、これまで行われてきた処遇改善をより進めるものであることから、現行で対象となっていたサービス種類と同様のものが対象です。

特定処遇改善加算を取得するための算定要件は、以下の3つになります。

要件のポイント
勤続10年以上の介護福祉士がいなくても算定することは可能です

【要件1】既存の介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを算定していること

新たな加算の算定と同時に現行加算の届け出を行い算定される場合を含みます。

【要件2】介護処遇改善加算の職場環境等要件に関して、改善の取り組みを複数行っていること

以下のそれぞれの区分について1以上の取り組みが必要になります。

  • 働きながら介護福祉士資格の取得を目指す人に対する実務者研修受講支援
  • より専門性の高い介護技術を取得しようとする人に対する喀痰吸引、認知症ケアサービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修などの受講支援
    (研修受講時に他の職員の負担を軽減するための代替職員確保も含む)
  • 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
  • 小規模事業者の共同による採用、人事ローテーション、研修のための制度構築
  • キャリアパス要件に該当する事項(キャリアパス要件を満たしていない介護事業者に限る)

  • 新人介護職員の早期離職防止のためのエルダー・メンター(新人指導担当者)制度導入
  • 雇用管理改善のための管理者の労働、安全衛生法規、休暇・休職制度にかかわる研修受講等による雇用管理改善対策の充実。
  • ICT活用(ケア内容や申し送り事項の共有)タブレット端末を活用し訪問先でのアクセスを可能にすることなどで、介護職員の事務負担を軽減する
  • 個々の利用者へのサービス履歴、訪問介護員の出勤情報管理によるサービス提供責任者のシフト管理にかかわる事務負担軽減、利用者情報蓄積による利用者個々の特性に応じたサービス提供等による業務省力化。
  • 介護職員の腰痛対策を含む負担軽減のための介護ロボットやリフト等の介護機器等導入
  • 子育てとの両立を目指す者のための育児休業制度等の充実、事業所内保育施設の整備
  • ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
  • 事故トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任所在の明確化
  • 健康診断・こころの健康等の健康管理面の強化、職員休憩室・分煙スペース等の整備

  • 介護サービス情報公表制度の活用による経営・人材育成理念の見える化
  • 中途採用者(他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等)に特化した人事制度の確立
    (勤務シフトの配慮、短時間正規職員制度の導入等)
  • 障害を有する者でも働きやすい職場環境構築や勤務シフト配慮
  • 地域の児童・生徒や住民との交流による地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上
  • 非正規職員から正規職員への転換
  • 職員増員による業務負担の軽減

既に取組を行っている場合は、新たな取り組みを行う必要はありません。

参考 厚生労働省:資料参照

【要件3】介護処遇改善加算に基づく取り組みにおいて、ホームページへの掲載など「見える化」を行っていること

以下の介護サービス情報公表制度を活用して公表していること

  • 処遇改善に関する加算の算定状況
  • 賃金以外の処遇改善に関する具体的な取り組み内容

事業所のホームページがある場合は、そちらでの公表も問題ありません。

参考 厚生労働省:2019年度介護報酬改定について

事業所内での区分

事業所内での職員の区分は

事業所内での職員の区分
  1. 経験、技能のある介護職員
  2. 他の介護職員
  3. その他の職種

となっています。

  1. については介護福祉士等(社会福祉士、精神保健福祉士、保育士)の資格を持っているか、または心理指導担当職員(公認心理士含む)サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、サービス提供責任者のいずれかとして10年以上勤続している者を基本としています。
  2. ①以外の現行の介護職員処遇改善加算の対象職種
  3. ①と②以外の職種です。
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新処遇改善加算の加算率

サービス種類ごとの加算率

「経験・技能のある人材が多い介護サービスを高く評価する」として、サービス種類ごとの10年勤続以上の介護福祉士等の数を反映して加算率を設定します。

サービス種類内の加算率

同じサービス種類であっても経験・技能のある人材の数が多い事業所等をさらに評価するため、福祉専門職員配置等加算、特定事業所加算などの取得状況を根拠にして、2段階の加算率を設定します。

この加算率を設定する際は、1段階とした場合の加算率を試算し、原則、加算(Ⅱ)の加算率がその数値×0.9となるように設定し、加算(Ⅰ)の加算率を設定することとされています。

また、加算(Ⅰ)と加算(Ⅱ)で加算率の差が1.5倍を超える場合は、×0.95となるように設定すること、福祉専門職員配置等加算及び特定事業所加算が無い場合は、加算率に差を付けないことが付記されています。

【新設】福祉・介護職員等特定処遇改善加算
居宅介護1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 7.4%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 5.8%
重度訪問介護1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 4.5%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 3.6%
同行援護1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 ×14.8%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 ×11.5%
療養介護1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 2.5%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 2.3%
生活介護1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 1.4%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 1.3%
自立訓練
(機能訓練)
1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 5.0%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 4.5%
自立訓練
(生活訓練)
1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 3.9%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 3.4%
就労移行支援1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 2.0%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 1.7%
就労継続支援A型1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 0.4%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 0.4%
就労継続支援B型1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 2.0%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 1.7%
共同生活援助
(指定共同生活援助)
1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 1.8%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 1.5%
共同生活援助
(日中サービス支援型)
1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 1.8%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 1.5%
共同生活援助
(外部サービス利用型)
1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 2.0%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 1.6%
児童発達支援1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 2.5%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 2.2%
医療型児童発達支援1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 9.2%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 8.2%
放課後等デイサービス1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 0.7%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 0.5%
福祉型障害児入所施設1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 5.5%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 5.0%
医療型障害児入所施設1. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅰ)+ 所定単位数 × 3.0%
2. 福祉・介護職員等特定処遇改善加算(Ⅱ)+ 所定単位数 × 2.7%
重度障害者等包括支援福祉・介護職員等特定処遇改善加算 + 所定単位数 × 1.5%
施設入所支援福祉・介護職員等特定処遇改善加算 + 所定単位数 × 1.9%
居宅訪問型児童発達支援福祉・介護職員等特定処遇改善加算 + 所定単位数 × 5.1%
保育所等訪問支援福祉・介護職員等特定処遇改善加算 + 所定単位数 × 5.1%

参考 厚生労働省:2019 年度障害福祉サービス等報酬改定の概要

新処遇改善加算の配分方法

新処遇改善加算の配分方法

 

新処遇改善加算の配分方法2

※厚生労働省の資料をもとに作成

具体的な配分方法について、2018年12月の社会保障審議会介護給付分科会で提示された内容は、以下のようになっています。

  • 介護福祉士等、経験・技能のある介護職員において月額8万円の処遇改善となる者、または処遇改善後の賃金が役職者を除く全産業平均賃金(440万円)以上となる者を設定・確保すること。
  • 経験・技能のある介護職員は平均の処遇改善額がその他の介護職員の2倍以上とすること
  • その他の職種は、平均の処遇改善額がその他の介護職員の2分の1を上回らないこと。

*平均賃金額についてその他の職種がその他の介護職員と比べて低い場合は、柔軟な取り扱いを可能とする。
また『更なる処遇改善において、リーダー級の介護職員について他産業と遜色のない賃金水準を目指す中で、改善後の賃金額が役職者を除く全産業平均賃金(年収440万円)を超えない場合に改善を可能とすること』

参考 厚生労働省:障害福祉人材の処遇改善について

介護福祉士を中心に月額平均8万円相当の処遇改善

今回の処遇改善では介護福祉士等に対して平均8万円相当の処遇改善額が支給されるとしていますが、これは介護福祉士ひとりひとりが、一律月額8万円をもらえるというわけではありません

処遇改善加算は新たなものも従来のものと同様に、介護報酬請求額の総額に所定の加算率をかけて算出し、事業所に対して支給されるものなので、

  • 請求額が少ない事業所では加算額もそれに比例して少なくなる
  • 2段階の加算率のどちらが適用されるか

上記によっても金額が変わります。

「月額8万円相当の処遇改善となる者を確保する」という要件があるので、少なくとも1名は妥当な改善額を受け取れると考えられますが、厚労省の資料では「小規模な事業所であるなど、月額8万円等の改善を設定することが困難な場合は、合理的な説明を求める」として例外があることにも含みをもたせていますので、各職員が納得できる処遇改善になるかどうかは、まだ不透明といえそうです。

勤続10年以上は事業所による

対象となる事業所内での職員の区分は

事業所内での職員の区分
  1. 経験、技能のある介護職員
  2. 他の介護職員
  3. その他の職種

となっていますが、経験・技能のある職員の目安として挙げられている「勤続10年」の考え方については、事業所の裁量で設定できるとしています。

新処遇改善加算の対象外は?

新介護職員処遇改善加算は介護職員の処遇を改善することが目的とされていることから、介護職員の配置が無い以下のサービスは加算算定の対象となりません。

  • (介護予防)訪問看護
  • (介護予防)訪問リハビリテーション
  • (介護予防)福祉用具貸与
  • 特定(介護予防)福祉用具販売
  • (介護予防)居宅療養管理指導
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援

おわりに

今回の介護職員等特定処遇改善加算について介護業界からは、待遇改善に大きく寄与するものとして検討段階から注目が集まっていました。

しかし内容が明らかになるにつれて「小規模の事業所にとって不利なのではないか」「経験ある職員の引き抜きの激化につながるのでは」と言った声が現場からは出ています。

10月の実施までにそのような懸念を払しょくし、期待に応える取り組みとしてスタートできるのか、注視したいところです。

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