親に認知症のスクリーニング検査をしてもらおうと思うんだけど、どんなのがあるのかな?
このように
- 認知症のスクリーニング検査の種類について詳しく知りたい
- 認知症スクリーニング検査の筆記と採血について知りたい
- 認知症スクリーニング検査を比較して決めたい
など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、認知症のスクリーニング検査の比較表、【口頭&筆記】認知症のスクリーニング検査、【採血】認知症のスクリーニング検査、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
認知症のスクリーニング検査とは
認知症のスクリーニング検査とは、認知症(認知機能が低下している)かどうかを簡単な口頭・筆記・描画・注射などによってスクリーニング(ふるい分け)をすることができる検査になります。
認知症のスクリーニング検査は大きく分けて2つの検査があります。
- 口頭&筆記
- 採血
【口頭&筆記】認知症のスクリーニング検査
自宅や医療機関などで、誰でも簡単にテストをすることができる検査になります。
【採血】認知症のスクリーニング検査
病院へ行って、採血をしてもらい検査をします。血中の蛋白質や遺伝子から認知症リスクを判別します。
認知症のスクリーニング検査の比較表
以下は「口頭&筆記」の認知症スクリーニング検査の比較表になります。
時間 | 形式 | 項目数 | 評価方法 | 満点 | カットオフ | |
長谷川式 認知症スケール |
約5分~15分 | 口頭 | 9 | 見当識、記憶力、計算力 逆唱、遅延再生、流暢性 |
30 | 20以下 |
MMSE | 約5分~15分 | 口頭、筆記、描画 | 11 | 見当識、即時再生、計算 遅延再生、物品呼称、文章復唱 口頭命令、書字命令、文章書字 図形模写 |
30 | 23以下 |
Mini-Cog | 約3分 | 口頭、筆記、描画 | 3 | 即時再生、時計描写、遅延再生 | 5 | 2以下 |
MoCA-J | 約10分 | 口頭、筆記、描画 | 13 | 視空間・遂行機能、命名、記憶 注意力、復唱、語想起 抽象概念、遅延再生、見当識 |
30 | 25以下 |
dasc-21 | 約10分 | 口頭 | 23 | 記憶、見当識、問題解決判断力 家庭外のIADL、家庭内のIADL 身体的ADL①、身体的ADL② |
84 | 31以上 |
時計描画テスト | 約3分 | 描画 | 3 | 円、数字、針 | 10 | 7 |
ABC 認知症スケール |
約10分 | 口頭 | 13 | 日常生活動作、認知機能 行動心理症状 |
117 | 不明 |
一般的に幅広く利用されている認知症のスクリーニング検査は「長谷川式認知症スケール」になりますので、迷った場合は、まずこちらからやってもらうと良いでしょう。
【口頭&筆記】認知症のスクリーニング検査
- 長谷川式認知症スケール(HDS-R)
- MMSE(ミニメンタルステート検査)
- Mini-Cog(ミニコグ)
- MoCA-J
- DASC-21
- 時計描画テスト(CDT)
- ABC認知症スケール
口頭、筆記、描画をすることで認知症の疑いを判定することができる検査方法を7つご紹介します。
【1】長谷川式認知症スケール(HDS-R)
長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、紙、筆記用具、道具を用いて簡易的に認知機能の低下を調べることができる検査です。
検査時間は約5分~15分です。
▼評価方法
- 見当識
- 記憶力
- 計算力
- 逆唱
- 遅延再生
- 流暢性
30点満点中、20点以下で認知症の可能性が高いことがわかり、点数がより低くなればなるほど可能性が高まる仕組みです。
【2】MMSE(ミニメンタルステート検査)
MMSE(ミニメンタルステート検査)は、紙、筆記用具、道具を用いて簡易的に認知機能の低下を調べることができる検査です。
検査時間は約5分~15分です。
▼評価方法
- 見当識
- 即時再生
- 計算
- 遅延再生
- 物品呼称
- 文章復唱
- 口頭命令
- 書字命令
- 文章書字
- 図形模写
30点満点中、23点以下で認知症の可能性が高いことがわかり、点数がより低くなればなるほど可能性が高まる仕組みです。
【3】Mini-Cog(ミニコグ)
Mini-Cog(ミニコグ)は、紙、筆記用具、を用いて簡易的に認知機能の低下を調べることができる検査です。
検査時間は約3分です。
▼評価方法
- 即時再生
- 時計描写
- 遅延再生
5点満点中、2点以下で認知症の可能性が高いことがわかり、点数がより低くなればなるほど可能性が高まる仕組みです。
【4】MoCA-J
MoCA-Jは、紙、筆記用具、を用いて簡易的に認知機能の低下を調べることができる検査です。
検査時間は約10分です。
▼評価方法
- 視空間・遂行機能
- 命名
- 記憶
- 注意力
- 復唱
- 語想起
- 抽象概念
- 遅延再生
- 見当識
30点満点中、25点以下で認知症の可能性が高いことがわかり、点数がより低くなればなるほど可能性が高まる仕組みです。
【5】DASC-21
DASC-21は、紙、筆記用具、を用いて簡易的に認知機能の低下を調べることができる検査です。
検査時間は約10分です。
▼評価方法
- 記憶
- 見当識
- 問題解決判断力
- 家庭外のIADL
- 家庭内のIADL
- 身体的ADL①
- 身体的ADL②
84点満点中、31点以上で認知症の可能性が高いことがわかり、点数がより高くなればなるほど可能性が高まる仕組みです。
【6】時計描画テスト(CDT)
時計描画テスト(CDT)は、時計の絵を描く検査です。
検査時間は約3分です。
▼評価方法
- 円
- 数字
- 針
外円の大きさ、数字・針・中心点の位置、を正しく描けていないと、認知機能が低いことがわかる仕組みです。
【7】ABC認知症スケール
評価者が介護者に日常生活動作・行動心理症状・認知機能についての質問をしていく検査です。
検査時間は約10分です。
▼評価方法
- 日常生活動作
- 認知機能
- 行動心理症状
13項目の質問から9段階(1点~9点)で評価します。質問が具体的で具体例の挿絵もあり、わかりやすいです。
【採血】認知症のスクリーニング検査
- MCIスクリーニング検査
- APOE遺伝子検査
採血することで認知症の疑いを判定することができる検査方法を2つご紹介します。
【1】MCIスクリーニング検査
もの忘れが気になるが、「単なる年齢のせいなのか?」あるいは「認知症の兆候なのか?」を早期発見することが出来るスクリーニング検査を医療機関で受けることが出来ます。
MCIスクリーニング検査は、採血により血液中のたんぱく質を調べて軽度認知障害(MCI)リスクを判定することができる検査になります。検査では約7~12㏄を採血します。
結果は2~3週間ほどで結果がわかり、以下の4段階に分けられます。
- 1~2年に1回は検査を受けましょう
- 1年毎の定期検診を受けましょう
- 6ケ月~1年毎の定期検診を受けましょう
- 2次検査をおすすめします
MCIスクリーニング検査は、脳ドックと併用することでより正確に診断できます。
検査料金は病院によりけりで20,000円前後になります。
MCIスクリーニング検査を実施している全国の医療機関を調べることができます。
詳細は各医療機関のHPで確認してください。
【2】APOE遺伝子検査
APOE遺伝子検査は、アルツハイマー型認知症と関与が高いAPOE遺伝子の将来発症リスクの有無を知ることが出来る検査です。APOE遺伝子型は、APOE2、APOE3、APOE4があり、特にAPOE4遺伝子を持つ人は、持たない人と比べて約11倍の発症リスクが高まります。
しかし、APOE4遺伝子を持っているからといって、必ずしも認知症になるというわけではなく、人と関わり、運動や学習をする、生活習慣を見直し規則正しい食生活をする、などをすることで脳が活性化し、認知症の発症リスクを減らすことできます。
APOE遺伝子検査は、MCIスクリーニング検査と同じく採血検査になります。検査では約7~12㏄を採血します。約2週間後に検査結果がわかります。
検査料金は病院によりけりで20,000円前後になります。
おわりに
認知症スクリーニング検査は誰でも簡単に行うことができます。
しかし、テストを行って仮に点数が悪かった場合、本人が落ち込む可能性がありますので責めたりせず、大丈夫だよと優しく声掛けをして配慮をすることが大切です。
嫌な気分のままテストを終了させずに、笑顔になるのを見届けるまで色々な話をしたり聞いたりしてあげましょう。