親にMMSE(ミニメンタルステート検査)をやってもらおうと思うんだけど、誰でもできるのかな?
このように
- MMSE(ミニメンタルステート検査)について詳しく知りたい
- 親が認知症の疑いがあるのでテストしたい
- MMSEのカットオフ値が知りたい
- MMSEの年齢別の平均点が知りたい
など上記の方々はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、MMSE(ミニメンタルステート検査)とは、MMSEを行う時の注意点、MMSEを行う、MMSEの評価(カットオフ値)、MMSE年齢別の平均点、などについてわかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
MMSE(ミニメンタルステート検査)とは
MMSE(ミニメンタルステート検査)とは、Mini-Mental State Examinationといい、認知症かどうかを簡易的にスクリーニング(ふるい分け)するため知能検査になります。
MMSE(ミニメンタルステート検査)は、1975年にアメリカのフォルスタイン夫妻らによって公表された認知症の簡易診断テストで、月刊の医学雑誌Journal of Psychiatric Researchに掲載され、世界中のあらゆる言語で利用されるようになりました。
2010年にMMSEの第2弾が発売され、英語のほか、10ヵ国 (フランス語、ドイツ語、オランダ語、米国向けスペイン語、ラテン アメリカ向けスペイン語、ヨーロッパ スペイン語、ヒンディー語、ロシア語、イタリア語、簡体字中国語) の翻訳も同時に作成されました。
MMSE(ミニメンタルステート検査)で何がわかる?
MMSE(ミニメンタルステート検査)は、11の評価項目から30点満点中、23点以下で認知症の可能性(認知機能の低下)が高いことがわかる仕組みとなっています。
・時間の見当識
・場所の見当識
・即時再生
・遅延再生
・計算
・物品呼称
・文章復唱
・3段階の口頭命令
・書字命令
・文章書字
・図形模写
MMSE(ミニメンタルステート検査)は誰でもできる
テスト時間はおおよそ5~15分程度となっており、どなたでも簡単にテストをすることが可能です。
- 自宅に居ながら家族にテストをしたい方
- 病院で患者様にテストをしたい医療従事者
- 介護施設で利用者様にテストをしたい介護職員
などさまざまなシーンでMMSE(ミニメンタルステート検査)は簡単に行うことができます。
MMSE(ミニメンタルステート検査)で準備するもの
MMSE(ミニメンタルステート検査)は当サイトでも行うことができます。
しかし、紙などに書いてご家族にやってもらいたい方はMMSE(ミニメンタルステート検査)を行う前に、準備しておくものは以下になります。
- MMSE(ミニメンタルステート検査)の評価用紙(PDFダウンロード)
- 筆記用具
- 2つの品物(時計、えんぴつなど必ず相互に無関係な道具)
参考 静岡てんかん・神経医療センター(MMSE(ミニメンタルステート検査シート))
MMSE(ミニメンタルステート検査)を行う時の注意点
MMSE(ミニメンタルステート検査)を行う時の注意点としては、以下の通りです。
- 無理やりMMSEを受けさせない
- MMSEを受けてもらう時に自尊心を傷つけないように伝える
- 本人が本当にやりたいと思ってから行うようにする
- MMSEを受けた後のアフターフォローをする
本人のプライドを傷つけないようにMMSE(ミニメンタルステート検査)を行うことが最大のポイントです。
万が一、点数が悪く本人がひどく落ち込んでしまう場合も想定して、「テストが悪くても認知症と確定したわけではないから大丈夫」などの声掛けは大切です。
検査終了後のアフターケアは非常に重要です。
「疲れましたか?」という言葉をかけたり、嫌な気分のまま検査を終わらせないように注意しましょう。
MMSE(ミニメンタルステート検査)を行う
MMSE(ミニメンタルステート検査)を行う前に、リラックスできる環境を整え、本人のプライドを傷つけないように注意しながら行ってください。
【問1】時間の見当識
- 今の季節は何ですか?
- 今年は何年ですか?
- 今日は何月ですか?
- 今日は何日ですか?
- 今日は何曜日ですか?
正しい答えなら言い直してもOKです。
何日ですか?については、1日でもずれた場合は不正解になります。
テストを行う場所はカレンダーが無いようにしましょう。
【問2】場所の見当識
- ここは都道府県でいうとどこですか?
- ここは何市(町・村・区など)ですか?
- ここは何病院ですか?
- ここは何階ですか?
- ここは何地方ですか?(例:九州地方、関東地方、北海道地方など)
【問3】即時再生
これから言う3つの言葉を言ってみてください。
- 桜
- 猫
- 電車
あとでまた聞きますのでよく覚えておいてください。
3つの言葉は、1語ずつ、ゆっくりと言います。
耳が遠い人もいるので、3つの言葉を6回は繰り返してください。
【問4】計算
- 引き算の問題です。100から7を繰り返し引いてください。
- それからまた7を引くと?と質問する。(連続5回引く)
【問5】遅延再生
さっき覚えてもらった3つの言葉は何でしたか?
桜、猫、電車
「木」「動物」「乗り物」などのヒントを与えても大丈夫です。
【問6】物品呼称
時計を見せながら「これは何ですか?」
えんぴつを見せながら「これは何ですか?」
【問7】文章復唱
今から私が言う文を覚えて繰り返し言ってくださいと伝えます。
「みんなで力を合わせて綱を引きます」
ひとつの言葉でも、言い間違えた場合は不正解です。
【問8】3段階の口頭命令
※紙を机に置いてから始めます。
「今から私がいう通りにしてください。
右手にこの紙を持ってください。それを半分に折りたたんでください。そして私にください。」
【問9】書字命令
「この紙に書いてある言葉を読んで、この通りにしてください。」
紙を見せる
紙に書いてある言葉→【目を閉じてください】
【問10】文章書字
※えんぴつと紙を差し出します。
「この部分に何か文章を書いてください。どんな文章でもかまいません。」
名詞、単語のみは不正解です。例:東京、ティッシュなど
【問11】図形模写
※重なった5角形の図形が書かれた紙を見せます。
※えんぴつと紙を差し出します。
「この図形を正確にそのまま書き写してください。」
5角形以外の図形(四角形、六角形など)の場合は不正解です。
MMSE(ミニメンタルステート検査)の評価(カットオフ値)
MMSE(ミニメンタルステート検査)のテストを終えましたら、評価(カットオフ値)を確認します。
ある検査の「陽性と陰性」「正常と罹患」などを識別するために区切る値。
MMSE(ミニメンタルステート検査)は、11つの評価項目から30点満点となります。
ただ、このテストにより23点以下だとしても認知症が確定したわけではなく、あくまで参考程度にとらえて、気になる方は病院へ行かれることをおすすめします。
27点~30点の方
異常がなく今のところ認知症の可能性は薄いでしょう。今のうちから認知症対策をしておいた方が良いでしょう。
22点~26点の方
軽度認知症の疑いがあります。
軽度認知障害(MCI)を早期発見できる血液検査(MCIスクリーニング検査)をおすすめします。
または、認知機能の低下の原因が「加齢によるものか」「病気によるものか」を診察してくれる物忘れ外来、認知症外来への受診をおすすめします。
21点以下の方
21点以下は認知症の疑いが強いと判断されます。
早めに認知症の精密検査をされた方が良いでしょう。
探す病院は、「脳神経内科」「脳神経外科」「精神科」「老年科」などになります。
認知症専門医がいる病院に診てもらい検査を受けられることをおすすめします。
MMSE(ミニメンタルステート検査)年齢別の平均点
年齢階級ごとのMMSE得点比較
2017年、厚生労働統計協会が佐賀県 3 町自治体65歳以上の高齢者698人を対象としたMMSE検査を用いての調査によると、MMSE得点は、男性では有意差は認められなかったが、女性は65~69歳群と70~74歳群のMMSE得点が75~79歳群、80~84歳群、85歳以上群より有意に高いことがわかった。
60~69歳 | 70~74歳 | 75~79歳 | 80~84歳 | 85歳以上 | |
男性(189人) 平均値±標準編差 |
(35人) 27.2±2.6 |
(51人) 25.7±2.6 |
(47人) 26.7±2.5 |
(33人) 26.1±2.4 |
(23人) 24.8±3.6 |
女性(509人) 平均値±標準編差 |
(85人) 27.7±2.7 |
(111人) 27.8±2.3 |
(166人) 26.4±3.1 |
(96人) 26.0±3.3 |
(51人) 25.8±3.7 |
教育年数ごとのMMSE比較
また、教育年数ごとのMMSE得点の平均値と標準偏差を男女別に示した結果、各教育年数におけるMMSE得点は、男性では 9 年以上群が 6 年以下群より有意に高いことがわかった。女性は 9 年以上群が 6 年以下群および7~8年群より有意に高かった。
6年以下 | 7~8年 | 9年以上 | |
男性(189人) 平均値±標準編差 |
(8人) 20.0±12.7 |
(18人) 24.8±2.4 |
(163人) 26.6±3.7 |
女性(509人) 平均値±標準編差 |
(33人) 25.8±3.4 |
(67人) 25.9±3.7 |
(409人) 27.0±3.0 |
MMSE得点において28点以上を正常、24-27点をMCI、23点以下を認知症に分けた結果、軽度認知障害(MCI)群の割合が男女とも 3 割あったことがわかった。
出典 厚生労働統計協会(地域在住高齢者における認知機能調査)
おわりに
MMSE(ミニメンタルステート検査)で認知症は認知機能の低下が簡単にわかるため誰でも気軽に試すことができます。
たとえ悪い点数だったとしても、落ち込まず、物忘れ外来や認知症外来に行って検査されることが大切です。
認知症はゆっくりと進行していますので、良い点数の方も悪い点数の方も、今の状態を維持させるために早めに認知症予防対策をしていきましょう。