クロイツフェルト・ヤコブ病の感染経路は?症状や原因、治療法を解説

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認知症は、動脈硬化や心疾患、糖尿病や脳出血、脳梗塞など脳の血管異常や頭部の強打や事故など、何かしらの原因で脳の働きが悪くなったり、脳の細胞が死んでしまったりしてしまったために、言葉や視力、行動などの機能に障害が生じるようになります。老化によるもの忘れとは違い、日常生活にも支障をきたすようになります。そして認知症は、その他にも様々な原因があると考えられています。

クロイツフェルト・ヤコブ病とは?

プリオン蛋白が原因

脳や脊髄などの神経系に多く存在し、230個のアミノ酸からなるたんぱく質の正常なプリオン蛋白は全ての人が持っていますが、生成の段階で突然変異により立体構造変化を起こし、感染性を持つ異常プリオン蛋白になります。主に中枢神経に蓄積、脳神経細胞の機能を障害する疾患でプリオン病と呼びます。

毎年100人以上が発症

プリオン病の代表が、クロイツフェルト・ヤコブ病(Creutzfeldt-Jakob disease CJD)で、認知症を引き起こす厚生労働省特定疾患治療研究事業の神経難病疾患として認定されています。診断のための基準が設けられ、現在日本では、約500名が難病に登録されていて、毎年100~200人の発病を確認しています。

クロイツフェルト・ヤコブ病の感染について

日常での感染の危険性は低い

性的接触や母子感染などの感染事例はなく、乳汁中に異常プリオンが検出された報告もないようです。世界保健機構の感染性の分類では、唾液や血液、汗、涙、尿、便、精液、乳汁といった体液に関しては「検出できない程度の感染症」となっており、日常的な看護での接触においては、特別な予防衣などの必要はなく、体液汚染の可能性は少ないようです。

しかし、患者さんの脳やリンパ系組織、脊髄には強い感染力がありますので、医療を介しての感染が懸念されています。

感染対策として行うこと

医療現場での感染が危惧されているため医療者は、以下の感染対策を行ってください。

診療用具 使い捨て出来る器具を使用し、血液や体液で汚染された場合は、破棄する
衣類、シーツ等 血液で汚染された場合は、感染性廃棄物として破棄する。
汚染されていないシーツや衣類は、通常の洗濯で行う
入浴 褥瘡があり血液や体液で汚染されている場合は、シャワー浴にする
清拭 血液が付着したタオル等は破棄する。
汚染されていないタオル等は、通常の洗濯で行う
便器・尿器 患者専用にする。別の患者に使用する場合は、
しっかり洗浄後、次亜塩素酸ナトリウム0.05%に30分浸ける
医療行為時 ゴーグル・サージカルマスク・グローブを2重に着用する。
感染対策として器具をしっかりメンテナンスする。
消毒や滅菌の前に厳重に洗浄を行う。
洗浄が困難と考えられる器具は使用ごとに破棄する
家庭内での介護 通常の介護では感染することはありません。
ただし、血液・体液・褥瘡などの傷に触る時は、
ゴーグル・サージカルマスク・グローブを2重に着用し対応をする

クロイツフェルト・ヤコブ病の症状

認知症の進行が早い

主な症状としては、性格の変化や視覚異常、抗うつや不安感、記憶の喪失やめまい、倦怠感などの症状が現れます。数カ月以内に認知症が進行し、上肢を中心にミオクローヌスと呼ばれる自分の意思とは無関係な不随意的な収縮(筋肉の引きつり)が認められるのが特徴です。

発症から1年もたたないうちに認知症の症状が進行し、泥酔した時の千鳥足のようなふらつき歩行や視力障害、そして言葉が出にくくなる「失語」で意思の疎通が難しくなります。

余命は短く寝たきりになる

また、着替えや手洗いなどが出来なくなり、黙っているつもりでも体が踊っているように動く「舞踏病」やちょっとした物音にも敏感に反応してしまう「驚愕反射」などの症状も見られます。

最終的には、眼球運動や飲食物を胃に運ぶ運動以外の自発的な運動はなくなって、「無動無言症状態」の寝たきりになり、発病後の平均余命は約1~2年と言われています。

クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)の種類

異常なプリオン蛋白の増殖が感染因子と考えられ、短期間に脳が委縮し脳細胞を破壊します。脳がスポンジのように穴だらけになり、急速に進行する認知症と全身の不随運動が起こりやすい脳組織の海綿状(スポンジ)変性が特徴の疾患です。

症状がアルツハイマー型に似ており、判断が難しく、病理解剖して判明することもあるようです。クロイツフェルト・ヤコブ病には、さまざまな種類があります。それぞれの原因や感染経路などをみていきましょう。

孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病とは?

殆どが50代以上で男女差はなく100万人に1人の割合で発症し、患者数全体のほぼ8割を占め、原因は不明です。また、若年層の症例はまれなタイプで、ほとんどが孤発性で遺伝性はないようです。

遺伝性クロイツフェルト・ヤコブ病とは?

ヤコブ病の原因である異常プリオンが作られやすく溜まりやすいといったプリオン蛋白遺伝子変異による家族型タイプです。プリオン蛋白遺伝子コドン180は全体の45%を占め、平均の発症年齢は77歳ですが、プリオン蛋白遺伝子コドン200の平均は58歳とプリオン蛋白遺伝子の変異によっても異なります。

また、家族歴がない症例も多く、遺伝子に変異があってもすべての人がプリオン病になるわけではなく、どれくらいの確率で発症するのかもまだわかっていません。

感染による獲得性クロイツフェルト・ヤコブ病とは?

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変異性クロイツフェルト・ヤコブ病とは?

発症年齢が10代~30代と若いのが特徴で、イギリスに端を発し、感染源は牛海綿状脳症、いわゆる狂牛病(BSC)を発症した牛の特定危険部位を食べたことにより、人間に伝染(感染する)したものと推測されているタイプです。

このタイプは後天性の型のひとつで、「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」と呼ばれており、日本での感染例は、2005年に英国に滞在した経験があり、同国での感染が疑われた患者1名が日本で確認されています。

病原体が蓄積しやすい舌や頬肉、皮以外の頭部、脊髄や脊柱、そして回腸が盲腸に繋がる出口から2mの回腸遠位部を「特定危険部位」(SRM)として扱われ、除去、または焼却処分する感染予防が義務付けられています。

クールー病とは?

クールー病は、クロイツフェルト・ヤコブ病の一種でパプア・ニューギニアのフォア族の不治の病と言われてます。死者の弔いで死体を食する習慣があり、感染経路は死者の脳みそや内臓といった悪性のプリオン蛋白質を摂取したことで発症します。

クールー病の症状は、狂牛病(牛海綿状脳症)によく似ていると言われ、視力障害や平衡感覚の喪失で歩行が困難になり、痴呆など脳の機能障害により一年以内には寝たきりになります。

医源性クロイツフェルト・ヤコブ病とは?

医源性クロイツフェルト・ヤコブ病とは、クロイツフェルト・ヤコブ病に感染しているドナーからの臓器移植や異常プリオンに汚染された医療器具をほかの患者の手術で使用するなどの医療行為により感染します。

通常の減菌法や洗浄ではプリオンは破壊できませんが、漂白剤をすることでプリオンを消失させることができ有効となっています。このような経路で感染するリスクは低いのですが、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の患者からの輸血での感染事例が3例あります。

クロイツフェルト・ヤコブ病の検査・診断

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髄液検査や血液検査で診断

プリオン病には髄液検査や血液検査が診断に役に立ちます。髄液NSE測定は外注検査会社で行われます。血液細胞を用いたプリオン蛋白遺伝子検査は、遺伝性(家族性)プリオン病の診断の確定に必要な検査で、東北大学などで行われています。

クロイツフェルト・ヤコブ病の発症前の検査方法はなく、発症してから脳脊髄液の分析や脳波検査(EEG)、MRI(磁気共鳴画像)等で診断します。脳波を検査すると、特徴的な周期性同期生放電(PSD)の波形が認められ、MRIでは脳の萎縮が見られます。

参考 認知症の検査はどこの病院・何科に行けばいいの?

クロイツフェルト・ヤコブ病の治療について

今後の治療薬開発に期待

プリオン病・クロイツフェルト・ヤコブ病の治療は、対症療法や支持的治療になり、専門医師の診断を受けることが大切です。

現在のところ、進行を抑制する治療薬は開発されていませんが、症状により、抗生剤を投与し、ミオクローヌスに対しては、抗けいれん薬投与するなどの方法がとられています。また、抗精神薬や抗マラリア薬には、プリオン蛋白を増殖抑制する作用があることがわかり期待されています。

公費負担医療制度やサポートネットワークを活用する

病気に対して正確な状況を把握する為にも、難病情報センターでは一般的な情報を提供しており、ヤコブ病サポートネットワークのホームページでは患者家族支援情報を掲載しています。

プリオン病は指定難病の対象になっていますので、治療費を公費で負担してもらえる制度を利用できます。市区町村の窓口に確認し、申請が認定されれば、医療受給者証が交付されますので、指定医療機関を受診し提示します。

おわりに

クロイツフェルト・ヤコブ病は、突然変異により立体構造変化を起こし、異常プリオン蛋白になります。そして、中枢神経に蓄積、脳神経細胞の機能を障害し発症します。現在は進行を止める治療薬がないため症状がでたら、すぐに受け入れ可能病院・専門医等リストで探し、受診してください。

2,000年以前では、硬膜移植による薬害ヤコブ事件がありました。ヒト死体の滅菌がされていない硬膜移植により感染し、多くの人がヤコブ病にかかり苦しんだのです。こういった事件を二度と繰り返さないためにも、国はしっかり責任を果たし、医療機関は万全の感染対策をしてほしいと願います。

 

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