精神保健福祉士の試験を受けようと思っているので受験資格や合格率を知りたい
精神保健福祉士の仕事内容や給料を知りたい
上記のようにこれから精神保健福祉士の資格を取得するにあたり詳しく知りたい方はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、精神保健福祉士の仕事内容や将来性、転職先、受験資格取得ルート、試験内容、合格率、メリットなどを詳しく解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
精神保健福祉士とは
精神保健福祉士とは、国家資格の一つで精神科ソーシャルワーカー:通称PSW(Psychiatric Social Worker)サイキアトリックソーシャルワーカーと呼ばれています。
精神的な障害のある人に対して社会復帰や社会参加に向けた支援、入退院の支援、家族や各機関への連絡調整、日常生活をスムーズに行えるようになる支援などを行う仕事になります。
1950年代より精神科ソーシャルワーカーが活躍されていました。精神保健福祉士の定義は、
精神保健福祉士の名称を用いて、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神科病院その他の医療施設において精神障害の医療を受け、又は精神障害者の社会復帰の促進を図ることを目的とする施設を利用している者の地域相談支援を業とする者をいう。
とされており、1997に精神保健福祉士が誕生しました。
精神保健福祉士の仕事内容
精神保健福祉士は、精神的な障がいを抱えている方たちと向き合い、社会復帰へ向けての支援を行う専門職です。
支援する具体的な対象者は以下の方々になります。
- 対人関係の複雑化による発達障害児(者)の適応困難
- 妊産婦の自死、児童虐待の背景にある周産期精神障害
- 児童・思春期のいじめによる不登校、引きこもり。自死(自殺者総数は減少しているが、若者の自殺は漸増)など。
- 働き方改革を要する過重労働やリストラ、非正規雇用による社会・経済的要因による労働者の精神障害。
- 高齢化の進行による認知症の増加は、認知症を取り巻く新たな社会問題(社会的入院、介護うつ、介護難民、虐待など)を誘発する。
- 頻発する災害と長引く避難生活によるストレス
- 薬物・ギャンブル障害等の嗜癖性障害
上記のような精神疾患を抱えている方の悩みや想い、状況を正確に理解し、本人に寄り添いながらサポートを行います。
仕事内容は
- 日常生活を送るための訓練
- 地域施設利用の支援
- 就労支援施設等の紹介
- 公的支援制度の紹介
など多岐に渡りますが、本人とその家族を支える大切な役割を担っています。
医療関係者や施設関係者などとも連携を取りながら、精神的な障がいを抱えている方がスムーズに社会参加できるようお手伝いします。
働く職場によっては、入退院の支援、自宅での支援や外出の同伴、子供のいじめや不登校への対応、行政機関での各種手続き、普及啓発活動などの支援も行います。
精神保健福祉士のメリット4つ
【メリット①】仕事の幅が広がる
精神保健福祉士を取得すると、業務の幅が広がりキャリアアップも目指すことができます。
介護業界では精神保健福祉士の資格がなくても仕事はできますが、精神保健福祉に関する知識や技術を習得することで、仕事ができる範囲が広がります。
認知症の方の生活を支える仕事の他にも、精神保健福祉士の支援対象として発達障がいの方も位置づけられるようになりました。発達障がいの方とその家族の支援、訓練、調整なども行います。
【メリット②】やりがいがある
福祉系三大国家資格の一つである精神保健福祉士は、PSW(精神科ソーシャルワーカー)とも呼ばれ、精神障がい者の方の生活や社会生活の支援などを行います。
精神障がい者の方が日常生活を送りやすい環境を作り、社会復帰するために精神面で支援しますが、それぞれの問題を解決できたときには大きなやりがいを感じることができるでしょう。
【メリット③】就職に有利
精神保健福祉士の主な就職先は、医療業界や福祉業界だけではなく、教育機関、行政機関、児童相談所など多岐に渡ります。
ストレス社会と言われる日本では、心の悩みや病気に関する相談が増えていますので、専門知識を持った精神保健福祉士の需要は高まっていく可能性が高いでしょう。
また、国家資格である精神保健福祉士は、社会的な信用度や将来性が高いが高いため、就職や転職に有利だといえます。
【メリット④】給料が上がる
介護職の中でも精神保健福祉士の給料は、比較的高いようです。勤務先によって違いますが、福祉業界などより行政機関や医療業界の方が給料が高い傾向にあります。
精神保健福祉士は国家資格なので、国家公務員の給料を基準としていることが多いため手当や賞与も高いようです。経験を積むことでさらに高い給料が期待できる可能性もあります。
精神保健福祉士の将来性
将来性が高い資格
現代社会では心の闇とか精神的な問題という言葉をよく聞くようになった人も多いのではないでしょうか。そのことからも分かるように社会全体が抱えている「心の問題」に対して積極的に国自体が取り組んでいこうという状態になっています。
そのため精神保健福祉士の役割が非常に大きくなりつつあり、生活支援サービス分野における活躍が期待されつつあるのです。
以前は精神保健福祉サービスそのものが用意されていなかったり、あったとしても非常に利用しにくいところに配置されることが多かったのですが、1999年から精神障害福祉を市民に少しでも近くにある状態にするため、市町村に担当窓口が設置されるようになりました。
この時期から本格的な精神障害者へのサポートが求められるようになり、精神障害者の社会進出も増えていくことになります。
一般企業での採用率高まる
このことから精神保健福祉士の役割はますます重要なものとなっており、最近では一般企業でも精神保健福祉士が「ストレス対策」や「メンタルケア」要員として採用されていくケースも出始めております。
上記のような現状を踏まえると、急にこれらの政策を無しにすることは考えられにくいので、ますます働き口と役割が大きくなっていくことが考えられ、将来性も非常に高いものとなっていくことが予想されるでしょう。
精神保健福祉士の就職先
精神保健福祉士にはどのような働き先があるかというと、
- 医療機関(総合病院、リハビリテーションセンター、診療所など)
- 生活支援施設(グループホーム、地域活動支援センター、自立訓練事業など)
- 保健施設(保健所、保健センターなど)
- 福祉施設(児童福祉施設など)
- 司法施設(保険観察所、矯正施設など)
- 就労関連施設(ハローワーク、復職支援関連施設、就労支援施設など)
- 行政(市・区役所)
- 小学校・中学校(特別支援学級)
非常に豊富ですよね。どこで採用されるかによって求められることが多少は異なってきますが、主目的である心の病を抱えている人を社会的な面でも生活的な面でもサポートするという部分は変わらないでしょう。
転職する場合
名称独占の国家資格ではありますが、この資格のみで生計が成り立つことはありません。厳密にいうと就職・転職する場所や個人の力量によりますので、場合によっては調整役で駆けずり回り使いぱっしりになることもあります。
職場が介護系(グループホームなど)と医療系(病院など)によっても仕事内容が大きく変わってきます。
- グループホームの場合
事務作業、相談支援、家事援助、一部介助など - 病院の場合
入院相談、退院調整、介護サービスの紹介・申請、手続き代行、書類業務、グループワークなど
病院によっても仕事内容が変わるので、しっかりと就職・転職する職場を見定めて就くことが大切です。もちろん自分自身のスキルや仕事意識が高くないと望んでいる場所で働くのは難しいでしょう。
精神保健福祉士の給料
精神保健福祉士の給料は国家資格であるため国家公務員に近い給料となるようです。基本給はあまり高くはないようですがボーナスやそれ以外の様々な手当てが優遇されている傾向にあります。
介護や医療の方向で働いている人はだいたい月給が17万〜20万となっていて、年収にして300~400万円となっているようです。時給は900円~1,200円くらいです。
給料 | 金額 |
年収 | 300万円〜400万円 |
月収 | 17万〜20万円 |
時給 | 900円~1200円 |
ただし、実力が無い人は給与が左右され、低い人と高い人の差がある資格でもあります。
精神保健福祉士の受験資格・資格取得ルート
精神保健福祉士の受験資格を得るためには、「学校へ通う」「社会福祉士を取得する」「養成施設で経験を積む」「通信講座で通う」など様々なパターンで以下の11通りのルートがあります。
- 福祉系の4年制大学(指定科目履修)を卒業
- 福祉系の4年制大学(基礎科目履修)を卒業 ▶ 短期養成施設等を6ヶ月以上経験
- 福祉系の短期大学・専門学校等(3年制の指定科目履修)を卒業 ▶ 相談実務を1年経験
- 福祉系の短期大学・専門学校等(3年制の基礎科目履修)を卒業 ▶ 相談実務を1年経験 ▶ 短期養成施設等を6ヶ月以上経験
- 福祉系の短期大学・専門学校等(2年制の指定科目履修)を卒業 ▶ 相談実務を2年経験
- 福祉系の短期大学・専門学校等(2年制の基礎科目履修)を卒業 ▶ 相談実務を2年経験 ▶ 短期養成施設等を6ヶ月以上経験
- 一般の4年制大学を卒業 ▶ 一般養成施設等に1年以上通学
- 一般の短期大学・専門学校等(3年制)を卒業 ▶ 相談実務を1年経験 ▶ 一般養成施設等に1年以上通学
- 一般の短期大学・専門学校等(2年制)を卒業 ▶ 相談実務を2年経験 ▶ 一般養成施設等に1年以上通学
- 相談実務を4年経験 ▶ 一般養成施設等に1年以上通学
- 社会福祉士登録者 ▶ 短期養成施設等を6ヶ月以上経験
4年制学校の昼間部 | |
学費 | 初年度納入金、入学金、受講料など 合わせて総額約100万円前後 |
4年制学校の夜間部 | |
学費 | 初年度納入金、入学金、受講料など 合わせて総額約60万円前後 |
とりあえず、一般の大学や短大を出ている方で今は社会人や主婦をやっている方がこれから目指すなら、必ず短期もしくは一般養成施設を卒業する必要があります。
精神保健福祉士の試験概要
精神保健福祉士の国家試験の内容は以下になります。
申込受付月
令和3年9月9日(木曜日)から10月8日(金曜日)(消印有効)
なお、過去の試験(第1回~23回)で、受験票を受け取った方のうち、確定した証明書を提出した方は、インターネットによる受験申し込みができます。
試験日
- 令和4年2月5日(土曜日)
- 令和4年2月6日(日曜日)
試験会場
(7試験地)
受験科目
「専門科目」と「共通科目」の試験は別日で行われます。
科目名 | 試験科目 |
専門科目 | 1. 精神疾患とその治療 2. 精神保健の課題と支援 3. 精神保健福祉相談援助の基盤 4. 精神保健福祉の理論と相談援助の展開 5. 精神保健福祉に関する制度とサービス 6. 精神障害者の生活支援システム |
共通科目 | 7. 人体の構造と機能及び疾病 8. 心理学理論と心理的支援 9. 社会理論と社会システム 10. 現代社会と福祉 11. 地域福祉の理論と方法 12. 福祉行財政と福祉計画 13. 社会保障 14. 障害者に対する支援と障害者自立支援制度 15. 低所得者に対する支援と生活保護制度 16. 保健医療サービス 17. 権利擁護と成年後見制度 |
受験料
- 精神保健福祉士のみ受験する場合:24,140円
- 精神保健福祉士の共通科目免除により受験する場合:18,820円
試験方法
筆記試験
筆記試験は5肢択一式のマークシート方式。午前中80問、午後83問の計163問が出題
試験時間
試験1日目
一般受験者 | 13時30分~15時50分 |
弱視等受験者 (時間が通常の1.3倍) |
13時30分~16時35分 |
点字等受験者 (時間が通常の1.5倍) |
13時30分~17時00分 |
試験2日目
一般受験者 | 10時00分~12時15分 |
弱視等受験者 (時間が通常の1.3倍) |
10時00分~13時00分 |
点字等受験者 (時間が通常の1.5倍) |
10時00分~13時25分 |
合格基準
筆記試験
次の2つの条件を満たした者を合格者とする。
- 問題の総得点の60%程度を基準として、問題の難易度で補正した点数以上の得点の者。
- ①を満たした者のうち、試験科目16科目群(ただし※2に該当する者にあっては、5科目群。)の各科目群すべてにおいて得点があった者。
- 精神疾患とその治療
- 精神保健の課題と支援
- 精神保健福祉相談援助の基盤
- 精神保健福祉の理論と相談援助の展開
- 精神保健福祉に関する制度とサービス、精神障害者の生活支援システム
- 人体の構造と機能及び疾病
- 心理学理論と心理的支援
- 社会理論と社会システム
- 現代社会と福祉
- 地域福祉の理論と方法
- 福祉行財政と福祉計画
- 社会保障
- 障害者に対する支援と障害者自立支援制度
- 低所得者に対する支援と生活保護制度
- 保健医療サービス
- 権利擁護と成年後見制度
※1 配点は、1問1点の163点満点である。
※2 精神保健福祉士法施行規則第6条の規定による試験科目の一部免除を受けた受験者にあっては、配点は、1問1点の80点満点である。
合格率・受験者数・合格者数
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
第23回 2021年 | 6,165人 | 3,955人 | 64.2% |
第22回 2020年 | 6,633人 | 4,119人 | 62.1% |
第21回 2019年 | 6,779人 | 4,251人 | 62.7% |
合格発表
令和4年3月15日(火曜日)
毎年3月末 ホームページまたは受験地にて受験番号を掲示
お問い合わせ
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-5-6
TEL:03-3486-7559(音声案内24時間対応)
ホームページ:http://www.sssc.or.jp/index.html