介護職員処遇改善加算とは?支給方法・対象者・要件・計算方法を解説

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介護職の求人等を見ていると、処遇改善加算ということばを見かけることがありますが、どのような仕組みなのかよくわからない、という人は多いと思います。

この「介護職員処遇改善加算」は、介護の現場で働く人にとって給与額・年収に関わってくる大事な仕組みで、同じ介護の仕事であっても加算の有無によって賃金が違ってくることもあるのです。

今回はこの介護職員処遇改善加算について、掘り下げてみたいと思います。

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介護職員処遇改善加算の概要

介護職員処遇改善加算の目的

介護職員処遇改善加算は、介護職員の賃金改善のために平成24年度に創設されました。

このしくみは、要件を満たした介護施設や事業所に対して、職員の給与を上げるためのお金を介護報酬に上乗せして支給するというもので、賃金改善によって介護職に就く人を増やし、定着させることを目指しています。

平成23年度まで、該当する介護サービス事業者や介護施設は、賃金水準を維持するための介護職員処遇改善交付金の交付を受けてきましたが、介護職員処遇改善加算は、この交付金を介護報酬に移行して、従来の交付金の対象であった介護職員の賃金アップに充てることを目的に作られました。

平成27年、平成29年に行われた介護報酬の改定の際には、昇給につながるキャリアアップのしくみを構築し介護職員の資質を向上させることや、労働環境を整備することで介護人材の定着を図ることなどを目的に、加算を拡充しています。

介護職員処遇改善加算の普及率

介護職員処遇改善加算は事業所が届け出て取得するもので、厚生労働省の平成29年度の調査によると、介護施設全体では91.2%の施設・事業所が取得していて、取得していない事業所は8.8%と1割以下になっています。

取得している事業所全体の約65%が加算Ⅰ、次いで約14%が加算Ⅱを取得しています。

 取得している加算(Ⅰ)加算(Ⅱ)加算(Ⅲ)加算(Ⅳ)加算(Ⅴ)
介護老人福祉施設99.0%80.0%12.8%5.5%0.4%0.3%
介護老人保健施設95.4%71.2%12.1%9.6%1.2%1.3%
介護療養型医療施設69.1%37.8%12.1%15.7%1.2%2.3%
訪問介護88.2%57.4%14.9%13.7%1.3%0.9%
通所介護89.9%63.7%12.9%10.9%1.2%1.2%
認知症対応型共同生活介護98.8%77.9%13.3%6.1%0.7%1.0%
全体91.2%64.9%13.5%10.7%1.1%1.0%

介護職員処遇改善加算はどんな制度なのか?

介護職員処遇改善加算は、事業所が行う介護サービスに対して支払われる介護報酬に、職員の賃金アップに使うことを目的とした報酬が上乗せ(加算)されて払われるわけですが、その額は各介護サービスに対して定められている加算率と、要件による加算の区分(Ⅰ~Ⅴまで)などにより計算されます。

この加算を受けようとする事業者は、介護職員処遇改善計画書に必要書類を併せて、介護サービス事業の指定を受ける都道府県知事または市町村長などに届ける必要があり、要件を満たすことにより、区分に応じた加算を受けることができます。

加算Ⅰ~Ⅴまでの5区分の各要件は以下の通りです。

介護職員処遇改善加算の全5区分

加算Ⅰ

加算額

介護職員一人当たり月額37000円相当

要件

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ、職場環境等要件のすべてを満たしていること

加算Ⅱ

加算額

介護職員一人当たり月額27000円相当

要件

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ、職場環境要件のすべてを満たしていること

加算Ⅲ

加算額

介護職員一人当たり月額15000円相当

要件

キャリアパス要件Ⅰまたはキャリアパス要件Ⅱのどちらかと、職場環境要件を満たしていること

加算Ⅳ

加算額

介護職員一人当たり月額(Ⅲ)×0.9相当

要件

キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、職場環境要件のいずれかを満たしていること

加算Ⅴ

加算額

介護職員一人当たり月額(Ⅲ)×0.8相当

要件

キャリアパス要件Ⅰ、Ⅱ、職場環境要件のいずれも満たしていない場合

介護職員処遇改善加算4つの要件

介護職員処遇改善加算キャリアパス

加算に関わるキャリアパス要件等は、職員がやりがいを持って働きやすい職場を作るために必要とされるもので、事業主はこれらの処遇改善計画を立案し行うことが求められます。では要件の詳しい内容を見ていきましょう。

キャリアパス要件Ⅰ

介護職員の職位、職責または職務内容に応じた任用等の要件、賃金体系を定めすべての介護職員に周知していること

これは主任やフロアリーダーなどの役職に就いた場合の給与額や待遇を、就業規則に記載して明確に職員に知らせることで、個々の職員がキャリアアップへの意欲を持てるようにするものです。

キャリアパス要件Ⅱ

介護職員の資質向上のための計画を策定し、研修の実施または研修の機会を確保し、すべての介護職員に周知していること

研修を実施したり資格取得の費用負担を事業者がするなど、キャリアアップに役立つ具体的な方法や対策を提示することで、職員の意欲を高め資質の向上につなげます。

キャリアパス要件Ⅲ

介護職員の経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組みまたは一定の基準に基づき定期に昇給する仕組みを設けすべての介護職員に周知していること

勤めているすべての職員それぞれが、経験年数や資格によって正しく評価されるようにし、その評価が昇給につながるような制度を整え周知させます。

これによって、職員は目標を持って長く勤務することができます。

職場環境等要件

職場環境等の改善(賃金改善を除く)を実施し、すべての介護職員に周知していること。
例)事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成による責任の所在の明確化、こころの健康等の健康管理面の強化など

あらかじめ事故やトラブルの際の対応が決まっていて、職場でそれが周知されていると、職員は安心して働くことができ、勤務中のストレスの軽減にもつながります。

また実際にトラブル等が起こった時には、スムーズな対応が可能になります。

介護職員処遇改善加算の対象サービス(施設・事業所)

介護職員処遇改善加算の対象サービス

加算額を計算するには、それぞれの介護サービスによって決まっている「加算率」も関係してきますが、加算の対象になる介護サービスには次のようなものがあります。

訪問介護サービス系

  • 訪問介護
  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
  • 訪問入浴介護

通所介護サービス系

  • 通所介護
  • 地域密着型通所介護
  • 通所リハビリテーション
  • 認知症対応型通所介護

グループホーム系

  • 認知症対応型共同生活介護
  • 特定施設入居者生活介護
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護
  • 小規模多機能型居宅介護
  • 看護小規模多機能型居宅介護

入所施設系

  • 介護老人福祉施設
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 短期入所生活介護
  • 介護老人保健施設
  • 短期入所療養介護(老健)
  • 介護療養型医療施設
  • 短期入所療養介護

介護職員処遇改善加算の対象者は?

介護職員処遇改善加算の対象者

この介護職員処遇改善加算が適用される対象者は、介護職員・介護従業者として勤務している人になります。

パート職員

専任、兼任や勤務日数に関わらず、パート職員も介護職に従事していれば加算の対象になります。

派遣職員

派遣職員でも、介護職に従事していれば加算対象とすることが可能です。
事業者は派遣元と相談の上、加算額を派遣料金の値上げ分に充てることになり、計画書・実績報告書は派遣職員を含めて作成します。

看護職員

看護職員の人員配置基準を満たしたうえで、介護職員の不足を補うために看護職員が介護に従事している場合は加算の対象となります。

生活職員

障害者施設や支援事業所で働いている、生活支援員、就労支援員、地域移行支援員、職業指導員なども加算の対象になります。

管理者

管理者は処遇改善の対象者とはなりませんが、対象の介護職を兼務し、常勤換算で勤務時間の算入が認められる場合は、加算の対象となります。

サービス責任者

サービス責任者も管理者同様に、対象職種を兼務する場合は、加算対象者として認められる場合があります。

法人の役員

法人役員でも対象の職種に従事していて、役員報酬とは別に賃金支払いがあれば、その賃金に対しては加算が認められます。

その他の職種

ホームヘルパー(サービス提供責任者を含む)、訪問支援員、児童指導員、指導員、保育士、世話人も対象職種です。

無資格者

加算対象になるかどうかは、介護資格の有無には関係なく、無資格者であっても介護職に従事していれば対象になります。

もらえない職種は?

管理者やサービス管理責任者、児童発達管理責任者、看護職員などの医療職員、事務員、調理員等は加算の対象になりません。

また、法人の代表取締役、代表社員、代表理事等も同様です。

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介護職員処遇改善加算がもらえない施設・事業所

介護職員処遇改善加算の加算対象のサービスに含まれない事業所等は以下になります。

  • (介護予防)訪問看護
  • (介護予防)訪問リハビリテーション
  • (介護予防)福祉用具貸与
  • 特定(介護予防)福祉用具販売
  • (介護予防)居宅療養管理指導
  • 居宅介護支援
  • 介護予防支援

届出をしていない施設・事業所

介護職員処遇改善加算は、施設や事業所が必要な届け出をしなければ受けることができません。

全国に8000カ所以上あると言われる介護施設等のうち、加算を受けていないのは1割程度なのですが、平成29年度の厚生労働省の調査によると、取得しない理由(複数回答)として、未取得の事業者全体の半数以上が「事務作業の煩雑さ」を挙げています。

また、加算額が増えると利用料も増えることから、利用者にお知らせし理解してもらう必要があり、この「利用者負担が増えることの懸念」が2番目の未取得理由に挙げられています。

介護職員処遇改善加算の支給方法(使い道)

介護職員処遇改善加算の支給方法

加算額はまず事業者に支払われますが、加算の目的は職員の賃金改善ですから、その後事業者から職員に支払われることになり、方法は以下の3通りになります。

事業者が他の名目の費用に使った場合、加算額は返還しなければなりません。

給与

処遇改善加算の届出をしたときの基本給に上乗せしたり、昇給分に充てる、「処遇改善手当」の項目をもうけて手当として支払うなど、毎月の給与で職員に支払います。

賞与

多くの事業所や施設では年間1~3回の賞与がありますが、これに上乗せして支払います。

加算総額の分配のしかたは、事業者に委ねられているので、一律の金額で全職員に上乗せする場合もありますし、資格の有無や勤続年数によって異なる場合もあります

一時金

「処遇改善手当」として、または「特別報酬」や「一時金」として、支払われます。

事業者にとっては、毎月の基本給に上乗せする方法よりも、加算の収入額に応じて支払うことができる点がメリットとされています。

法定福利費(社会保険料)

健康保険料や雇用保険料など、加算で賃金が増えたことにより増加した社会保険料のうち、事業者負担の部分を賃金改善額として計算できますが、加算額全額を法定福利費に充てることはできません。

支給の確認方法

加算額が毎月の給与や賞与に反映されている場合は、処遇改善手当または処遇改善加算という名目で給与明細に記載されています。

加算の分配や支払い方法は事業者の方針に寄りますが、必ず支払うこと、分配等については職員に明確にすること、が義務付けられているので、不明な場合は職場に確認しましょう。

介護職員処遇改善加算の流れ

加算の流れは次のようになります。

① 事業者が加算の届け出をする

事業者は、介護職員処遇改善加算届出書および、賃金改善計画を記載した介護職員処遇改善計画書に、就業規則や労働保険の加入が確認できる書類などの必要書類を添付して、加算を取得する前年度の2月末日までに指定権者(都道府県知事または市町村長)に届出をします。

事業者は前年度に加算を受けていても、毎年度加算の届出をする必要があります。
年度の途中で届け出る際には、加算を取得しようとする月の前々月の末日までに届けます。

参考  厚生労働省:介護職員処遇改善加算について

 

② 国保連(国民健康保険団体連合会)に加算の請求をする

届出をした事業者は、請求する介護報酬に上乗せする形で、都道府県または市町村から支払いの委託を受けている国保連に加算を請求します。

どの区分で届出をしているか、また、提供している介護サービスの種類により加算額は異なります。

 

③ 加算額が事業者に支払われる

請求した加算額が事業者に支払われます。

加算として支給された分は職員に還元するものなので、事業者が他の名目で使うことはできません。

 

④ 改善した賃金を職員に支払う

支払われた加算額が給与、賞与、一時金として職員に支払われます。

どのように分配し支払うかは事業者に任されています。

介護職員処遇改善加算の計算方法

介護職員処遇改善加算の計算方法

計算に必要なのは以下の数値です

介護給付単位数

事業所が行った介護サービスに対して支払われる介護報酬の計算は「単位」という仕組みをもとに計算されていて、事業所が行った介護サービスに応じて決められている単位数が介護報酬の基本額になります。

加算・減算額

さまざまな要件により、基本の額に加えられる加算や減算額のことです。

利用回数

利用者が1か月間に介護サービスを利用した回数

サービス別加算率

「訪問介護」や「通所介護」など介護サービスの種類と、事業所が満たしている要件に応じた加算Ⅰから加算Ⅳまでに決められている加算率のことです。

サービス区分加算Ⅰ加算Ⅱ加算Ⅲ加算Ⅳ加算Ⅴ
・(介護予防)訪問介護
・夜間対応型訪問介護
・定期巡回、随時対応型訪問介護看護
13.7%10.0%5.5%加算(Ⅲ)により
算出した単位
×0.9
加算(Ⅲ)により
算出した単位
×0.8
・(介護予防)訪問入浴介護5.8%4.2%2.3%
・(介護予防)通所介護
・地域密着型通所介護
5.9%4.3%2.3%
・(介護予防)通所リハビリテーション4.7%3.4%1.9%
・(介護予防)特定施設入居者生活介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
8.2%6.0%3.3%
・(介護予防)認知症対応型通所介護10.4%7.6%4.2%
・(介護予防)小規模多機能型居宅介護
・看護小規模多機能型居宅介護
10.2%7.4%4.1%
・(介護予防)認知症対応型共同生活介護11.1%8.1%4.5%
・介護老人福祉施設
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
・(介護予防)短期入所生活介護
8.3%6.0%3.3%
・介護老人保健施設
・(介護予防)短期入所療養介護(老健)
3.9%2.9%1.6%
・介護療養型医療施設
・(介護予防)短期入所療養介護(病院等)
2.6%1.9%1.0%

地域区分

事業所の所在地によって1~7級地までとその他の8つの区分があり、サービスと地域によって1単位ごとの単価が決められています。

参考  厚生労働省:地域区分について

例)被介護者が地域区分6級地の事業所で通所介護を受けている場合の計算例

基本サービス費・・950単位
ひと月の利用回数・・8回
加算・・入浴介助加算(50単位)
減算・・通所介護送迎減算(94単位)
加算率・・1.9%(加算Ⅰ)

地域区分・・6級地
サービスの種類・・小規模通所介護

ステップ1 総単位数を算出する

(基本サービス単位数+加算-減算)×ひと月の回数

(950+50-94)×8=906×8=7248単位(ひと月当たりの総単位数)

7248×1.9%=137.712=138単位(処遇改善加算の総単位数)

介護報酬総単位数は(ひと月当たりの総単位数+処遇改善加算の総単位数)
7248+138=7386単位

ステップ2 総単位数を金額に換算する

1か月の総単位数×地域区分単価(6級地での通所介護の場合)
7386×10.27=75854(1円未満端数切捨て)

この金額の90%が保険請求の金額になります
75854×90%=68269円

残りの10%は利用者が支払う金額です
75854×10%=7585円

参考  春日井市:介護職員処遇改善加算・介護報酬総額の計算方法の例

おわりに

介護職員処遇改善加算を取得している職場には、実績報告書の提出が義務付けられています。

これは、職場の環境改善に取り組み実績を上げなければならない、ということなので、処遇改善加算を受けている事業所・施設は、職員の待遇を配慮した働きやすい職場である可能性が高く、介護職への就職や転職を考えている人にとっては、職場選びのひとつの基準にもなることでしょう。

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