MoCA-J(モカジャパン)とは|認知症テストのやり方、評価方法、カットオフについて解説

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女性

親にMoCA-Jをやってもらおうと思うんだけど、誰でもできるのかな?

このように

  • MoCA-Jについて詳しく知りたい
  • 親が認知症の疑いがあるのでテストしたい
  • MoCA-Jのカットオフ値が知りたい

など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。

介護の123編集部
介護の123編集部

この記事では、MoCA-Jとは、MoCA-Jを行う時の注意点、MoCA-Jを行う、MoCA-Jの評価(カットオフ値)、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。

MoCA-J(モカジャパン)とは

MoCAとは、The MONTREAL COGNITIVE ASSESSMENTといい、認知症かどうかを簡易的にスクリーニング(ふるい分け)するため知能検査になります。

MoCA-Jとは、通称:モカジャパンといい、Japanese Version of The MONTREAL COGNITIVE ASSESSMENT、つまり日本語バージョンの略を意味します。

介護の123編集部
介護の123編集部

MoCAは、1996年にカナダの神経内科医のZiad Nasreddineによって公表された認知症の簡易診断テストで、46ヵ国語の翻訳も作成されています。その中に日本語も含まれています。

MoCA-Jで何がわかる?

MoCA-Jは、9の評価項目から30点満点中、25点以下で認知症の可能性(認知機能の低下)が高いことがわかる仕組みとなっています。

【9の評価項目】
・視空間・遂行機能
・命名
・記憶
・注意力
・復唱
・語想起
・抽象概念
・遅延再生
・見当識
ただ、このテストにより25点以下だとしても認知症が確定したわけではなく、あくまで参考程度にとらえて、気になる方は病院へ行かれることをおすすめします。

MoCA-Jは誰でもできる

テスト時間はおおよそ10分程度となっており、どなたでも簡単にテストをすることが可能です。

  • 自宅に居ながら家族にテストをしたい方
  • 病院で患者様にテストをしたい医療従事者
  • 介護施設で利用者様にテストをしたい介護職員

などさまざまなシーンでMoCA-Jは簡単に行うことができます。

MoCA-Jで準備するもの

MoCA-Jは当サイトでも行うことができます。

しかし、紙などに書いてご家族にやってもらいたい方はMoCA-Jを行う前に、準備しておくものは以下になります。

出典 認知機能の見える化プロジェクト

MoCA-Jを行う時の注意点

MoCA-Jを行う時の注意点としては、以下の通りです。

  • 無理やりMoCA-Jを受けさせない
  • MoCA-Jを受けてもらう時に自尊心を傷つけないように伝える
  • 本人が本当にやりたいと思ってから行うようにする
  • MoCA-Jを受けた後のアフターフォローをする

本人のプライドを傷つけないようにMoCA-Jを行うことが最大のポイントです。

介護の123編集部
介護の123編集部

万が一、点数が悪く本人がひどく落ち込んでしまう場合も想定して、「テストが悪くても認知症と確定したわけではないから大丈夫」などの声掛けは大切です。

検査終了後のアフターケアは非常に重要です。

「疲れましたか?」という言葉をかけたり、嫌な気分のまま検査を終わらせないように注意しましょう。

MoCA-Jを行う

介護の123編集部
介護の123編集部

MoCA-Jを行う前に、リラックスできる環境を整え、本人のプライドを傷つけないように注意しながら行ってください。

【問1】視空間・遂行機能(Trail Making)

数字の「1」「2」「3」「4」「5」と、ひらがなの「あ」「い」「う」「え」「お」を交互に順番通りに線で結んで下さい。

(1を指して)ここから始めてください。「1」から「あ」、次は「あ」から「2」へと線を引いて行って(おを指して)ここで終って下さい。

視空間あ1

【正解】1点
【不正解】0点
線が交差することなく、「1-あ-2-い-3-う-4-え-5-お」の順に結ぶことができたら正解とする。
直後の自己修正以外の間違いがある場合には 不正解とする。
 

【問2】視空間・遂行機能

(立方体を指して)これを出来るだけ正確に、下のスペースに書き写して下さい。

視空間立方体

【正解】1点
【不正解】0点
正確に描くことができていたら正解とする。
次の条件を 1 つでも満たしていない場合、不正解とする。
・3 次元として描かれている
・全ての線が描かれている
・余計な線が加えられていない
・線の並行関係が保たれており、それら長さが類似している(四角柱となっている場合は問題ない)。
 

【問3】時計描画

時計を描いてください。文字盤に数字を全て描き、11 時 10 分を指すよう針を描いて下さい。

 

【正解】1点:時計の文字盤が円形である
【正解】1点:数字が過不足無く描かれている
【正解】1点:長針、短針ともに正しい数字を指している
すべて正解で3点
【不正解】各0点
次の 3 つの基準で採点を行い、それぞれに対して 1 点を与える。
・輪郭:わずかな歪みであれば問題ない。例えば円を閉じるところがわずかに不完全でも問題ない
・数字:正しい順番であり、かつ正しい位置に描かれていること。数字がローマ数字であっても問題はない。
・ 針 :短針は長針よりもはっきりと短くなくてはならない。2 つの針が文字盤の中心でつながっていること。
それぞれの基準において条件が満たされていない場合には不正解とする。
 

【問4】命名

この動物の名前を教えてください。(左から順に指していく)

命名動物

【正解】1点:ライオン
【正解】1点:サイ
【正解】1点:ラクダ
すべて正解で3点
【不正解】各0点
動物の名前を正しく言えればそれぞれに対して 1 点を与える。
 

【問5】記憶

これから記憶の検査をします。今から単語をいくつか読み上げますので、それをよく聞いて憶えておいて下さい。

私が読み終えましたら、その時に憶えている単語を私に教えて下さい。順番は気にしなくて構いません。

  • 顔(かお)
  • 絹(きぬ)
  • 神社(じんじゃ)
  • 百合(ゆり)
  • 赤(あか)

(1 秒につき 1 つのペースで単語を読み上げる。対象者が再生した単語について“第 1 試行”の欄にチェックを入れる。対象者が全ての単語を再生するか、それ以上再生できなくなったら、次の教示を与える。)

同じ単語を読み上げますので、もう一度それを憶えてみて下さい。私が読み終えましたら、最初に憶えた単語も含めて、その時に憶えている単語を全て教えて下さい。

(再び単語を読み上げ、対象者が再生した単語について“第 2 試行”の欄にチェックを入れる。対象者が全ての単語を再生するか、それ以上再生できなくなったら、次の教示を与える。)

検査の終り頃に、これらの単語をもう一度思い出して頂きます。

第 1 試行,第 2 試行とも得点はありません。
 

【問6】注意力

これからいくつかの数字を読み上げます。私が読み終えましたら、私と同じように繰り返して言って下さい。

「2」「1」「8」「5」「4」

(5 つの数字を 1 秒につき 1 つのペースで読み上げる)

それでは、またいくつか数字を読み上げます。今度は私が読んだ順番と逆から繰り返して言って下さい。

「7」「4」「2」

(3 つの数字を 1 秒につき 1 つのペースで読み上げる)

【正解】1点:2-1-8-5-4
【正解】1点:2-4-7
すべて正解で2点
【不正解】各0点
正しく繰り返すことができたらそれぞれ 1 点を与える。
 

【問7】注意力

これから、ひらがなを読み上げていきますので、私が「あ」と言うたびに手を叩いて下さい。

私が「あ」以外のひらがなを言う時には、手は叩かないで下さい。

(検査用紙に書かれたひらがなを 1 秒につき 1 つのペースで読み上げる)

※マヒなどで両手を使う事が困難な場合、手を叩く代わりに片手で机などを叩くよう伝えます。

【正解】1点
【不正解】0点
エラーが1回以下の時に正解とする。
(エラー:「あ」の時に手を叩かない、もしくは他のひらがなの時に手を叩く)
 

【問8】注意力

引き算の問題です。100から7を順に引いてください。私が止めと言うまで続けてください。

【正解】1点:正答が1個の場合
【正解】2点:正答が2個~3個の場合
【正解】3点:正答が4個~5個の場合
【不正解】各0点
100 から 7 を減算していく時、それぞれの計算において正誤を判断する。
例えば、1 回目の計算が間違っていても、2 回目の計算において正しく 7 が引かれていれば、2 回目の計算は正答とする。
 

【問9】復唱

これから文章を読み上げます。私が読んだ後に、正確に繰り返して下さい。

(間をとる)

「太郎が今日手伝うことしか知りません。」

(対象者が繰り返した後に次ぎの教示を与える)

それでは、もうひとつ文章を読み上げます。先ほどと同じように正確に繰り返して下さい。

(間をとる)

「犬が部屋にいるときは、猫はいつもイスの下にかくれていました。」

【正解】1点:「太郎が今日手伝うことしか知りません」を正しく復唱できた
【正解】1点:「犬が部屋にいるときは、猫はいつもイスの下にかくれていました。」を正しく復唱できた
すべて正解で2点
【不正解】0点
それぞれの文章を正しく復唱できていれば 正解とする。復唱は正確でなければならない。
(言葉を省略するなどの細かいエラーにも注意を払います)
 

【問10】語想起

これから私が言うひらがなで始まる言葉を、出来るだけたくさん言って下さい。

言葉であれば何でも構いません。時間は 1 分間です。準備はよろしいですか?

(間をとる)

それでは、「か」で始まる言葉を出来るだけたくさん言って下さい。

(60 秒計測が終了したら)はい、終了です。

【正解】1点:11 個以上言えた場合
【不正解】0点:11 個以下しか言えなかった場合
言葉を 11 個以上言うことが出来れば 正解とする。
対象者の生成した語は下部もしくは側部の余白に記録し、生成した総数についてもカウントしておく。
 

【問11】抽象概念

(まずは例題を与えます。単語のペアに共通するものを表す言葉をたずねます。)

「バナナ」と「ミカン」はどのように似ていますか?

(もし対象者が具象的な共通部分を挙げたときは、一度だけ次の教示を与えます)

他の言い方はありませんか?

(対象者が適切な反応(果物)をしなかったときには次の教示を与えます)

そうですね、また両方とも果物でもあります。

(他の教示や明確な説明は与えません)

(例題実施後)

それでは、「電車」と「自転車」はどのように似ていますか?

(回答後に次の問いを与えます)

それでは、「ものさし」と「時計」はどのように似ていますか?

(追加の教示や手がかりは一切与えません)

【正解】1点:電車ー自転車=交通手段、旅行の手段、乗り物
【正解】1点:ものさしー時計=測るもの、計測に使用するもの、計測器具
すべて正解で2点
【不正解】各0点
それぞれの問題で次のような適切な反応が得られれば 正解とする。
車輪がある、数字があるなどの回答は不正解とする。
 

【問12】遅延再生

先ほどいくつかの単語を憶えて頂きました。

今憶えている単語をできるだけ私に教えて下さい。

(手がかりのない状態で憶えていたものとして「自由再生」の欄にチェックを入れる)

再生できなかった単語について手がかり(カテゴリ)を与える。

顔:「身体の一部」です
絹:「生地」です
神社:「建物」です
百合:「花」です
赤:「色」です

手がかり(カテゴリ)によって再生できた場合には、「手がかり(カテゴリ)」の欄にチェックを入れる。

手がかり(カテゴリ)を与えても再生できない時には、多肢選択試行として次のような教示を与える。

次の単語のうちどれだと思いますか?

多肢選択:口、顔、手
多肢選択:絹、麻、木綿
多肢選択:神社、学校、病院
多肢選択:バラ、百合、椿
多肢選択:赤、青、緑

多肢選択によって再生できた場合には「手がかり(多肢選択)」の欄にチェックを入れる。

手がかり無しで言えた場合
【正解】1点:顔(かお) 
【正解】1点:絹(きぬ)
【正解】1点:神社(じんじゃ)
【正解】1点:百合(ゆり)
【正解】1点:赤(あか)
すべて正解で5点
【不正解】各0点 手がかりを与えられて言えた場合
手がかりを与えた単語については得点としない。
手がかり再生による得点は、記憶障害のタイプについての追加的情報としてのみ使用する。
記憶障害が検索の失敗に起因しているならば、手がかりによって再生成績は改善される。
記憶障害が符号化の失敗に起因しているのであれば、手がかりによる再生成績の改善はみられない。
 

【問13】見当識

  1. 今日は何年ですか?
  2. 何月ですか?
  3. 何日ですか?
  4. 何曜日ですか?
  5. ここは何市(区・町)ですか?
  6. この場所(建物)の名前は何ですか?
【正解】各1点
すべて正解で6点
【不正解】各0点
何年ですか?については、西暦、年号どちらでもOKです。令和何年ですか?と聞いてもOKです。
正しい答えなら言い直してもOKです。
何日ですか?については、1日でもずれた場合は不正解になります。
テストを行う場所はカレンダーが無いようにしましょう。

MoCA-Jの評価(カットオフ値)

介護の123編集部
介護の123編集部

MoCA-Jのテストを終えましたら、評価(カットオフ値)を確認します。

カットオフ値とは
ある検査の「陽性と陰性」「正常と罹患」などを識別するために区切る値。

MoCA-Jは、9つの評価項目から30点満点となります。

25点以下で認知症の可能性(認知機能の低下)が高いことからカットオフ値は25点となります。

ただ、このテストにより25点以下だとしても認知症が確定したわけではなく、あくまで参考程度にとらえて、気になる方は病院へ行かれることをおすすめします。

26点~30点の方

異常がなく今のところ認知症の可能性は薄いでしょう。今のうちから認知症対策をしておいた方が良いでしょう。

参考 認知症予防の「食べ物」はこちら

参考 認知症予防の「運動」はこちら

18点~25点の方

軽度認知症の疑いがあります。

軽度認知障害(MCI)を早期発見できる血液検査(MCIスクリーニング検査)をおすすめします。

または、認知機能の低下の原因が「加齢によるものか」「病気によるものか」を診察してくれる物忘れ外来、認知症外来への受診をおすすめします。

参考 MCIスクリーニング検査を受ける

参考 全国の物忘れ外来・認知症外来はこちら

10点~17点の方

11点~15点は中等度の認知症の疑いがあります。

軽度認知障害(MCI)を早期発見できる血液検査(MCIスクリーニング検査)をおすすめします。

または、認知機能の低下の原因が「加齢によるものか」「病気によるものか」を診察してくれる物忘れ外来、認知症外来への受診をおすすめします。

参考 MCIスクリーニング検査を受ける

参考 全国の物忘れ外来・認知症外来はこちら

10点以下の方

10点以下になると高度の認知症と判断できます。

(※ただし、これらの重症度範囲に関する研究はまだ確立されていません。)

認知症の精密検査が必要とされますので、早急に病院へ行ってください。

探す病院は、「脳神経内科」「脳神経外科」「精神科」「老年科」などになります。

認知症専門医がいる病院に診てもらい検査を受けられることをおすすめします。

参考 認知症専門医がいる病院はこちら

おわりに

MoCA-Jで認知症は認知機能の低下が簡単にわかるため誰でも気軽に試すことができます。

たとえ悪い点数だったとしても、落ち込まず、物忘れ外来や認知症外来に行って検査されることが大切です。

認知症はゆっくりと進行していますので、良い点数の方も悪い点数の方も、今の状態を維持させるために早めに認知症予防対策をしていきましょう。

 

 

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