赤ワイン(レスベラトロール)が健康に良いみたいだけど、どんな効果があるのかな?
このように
- 赤ワイン(レスベラトロール)の健康効果について詳しく知りたい
- レスベラトロールの摂取方法が知りたい
など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、ワインには高い健康効果がある、赤ワインの効果・効能、赤ワインの摂取量、赤ワインの摂取方法、赤ワインの注意点、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
ワインには高い健康効果がある
有名アスリートも愛飲するワイン
赤ワインに含まれているポリフェノールに健康効果があるのは広く知られています。
カラダづくりのプロであるアスリートにもワイン好きが多く、特に有名なのが元プロ野球選手の桑田真澄氏。
彼は日本ソムリエ協会の名誉ソムリエに認定されているほどのワイン通ですが、以前は全く飲まなかったワインを飲むようになったのは、現役時代にケガをしてリハビリを行っていた時期のこと。
1日1杯の赤ワインがカラダにいい、というのを耳にして飲み始めたのだそうです。
赤ワインには強い抗酸化作用がある
「ポリフェノール」とは、アントシアニンやプロアントシアニジン、ケルセチンなど5000種以上もある苦みや色素の成分で、強い抗酸化作用があります。
ポリフェノールはアルコールと一緒に摂取すると吸収されやすく、その点でも赤ワインはポリフェノールを摂るには適した飲み物といえるでしょう。
しかし白ワインは、皮は取り除いて、ぶどうの果実だけを使って作っているため、赤ワインに比べてわずかなポリフェノールしか含んでいません。
そのため、健康効果を期待してワインを飲むなら、赤ワインがおすすめなのです。
ポリフェノールを多く含む赤ワイン
同じ赤ワインでも熟成されたワインのほうがポリフェノールを多く含み、使っているぶどうの種類や産地によってもポリフェノールの量には差があります。
▼特に多くのポリフェノールを含んでいる赤ワイン
- カベルネソーヴィニヨン(cabernet sauvignon)
フランス・ボルドー地方をはじめ、カリフォルニアワインやチリワインにも多く使用されているぶどう品種で、手に入りやすい赤ワインです。 - ネッビオーロ(nebbiolo)
ネッビオーロは主にイタリア・ピエモンテ州で生産されているぶどう品種で「バローロ」「バルバレスコ」など比較的高価な銘柄に使われています。
赤ワインに含まれる「レスベラトロール」とは
赤ワインに含まれるポリフェノールには、
- レスベラトロール
- アントシアニン
- タンニン
などがあります。
そのうちのひとつ、レスベラトロールは紫外線の刺激から種を守るために植物が作り出している物質で、サーチュインという長寿遺伝子(抗老化遺伝子)を間接的に活性化させる作用があるとされています。
構造の違いからレスベラトロールにはシス型とトランス型の2種類があり、このうち健康長寿への効果が期待されるのはトランス型のレスベラトロールです。
ピノ・ノワールのレスベラトロール含有量はカベルネ・ソーヴィニョンの10倍とされています。
赤ワインの効果・効能
赤ワインには、どのような効果・効能があるのか。研究や臨床結果などによる赤ワインの科学的根拠(エビデンス)を見てみましょう。
認知症の予防・効果
ポリフェノールのひとつであるレスベラトロールには、神経を保護する働きがあるので、脳細胞が何らかの原因で傷ついたり死滅し減少することで起こる認知症を予防してくれると考えられます。
【フランス】ボルドー大学の研究(1997年)
フランス・ボルドー大学の研究によると、毎日グラス3~4杯(375~500ml)のワインを飲む人は、飲まない人と比較してアルツハイマー型認知症の発症率が3分の1だった、という報告もあります。
出典:Rev Neurol (Paris). 1997 Apr;153(3):185-92.
【スペイン】バイオメディシン研究所の研究(2013年)
アルツハイマー病のモデルであるSAMP8マウスにおけるレスベラトロール摂取の効果を調べたところ、レスベラトロールがマウスの平均余命および最大寿命を延長させることが確認されました。さらに、アルツハイマー病の神経保護効果についてのインビボ(生体内)試験では、長期のレスベラトロール摂取が、AMPK経路およびサーチュイン1遺伝子などの生存促進シグナル経路を活性化することを確認しました。これらの研究結果から、レスベラトロールが認知障害を減少させ、神経保護的役割を有し、アミロイド負荷を減少させ、タウ過剰リン酸化を減少させるということがわかりました。
出典:Age (Dordr). 2013 Oct;35(5):1851-65. doi: 10.1007/s11357-012-9489-4. Epub 2012 Nov 7.
脳機能の改善効果
【スペイン】バルセロナ大学らの研究(2014年)
アルツハイマー病マウスにレスベラトロールの経口投与に対する効果を評価しました。長期経口投与したところ、記憶喪失を有意に防止したことを証明しました。さらに、レスベラトロールは、アミロイド負荷を減少させ、マウスの脳におけるミトコンドリア複合体IVタンパク質レベルを増加させました。これにより、レスベラトロールはマウスの海馬で起こる有害なプロセスを軽減し、記憶喪失を防ぐことができるということがわかりました。
出典:J Alzheimers Dis. 2014;42(4):1209-20. doi: 10.3233/JAD-140444.
動脈硬化・高血圧・心血管疾患の予防効果
動脈硬化は血管の柔軟性が損なわれて起こる病気です。
赤ワインには、この血管を柔らかく保つ物質が含まれているので、血管の健康を守ってくれます。また、アルコールは多く飲み過ぎると、血圧が上昇してしまいますが、1日に250ml程度のワインの摂取では、逆に血圧を下げる効果が期待できます。
赤ワインは善玉コレステロールを増やし、心疾患などのリスク要因となる悪玉コレステロールを減らしてくれるので、心臓病の予防に効果的と言えます。
また、ワインを飲む習慣のある人は、血栓の元となるフィブリノーゲンというたんぱく質が少ないことが分かっています。
【ブラジル】パラナ・カトリカ大学の研究(2012年)
20匹の雄白ウサギを、対照群10匹およびレスベラトロール群10匹の2つの群に分け、全てのウサギに高コレステロール食を56日間与え、レスベラトロール群については、33〜56日目からレスベラトロール(2mg / kg体重/日)を加えました。対照群のうち、70%は進行大動脈硬化性病変(III型、IV型、V型またはVI型)を発症しましたが、レスベラトロール群の全てのウサギは軽度の大動脈硬化性病変(I型またはII型)または病変なしという結果となりました。内膜面積および内膜/媒体層面積比は、対照群と比較してレスベラトロール群において有意に低い値でした。これにより、レスベラトロールは、高コレステロール血症食餌を与えたウサギのアテローム性動脈硬化症モデルにおいて、有意な抗アテローム発生効果および抗炎症効果を示しました。
出典:Arq Bras Cardiol. 2012 Feb;98(2):136-42. Epub 2012 Jan 9.
糖尿病の予防効果
ふつう糖尿病では、アルコールの摂取は控えるように言われます。これは、利尿作用により血液の濃度が高まって合併症の原因となるためです。
しかし、料理とともにワインをグラス1杯程度飲む場合では血糖値にも影響がなく、赤ワインのポリフェノールが血液の流れを良くし、糖尿病の改善にも効果があるという研究結果もあります。
【インド】JSS メディカル大学の研究(2012年)
2型糖尿病と診断された62人の患者を対象に2グループに分けました。対照群は血糖降下薬のみ、レスベラトロール群は血糖降下薬とともにレスベラトロール(250mg / d)を3ヶ月間経口投与しました。結果は、3ヶ月間レスベラトロールを摂取すると、2型糖尿病における平均ヘモグロビンA(1c)値、収縮期血圧、総コレステロールおよび総タンパク質の大幅な改善がみられました。これにより、レスベラトロールの経口補給は、血糖コントロールの改善、糖尿病の治療および管理に有用なことがわかりました。
出典:Nutr Res. 2012 Jul;32(7):537-41. doi: 10.1016/j.nutres.2012.06.003. Epub 2012 Jul 27.
腎臓結石や関節リウマチの予防効果
また、赤ワインの糖質は、白ワインやスパークリングワインなどと比べても低いので、糖質制限中のアルコール摂取にも、赤ワインは適しています。
ほかにも赤ワインには、腎臓結石が出来るのを抑制する、関節リウマチのリスクを減らす、たばこの影響を軽減する、などの効果もあります。
【トルコ】シュリーマンデミール大学らの研究(2017年)
雄ラット24匹を無作為化して、対照群、高シュウ酸尿症群およびレスベラトロール治療群の3群に割り付け、それぞれ投与を行いました。レスベラトロール治療群の尿中シュウ酸塩濃度は、高シュウ酸尿症群と比較して、低い値となりました。また、レスベラトロール治療治療群の血清MDA値においても、高シュウ酸尿症群よりも低い結果がでました。これにより、レスベラトロールは高シュウ酸尿症を予防する効果を示し、腎結石の再発防止を高める代替治療法となることがわかりました。
出典:Int Urol Nephrol. 2017 May;49(5):769-775. doi: 10.1007/s11255-017-1534-x. Epub 2017 Feb 9.
【中国】安徽医科大学の研究(2014年)
アジュバント関節炎ラットを用いてレスベラトロールの抗炎症効果を調査したところ、レスベラトロール(10または50mg / kg)は、アジュバント関節炎による足の腫脹を有意に減少させ、関節炎スコアを減少させたことを実証しました。レスベラトロール治療により、アジュバント関節炎モデルラットと比較して、Con A刺激脾臓細胞増殖の有意な抑制効果、滑膜肥厚および炎症性細胞浸潤を伴う関節軟骨変性の抑制、シクロオキシゲナーゼ-2およびプロスタグランジンE2産生の減少が観察されました。これらの結果により、レスベラトロールは、アジュバント関節炎モデルラットに対して、シクロオキシゲナーゼ-2およびプロスタグランジンE2炎症メディエーターの減少を通じて、抗炎症効果を有することを示唆しています。
出典:Mol Med Rep. 2014 Jun;9(6):2592-8. doi: 10.3892/mmr.2014.2070. Epub 2014 Mar 24.
しわ・たるみの予防効果
【カナダ】マギル大学の研究(2010年)
ヒト表皮角化細胞株をニトロプルシドナトリウムに暴露し、細胞死が起こることを確認しました。レスベラトール処置により、ニトロプルシドナトリウムによる細胞死の減少がみられました。またレスベラトロールの保護作用は、細胞死数およびニトロプルシドナトリウムによって誘発されるミトコンドリアアポトーシス事象の両方を減少させることができました。これにより、レスベラトロールが、表皮のポリフェノール結合部位に作用し、加齢に伴う皮膚疾患を予防するのに有用であることがわかりました。
出典:PLoS One. 2010 Sep 23;5(9):e12935. doi: 10.1371/journal.pone.0012935.
排尿困難の改善効果
【中国】大連医科大学らの研究(2017年)
慢性前立腺炎ラットにおいて、膀胱の最大容量、残留尿量および最大排尿の増加がみられました。慢性前立腺炎ラットの排尿筋において著しく増加したコラーゲン沈着を示し、H&E染色により、排尿筋が決裂し無秩序に配置されていることを確認しました。慢性前立腺ラット群の膀胱排尿筋におけるc-kit / SCFおよびTGF-β/ Wnt /β-カテニン経路の活性、トリプターゼおよびα-SMAの発現が、対照群にくらべ大幅に増えたことがわかりました。
これら慢性前立腺ラットでみられた諸症状は、レスベラトロール治療により、有意に改善されました。レスベラトロール治療による肥満細胞の活性化は、尿機能障害と密接な関係がある排尿筋線維症を促進するものとみられます。レスベラトロールは、肥満細胞活性化およびTGF-β/ Wnt /β-カテニン経路の活性を減衰することにより、排尿機能不全を改善することがわかりました。
出典:Eur J Pharmacol. 2017 Nov 15;815:495-500. doi: 10.1016/j.ejphar.2017.10.017. Epub 2017 Oct 12.
赤ワインの摂取量
1日摂取目安量は240~250ml
赤ワインの1日摂取目安量は240~250mlほどが、健康的な適量です。ワイングラスに注ぐとおおよそ170mlほどになりますので、個人差もありますが、男性女性ともに1日1.5杯~2杯ほどが好ましいでしょう。
摂取するのにおすすめの時間は?
夕食時、または昼食時に料理と一緒に飲むのが良いとされていますが、日本では欧米のように日中ワインを飲む習慣はあまり見られないので、夕食時がいいかもしれません。
赤ワイン1杯のレスベラトロールは?
赤ワイン1杯あたりにレスベラトロールはおおよそ1mg程度になります。健康効果の高いレスベラトロールを意識して飲む場合はアルコール入りではなく、ノンアルコールの赤ワイン飲むことをおすすめします。
赤ワインの摂取方法
【1】ノンアルコールワインを飲む
治療や投薬中で医師に飲酒を禁じられていたり、もともとお酒が飲めない方にはノンアルコールのワインも出ているので、そういったものを試してみることをおすすめします。
ノンアルコールといってもポリフェノールの量は普通のワインと変わらず、飲みやすく味も良いようです。
【2】サプリメントを摂取する
毎日ノンアルコールワインを飲むとお金が結構かかってきますので、より確実に効果を期待して摂取するなら、サプリメントもおすすめです。
参考 サプリメントを摂取するメリット・デメリット|知らない人は要注意!
赤ワインの注意点
無理して飲むのは厳禁
ぶどうから作られたワインには薬のような副作用はありません。
しかし、アルコールなので飲みすぎは禁物ですし、赤ワインの健康効果を得たいとしてもお酒が苦手な方、糖尿病でも症状が重い方などが、無理してアルコールを飲むのは、やはりおすすめできません。
また、ワイン100ml当たりのカロリーは約73kcalと少な目ではありますが、ワインのおつまみとして人気のメニュー、チーズや生ハムなどは案外高カロリー。
摂りすぎるとすぐにカロリーオーバーになってしまうので、一緒に食べる料理やおつまみにも注意が必要です。
おわりに
普段はビール党という方も、この機会に赤ワインの健康習慣を始めてみませんか。