最近、テレビCMやネットでも多く見かける「無料保険相談」。いま加入している保険について内容を詳しく教えてくれたり、もっと良い条件の保険を提案してくれるという便利な相談窓口です。大きなショッピングモールなどにある店舗型や、ネットで申し込んで後日面談する訪問型などがあります。
でも、この無料保険相談「ほんとうに無料なの?」「相談を受けてくれるのはどんな人?」「しつこく勧誘されるのでは?」など、ちょっと怪しく怖い感じもして、興味はあっても相談を迷っている人は多いかもしれません。個人情報の流出や悪用なども心配なことの1つでしょう。
無料保険相談に関する口コミを見てみると、相談者の満足度は対応したFPの質に大きく左右されているようです。そこで、無料保険相談で相談を受けるFP(ファイナンシャルプランナー)について、その資格や仕事、どんな人がやっているのかを調べていきたいと思います。
「無料保険相談」とは?
多数の保険商品から中立に提案してくれる
FPについてお話しする前に、まず無料の保険相談について簡単にご説明しましょう。
保険相談をするには、
- 「訪問型」家や喫茶店などに来てくれる
- 「店舗型」こちらから伺う
の2種類があります。
大手の保険会社が自社商品を扱う直販型や、契約している保険会社の商品のみを扱う専属型の保険ショップと違い、こうした無料保険相談を行っている会社は、特定の生命保険会社の商品だけではなく、多数の会社の保険商品を扱い、その中から中立な立場で提案しているのが特徴です。
【訪問型】無料相談の仕組みは?
保険相談窓口を運営している会社が、各保険会社など提携各社や提携するFP(ファイナンシャルプランナー)のコンサルタント業務をおもな仕事としていて、そこからのコンサルタント料で収益を得ているため、相談料を取る必要がないからのようです。
保険相談は運営会社にとっては収益を得るための業務ではなく、お客様サービスという位置づけとなっています。
訪問型で相談を担当するFPにとっては、加入者が相談した結果、保険に加入した場合は、その契約成立の手数料が保険会社から支払われて収益となります。(個人で運営会社と提携しているFPの場合)
契約につながる見込み客を多数得られるわけですから、無料で相談業務を受けてもFPにとってはメリットになります。
【店舗型】無料相談の仕組みは?
運営している会社が保険の代理店業務をしていて、相談に来たお客様が保険に加入した場合の、保険会社からの契約手数料で収益を得ています。
保険の相談に来る人は、新たに保険に加入する可能性が高いので、そういう方が自分から来店して商品を検討してくれるのは、会社としてのメリットでもあります。そのため、相談者は無料で何度でも相談出来るのです。
FP(ファイナンシャルプランナー)とは?
この無料保険相談で相談を受けるのは、FP=ファイナンシャルプランナーと呼ばれる担当者です。
マイホーム購入、子どもの進学、老後の資金など、人生におけるさまざまな場面で必要になる資金の計画を立てることを「ファイナンシャルプランニング」といい、「ファイナンシャルプランナー」とは、そのプランニングについてアドバイスを行う専門家のことをいいます。
お金に関する幅広い知識がある
資産を増やすための金融の知識や、相続や所得など税制に関すること、住宅ローンや保険・年金・介護制度など、多岐にわたる広い知識が求められます。FPは顧客が目標としている人生の計画を達成できるように、経済面で適切なアドバイスをして手助けする、お金のホームドクターのような仕事と言えるでしょう。
適切なライフプランを提案してくれる
金融や経済の状況は日々変わっていくので、新しい情報を常に学ぶ向上心が旺盛で、数字に強く、情報分析や計画能力が高い人に向いている仕事です。また顧客との面談から、顧客の希望や経済状況などを正確に把握し、それに合ったプランを提案していくのが、この仕事の基本なので、コミュニケーション能力も必要とされます。
FPはどんな保険資格を持っているの?
FPが取得できる資格の種類
「ファイナンシャルプランナー」という呼び方は一般名称で、じつは資格が無くても名乗ることが出来ます。ですから、相談する際にFPのレベルを判断する1つの目安として、資格を持っていることと、その資格のレベルを確認すると安心です。
- 国家資格であるFP技能士(1級が一番上の資格で、ほかに2級、3級)
- 日本FP協会の民間資格である
AFP=アフェリエイテッド・ファイナンシャルプランナー
CFP=サーティファイド・ファイナンシャルプランナー(CFPのほうが上級資格)
FP以外の職業にも人気がある資格
保険の仕事に関わる個人が資格を取るだけではなく、金融関係の会社などに勤務している社員が、スキルアップのために資格を取得したり、独立している税理士・社労士などが業務の幅を広げるために取得する場合もあり、就職や転職、独立にも有利な資格とされています。
国家資格であるFP技能士には有効期限がありませんが、AFP、CFPには資格の有効期限があり、更新するためには約2年間のあいだに、AFPでは15単位以上、CFPでは30単位以上を取得しなければいけません。
FPの民間資格と国家資格の違いは?
資格のレベルでは、2級FP技能士とAFP、1級FP技能士とCFPがほぼ同水準と言われているので、必ずしも国家資格のほうが優れているということでもないようです。
かえって民間資格は更新が必要なため、単位取得のためには、その都度新しい知識や商品について学ぶ機会も多く、より実務的なスキルを身に付けているともいえます。
店舗型のメリット・デメリット
店舗型・訪問型のどちらも、FPが相談に対応するのは同じなのですが、多少の違いがみられるようです。それでは、それぞれのメリット・デメリットを見てみましょう。
店舗型のメリット
- 店舗型は申し込みなどが必要なく、思い立ったときにすぐに来店して相談できる手軽さがメリット
- また取り扱い保険会社も30~40社と、訪問型のFPが扱う平均10社前後と比べて多いのも特徴
店舗型のデメリット
- 窓口にいる担当者の多くは、運営会社の社員であり、入社時に教育は受けていても必ずしも資格を持ったFPではない場合もある
- たいていの場合「入社後*年以内に資格を取得する」ことが会社で決められているようですが、訪問型のFPと比べると経験年数が少ない若い年代のFPが多い印象
訪問型のメリット・デメリット
訪問型のメリット
- 訪問型の保険相談は、ネットや電話で申し込み、指定した日時や場所で面談して行われる
- 相談を受けてくれるのは独立してFPをやっている人がおもで、保険相談を運営している会社と提携している個人のFPになる
- 持っている資格や経験年数、取り扱い保険会社の数など、細かい条件の審査をクリアしなければ提携して仕事をすることができない
- そのため、店舗型よりも経験豊富で優秀なFPに出会える可能性は高い
- 平均して7~8年以上の経験を持つFPが多く、訪問型に無資格のFPはいない
- 申し込み用のサイト内に、所属FPの顔写真や扱っている保険会社の数、資格の種類、経験年数などのプロフィールなどを載せている場合が多いので、事前に下調べが出来る
訪問型のデメリット
- ネットや電話で申し込みになるため、思い立った時に相談できず、少し時間がかかる
- FPが扱う保険商品が平均10社前後と店舗型と比べて少し少ないところもある
口コミに見る良いFPと悪いFP
保険相談の口コミで満足度が低かった場合、理由のほとんどが、FPの対応に関することでした。それほど、個々のFPの資質の良し悪しは、保険相談の満足度に直結しています。
参考までに悪いFPの口コミを挙げてみると、
などがありました。無料保険相談を迷っている人が心配する「しつこい勧誘」は、やはり実際にあるようです。しかし、多くの場合「しつこい勧誘」は会社が禁止しており、ペナルティなども設けているのがふつうなので、一部で質の悪いFPが独自に行っていることのようです。
運悪く、そのようなFPに当たった場合は、カスタマーセンターなどに連絡することで、勧誘を辞めさせたリ、次から別のFPに交代してもらうことができます。
では、このような悪いFPに対して、良いFPとはどんな人なのでしょうか。
FPの資質と個人情報の管理
保険相談とは個人情報を伝えること
良いFPの特徴や仕事の姿勢としては、先に書いたようなものがありますが、ほかにもFPには仕事上、気を付けなければならない重要なことがあります。それは、個人情報の管理に関することです。保険相談と言っても、保険のことだけを話すわけではありません。
個人名や住所、生年月日、職業や家族構成はもちろんのこと、保険を選んで契約するということは、家庭の経済状況や人生設計にも大きくかかわってくることなので、年収や貯蓄額など家計の内情や、家族の個人情報について話す必要も出てきます。
そのような情報をどのように扱っているかや、知り得た顧客情報を口外しないなど漏洩や流出させないことも、FPの資質と大きく関係してきます。
FPは個人情報保護の倫理を順守している
個人情報の取り扱いに関する「個人情報保護法」では、5,000件以上の個人情報を管理している場合に個人情報取扱事業者に該当し、個人情報保護法を守る義務が課せられます。
顧客が5,000人に満たない場合でも、適切な情報管理をすることや守秘義務を守ることは、職業倫理上重要なこととして、FPの資格試験にも繰り返し取り上げられていますし、資格を持ったFPならば、情報管理の基本的な知識や倫理観は持ち合わせていると考えられます。
日本FP協会の有資格者(AFP、CFP)は、顧客の秘密を守ることなど協会が定めた会員倫理規定の順守の約定書に署名もしています。
訪問型と店舗型、守秘義務の取り組み
また訪問型の各運営会社では、提携するFPに対して守秘義務などの守るべき倫理基準やガイドラインを決めているところが多く、そのルールを破った際には登録抹消などのペナルティなども設けているようです。
店舗型の無料保険相談の場合、会社として社員(窓口担当者)への情報管理の指導などはもちろんあると思いますが、ショッピングセンターなどにある開放的な店舗では、やはり周囲が気になります。
その場合、顧客側がどのような店舗を選んで相談するかということも、情報の保護には大事かもしれません。相談を担当したFPが、顧客の個人情報をどのように管理しているのかは、直接尋ねてみてもいいと思います。
信頼できるFPなら、情報の管理や利用についての自社(または提携会社)のガイドラインについて熟知しているはずですし、きちんと説明してくれると思います。それができないFPの情報管理には不安が残るので、詳しい相談は避けたほうが無難でしょう。
長く付き合えるFPを選ぶ4つの条件
無料保険相談は、基本的に何度でも相談できますし、FPを前回の人と変えて、次は別の人に相談してみるということも可能なので、長く付き合えそうな良いFPを見つけるためには、とてもいい仕組みと言えます。
ここで、自分に合った長くお付き合いできるFPを選ぶ際の条件を整理してみましょう。
【その1】資格を持っているかどうか
AFP、CFPまたは、FP技能士1級か2級の有資格者であること。
(FP技能士には3級もありますが、3級はごく初歩的な資格なので、2級以上の資格を持った人のほうが安心だと思います)
【その2】経験年数はどのくらいか
やはり新人さんよりも経験年数は長いほうが、知識も豊富で様々な状況での良いアドバイスが期待できると思います。
【その3】得意な分野は何か
無料保険相談で出会うFPが生命保険に詳しいのは当然なのですが、家計管理や不動産、資産形成など、ほかに自分が相談したい分野があれば、そこに詳しい人がいいでしょう。
【その4】気が合うかどうか
①~③の具体的な条件とは違いますが、仕事のお付き合いとはいえ、やはり人間同士なので「何となく気が合わない」人よりは、気が合いそうという人のほうが、長くお付き合いしやすいのは確かです。
家族の情報などプライベートなことも話すことになるので、人間的に信頼できそうとか、話しやすい人という印象も、大事な条件の1つだと思います。
おわりに
生命保険というのは、家族にとって大事な備えであるにもかかわらず、素人にはどうしても難しいと感じるもの。入院や手術など、保険を使うときになって慌てて内容を確認する、という人がほとんどなのではないでしょうか。
かかりつけのお医者さんのように信頼できるFPが一人いると、普段から気づいたときに保険やお金について相談することが出来ますし、手続きなどが必要になったときもすぐに対応してもらうことが出来ます。
この機会に無料保険相談を通して、家庭の強い味方である「我が家のFP」をぜひ探してみませんか?