職業訓練を受けたいけどメリット・デメリットを知りたい
職業訓練って何?受講条件はあるの?
上記のようにハローワークの職業訓練(ハロートレーニング)のメリット・デメリットなどを知りたい方はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、ハローワークの職業訓練(ハロートレーニング)のメリット・デメリットについてわかりやすく解説しています。また職業訓練の受講要件、種類、受講までの流れについてもまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
ハローワークの職業訓練(ハロートレーニング)とは
ハローワーク(公共職業安定所)の職業訓練とは、離職者・求職者が再就職やキャリアアップのために必要な職業技術や知識を習得することができる国・都道府県が実施する制度になります。
職業訓練は簡単に言うとハローワークの学校です。
職業訓練は別名ハロートレーニングと呼ばれ、原則受講料無料(テキスト代は自己負担)で利用することができます。
身に付けたい職業スキルに合わせて
- 介護
- 事務
- IT
- 建設・製造
- サービス
- デザイン
- 理美容
時代にニーズに合わせた多数のコースが用意されており、利用するには全国のハローワークの窓口から申し込みを行います。
受講期間は、最短で2ヶ月、最長で3年となっており、受講期間中も受講期間後もハローワークで就職支援サポートを受けることができます。
職業訓練(ハロートレーニング)の種類
ハローワークの職業訓練には「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2種類あります。
- 公共職業訓練(離職者訓練)
基本的には、雇用保険を受給している求職者の方が受講できる訓練です。失業保険のほか、受講手当(日額500円)や交通費などの各種手当を受けることができます。 - 求職者支援訓練
基本的には、雇用保険を受給していない求職者の方が受講できる訓練です。条件を満たすことで訓練中に月10万円の給付金を受けることができます。
「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の比較表
以下は「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の比較表になります。
公共職業訓練 | 求職者支援訓練 | |||
種類 | 施設内訓練 | 委託訓練 | 基礎コース | 実践コース |
対象者 | 雇用保険を受給している求職者 | 雇用保険を受給していない求職者 | ||
実施主体 | 国・都道府県 | 民間の 教育訓練機関 |
民間の 教育訓練機関 |
民間の 教育訓練機関 |
給付金 | ・雇用保険の基本手当 ・受講手当(日額500円) ・通所手当(交通費) ・寄宿手当 |
・受講手当(月額10万円) ・通所手当※(交通費) ・寄宿手当※ ※受講要件を満たした場合 |
||
期間 | 2ヶ月~2年 | 2ヶ月~3年 | 2ヶ月~4ヶ月 | 2ヶ月~6ヶ月 |
コース | 自動車整備 機械加工 電気工事 塗装、建築 造園、印刷など |
介護サービス 医療・調剤事務 総務・経理事務 WEBデザイン JAVAなど |
ビジネスマナー パソコンスキル など |
介護、事務 営業、販売 WEBデザイン ネイルなど |
特徴 | ものづくり分野 の訓練を実施 |
専門的な技能習得 | 社会人の 基礎スキルを習得 |
基礎スキル+ 実践技能を習得 |
受講料 | 無料 ※テキスト代等は 自己負担 ※1年以上の コースは一部有料 |
無料 ※テキスト代等は 自己負担 |
無料 ※テキスト代等は 自己負担 |
無料 ※テキスト代等は 自己負担 |
職業訓練(ハロートレーニング)の受講要件
職業訓練(ハロートレーニング)の受講要件は以下のとおりです。
- ハローワークに求職の申し込みをしていること
- 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
- 労働の意思と能力があること
- 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めていること
受講要件
- ハローワークへの求職の申し込み
求職者支援制度を利用するには、まずハローワークに求職の申し込みをする必要があります。ハローワークの窓口で「訓練の相談を受けたい」とお伝えください。 - 雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者の除外
雇用保険の適用を受けていた離職者で、雇用保険の失業給付を受給している方は、求職者支援制度の対象となりません。 - 労働の意思と能力の要件
求職者支援制度は、就職や転職を希望している方を対象とした制度です。そのため、労働の意思と能力があることが要件となります。 - 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認める
求職者支援制度は、就職や転職に必要なスキルや知識を身につけるために活用できる制度です。そのため、ハローワークが、職業訓練などの支援を行う必要があると認めることが必要です。
収入要件
2023年4月1日以降に開始する訓練を受講する場合の収入要件は、以下のとおりです。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月30万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 訓練実施日全てに出席する(やむを得ない理由により欠席し、証明できる場合(育児・介護を行う者や求職者支援訓練の基礎コースを受講する者については証明ができない場合を含める)であっても、8割以上出席する。)
- 世帯の中で同時に給付金を受給して訓練を受けている者がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
- 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない
※①又は②を満たさない場合であっても、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で③~⑧を満たす場合は、訓練施設への交通費(通所手当)を受給することが可能です。
収入要件を満たさない場合でも、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で他の要件を満たす場合は、通所手当のみ支給を受けることができます。
その他の要件
制度の受講にあたり、以下の要件も満たす必要があります。
- 訓練実施日全てに出席する(やむを得ない理由により欠席し、証明できる場合(育児・介護を行う者や求職者支援訓練の基礎コースを受講する者については証明ができない場合を含める)であっても、8割以上出席する。)
- 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない
- 過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない
制度を利用を希望する方は、上記の要件を満たしているかを確認してください。
公共職業訓練(離職者訓練)の概要
公共職業訓練とは、雇用保険を受給している求職者が対象になり、2ヶ月から3年間で再就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練になります。
公共職業訓練は別名、離職者訓練とも言います。
また、職業スキル取得後には就職支援も受けることができます。原則として週20時間以上お仕事をされている方は受講することができませんので注意してください。
▼受講は以下が実施しています
・国(高齢・障害・求職者雇用支援機構のポリテクセンター、ポリテクカレッジおよび障害者職業能力開発校)
・都道府県(職業能力開発校および障害者職業能力開発校)
・民間教育訓練機関等(都道府県からの委託)
受講料は原則無料ですが、テキスト代・作業着等など1~2万円程度は自己負担になります。
公共職業訓練には「施設内訓練」と「委託訓練」の2種類があります。
- 施設内訓練
- 委託訓練
【1】施設内訓練とは
公共職業訓練の「施設内訓練」とは、国や都道府県が行う公共職業能力開発施設内にて「ものづくり分野の訓練」や多様な人材ニーズに対応するため「専修学校などの民間教育訓練機関等を活用した委託訓練」を受けることができます。
・職業能力開発促進センター(ポリテクセンター)
・独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構
・都道府県立公共職業訓練校
【1-1】施設内訓練の概要
対象者 | 雇用保険を受給している求職者 |
実施主体 | 国・都道府県 |
給付金 | 雇用保険法に基づく 各種手当 |
期間 | 2ヶ月~2年 |
コース | 自動車整備、機械加工、電気工事、塗装、建築、造園、印刷など |
特徴 | ものづくり分野の訓練を実施 |
【1-2】施設内訓練のコース一覧(一部)
コース | 習得できる資格 | 就職先 |
自動車系 | ・自動車整備士 ・ガス溶接技能講習修了証 ・労働安全衛生規則による特別教育修了証 |
・自動車販売整備関連会社 (ディーラー、自動車板金・塗装工場) ・バス会社・運送会社整備部門 ・自動車用品販売店(カーショップ) |
電気・機械系 | ・第二種電気工事士、第一種電気工事士 ・消防設備士 技能士補[国:メカトロニクス] (技能照査合格者) ・労働安全衛生規則による 特別教育修了証(アーク溶接、自由研削) ・技能士補[国:機械](技能照査合格者) ・ガス溶接技能講習修了証 |
・生産設備設計開発企業 ・生産設備メンテナンス企業 ・光学機器・工作機械等製造会社 ・金属製品製造会社 ・電気機器製造会社 ・自動車部品製造会社 ・金型・治工具製造会社などの幅広い分野の製造業 |
建築・塗装系 | ・技能士補[都](技能照査合格者) ・労働安全衛生規則による特別教育修了証 (足場の組み立て等の業務) |
・建築塗装会社 ・金属塗装会社 ・木工塗装会社 ・防水工事会社 ・リフォーム会社 |
造園系 | ・労働安全衛生規則による特別教育修了証 (小型車両系建設機械(整地、掘削)) ・安全教育修了証 (刈払機取扱い、携帯用丸のこ盤取扱い) |
・造園・土木関連会社(植栽管理・造園土木施工) ・エクステリア関連会社(外構アプローチ施工) ・緑化関連会社、造園設計コンサルタント関連会社 ・都及び近県の公園協会(公益財団法人) |
【2】委託訓練とは
公共職業訓練の「委託訓練」とは、国と都道府県が実施主体となる職業訓練です。
- 国
全国で離職者が再就職に必要なスキルや知識を習得するために職業訓練を実施して、雇用のセーフティネットとして訓練機会を担保しています。 - 都道府県
地域住民サービスの視点から地域の実情に応じた職業訓練を実施しています。
・専修学校・各種学校
・大学、大学院
・NPO
・事業主
・事業主団体
【2-1】委託訓練の概要
対象者 | 雇用保険を受給している求職者 |
実施主体 | 民間の教育訓練機関 |
給付金 | 雇用保険法に基づく各種手当 |
期間 | 2ヶ月~3年 |
コース | 介護サービス、医療・調剤事務、総務・経理事務、WEBデザイン、JAVAなど |
特徴 | 専門的な技能習得 |
【2-2】委託訓練のコース一覧(一部)
コース | 習得できる資格 | 就職先 |
介護サービス系 | ・介護職員初任者研修 ・介護事務管理士 ・実務者研修 ・介護福祉士 |
・老人ホーム ・介護老人保健施設 ・グループホームなどの高齢者施設入所支援施設 ・高齢者、障害者への訪問介護事業所 ・生活介護、自立訓練、就労支援等の障害福祉サービス事業 |
医療事務系 | ・医療事務認定実務者試験 ・表計算検定 ・ワープロ検定 |
・医療機関における受付、会計、レセプト業務 ・診療報酬請求事務 ・医事課業務全般 ・医師事務作業補助 ・外来、病棟クラーク ・健康保険組合 ・産業医事務等 |
OA事務系 | ・MOS ・Word、Excel ・簿記検定 ・表計算検定 ・ワープロ検定 ・計算実務検定 ・社会人常識マナー検定 |
・会計事務所 ・税理士事務所 ・社労士事務所 ・事務職全般 |
プログラマ SE系 |
・Java ・Python3 ・Ruby ・PHP C言語プログラミング 基本情報技術者試験(FE) |
・IT、通信企業 ・システム開発会社 ・ソフトウェア開発会社 ・セキュリティ会社 |
求職者支援訓練の概要
求職者支援訓練とは、雇用保険を受給できない求職者を対象になり、2ヶ月から6ヶ月で再就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練になります。
民間教育訓練機関等(訓練コースごとに厚生労働大臣が認定)
受講料は原則無料ですが、テキスト代など1~2万円程度は自己負担になります。一定要件を満たすことで、訓練期間中、職業訓練受講給付金の支給を受けることができます。
求職者支援訓練には「基礎コース」と「実践コース」の2種類があります。
- 基礎コース
- 実践コース
【1】基礎コースとは
求職者支援訓練の「基礎コース」とは、社会人経験が少ない方が就職に必要な基礎的なスキルやこれに関する知識を付与するための職業訓練になります。
【1-1】基礎コースの概要
対象者 | 雇用保険を受給していない求職者 |
実施主体 | 民間の教育訓練機関 |
給付金 | 職業訓練受講給付金 |
期間 | 2ヶ月~4ヶ月 |
コース | ビジネスマナー、パソコンスキルなど |
特徴 | 社会人の基礎スキルを習得 |
【1-2】基礎コース一覧(一部)
コース | 習得できる資格 |
ビジネスパソコン | ・Microsoft Office Specialist 2013(MOS2013) ・Word,Excel,PowerPoint ・日商PC検定試験 3級(文書作成、データ活用) ・パソコン技能検定Ⅱ種試験 2級 |
ビジネス アプリケーション |
・Microsoft Office Specialist 2013(MOS2013) ・Word,Excel,PowerPoint ・日商PC検定試験 3級(文書作成、データ活用) ・コミュニケーション検定 初級 ・ビジネス実務マナー検定 3級 |
【2】実践コースとは
求職者支援訓練の「実践コース」とは、基礎的なスキルなどや実践的な技能、これに関する知識を付与するための職業訓練になります。
【2-1】実践コースの概要
対象者 | 雇用保険を受給していない求職者 |
実施主体 | 民間の教育訓練機関 |
給付金 | 職業訓練受講給付金 |
期間 | 2ヶ月~6ヶ月 |
コース | 介護、事務、営業、販売、WEBデザイン、ネイルなど |
特徴 | 基礎スキル+実践技能を習得 |
【2-2】実践コース一覧(一部)
コース | 習得できる資格 | 就職先 |
介護サービス系 | ・介護職員初任者研修 ・介護事務管理士 ・実務者研修 ・介護福祉士 |
・老人ホーム ・介護老人保健施設 ・グループホームなどの高齢者施設入所支援施設 ・高齢者、障害者への訪問介護事業所 ・生活介護、自立訓練、就労支援等の障害福祉サービス事業 |
ネイル系 | ・ネイリスト技能検定試験3級・2級・1級 ・JNAジェルネイル技能検定試験初級・中級・上級 ・ネイルサロン衛生管理士 ・JNAフットケア理論検定試験 |
・ネイルサロン |
WEB系 | ・Webクリエイター能力認定試験 スタンダード ・ウェブデザイン技能検定2級 ・ホームページ制作能力認定試験 |
・Web制作会社 ・IT関連会社 ・システム開発会社 |
プログラマ SE系 |
・Java ・Python3 ・Ruby ・PHP C言語プログラミング 基本情報技術者試験(FE) |
・IT、通信企業 ・システム開発会社 ・ソフトウェア開発会社 ・セキュリティ会社 |
建築事務 CAD系 |
・MOS Word 365&2019 ・MOS Excel 365&2019 ・3次元CAD利用技術者試験2級 |
・建築、土木会社 ・家具、インテリア会社 ・リフォーム会社 ・不動産会社 ・設計、コンサル会社 |
経理系 | ・MOS ・Word、Excel ・簿記検定 ・電子会計実務検定 ・秘書検定 |
・会計事務所 ・税理士事務所 ・社労士事務所 ・事務職全般 |
職業訓練のメリット
- 受講料が無料
- 実践的な知識・職業スキルが身に付く
- 支援員が就職サポート
- さまざまな手当が支給される
- 受講手続きが楽
- 給付制限が解除される
職業訓練のメリットを1つずつ解説していきます。
【メリット1】受講料が無料
ハローワークの職業訓練でかかる受講料は原則無料となります。
つまり介護資格なども取得するのに結構な費用がかかりますが、それもすべて無料になります。
介護職員初任者研修 | 約4万円~11万円 ⇒ 0円 |
実務者研修 | 約9万円~16万円 ⇒ 0円 |
介護福祉士 (受験対策講座) |
約1.5万円~2万円 ⇒ 0円 |
ただし、テキスト代・作業着代などは自己負担になります。
【メリット2】実践的な知識・職業スキルが身に付く
転職・再就職する上で必要不可欠な知識と職業スキルを実践的な実習を通して学び習得することができます。
資格取得をすることで自己アピールポイントを増やすことができます。
【メリット3】支援員が就職サポート
就職支援アドバイザーや職業訓練指導員が履歴書や職務経歴書の書き方、面接の受け方、応募書類の作成などをサポートしてくれます。
一般的には実務経験不足により不採用になってしまうケースであっても、ハローワークからの就職サポートによって就職しやすくなります。
【平成30年】求職者支援訓練の就職状況
分野 | IT | 営業/販売/事務 | 医療事務 | 介護福祉 | デザイン | 美容 | その他 | 合計 |
コース | 124 | 453 | 121 | 203 | 214 | 143 | 151 | 1,409 |
受講者数 | 1,225人 | 4,183人 | 1,143人 | 1,680人 | 2,483人 | 1,373人 | 1,396人 | 13,483人 |
修了者数 | 998人 | 3,816人 | 1,037人 | 1,531人 | 2,049人 | 1,166人 | 1,245人 | 11,842人 |
就職者数 | 652人 | 2,282人 | 680人 | 1,139人 | 1,274人 | 763人 | 728人 | 7,518人 |
就職率 | 80.6% | 76.7% | 80.2% | 90.3% | 78.6% | 87.2% | 76.7% | 80.5% |
【メリット4】さまざまな手当が支給される
雇用保険の失業給付を受給中に公共職業訓練を受講することで、失業給付の基本手当が訓練就業まで延長して支給されます。
また訓練受講期間中に40日分を限度として、訓練受講の日において1日あたり受講手当500円が別途支給されます。さらに、訓練実施場所までにかかる交通費が訓練終了まで毎月支給されます(上限あり)。
【メリット5】受講手続きが楽
ハローワークにて雇用保険受給のために毎月失業認定の手続きが必要ですが、職業訓練を受講した場合、毎月末が認定日となり訓練実施機関にて事務処理をしてくれますので楽になります。
【メリット6】給付制限が解除される
自己都合退職の場合、3ヶ月の給付制限がありますが、給付制限期間中に職業訓練を受講した場合、給付制限が解除されて雇用保険の失業給付が受給できるようになります。
職業訓練のデメリット
- 授業のスピードが早くてついていけない
- 周りの人と馴染めない
- 訓練期間が長い
- 選考に落ちるかもしれない
- テキスト代や資格受験料が必要
- 悪質な訓練校がある
- 就業サポートの質が低い
職業訓練のデメリットを1つずつ解説していきます。
【デメリット1】授業のスピードが早くてついていけない
自分が得意・興味がある分野でなければ、授業のスピードが早いと感じ途中から内容がわからず、ついていけなくなってしまいます。
特に事務・プログラミング・デザインなどパソコンを使った授業では聞きなれない英語が使われたり、理解をするのに苦労する場合があります。
対処法としては、
- 休まないですべての授業に出る
- 講師(先生)に授業終了後にわからない箇所を聞く
- 周りの人に聞く
- 家に帰ってから必ず復習をする
授業が早いと感じるならこれらをしてみることをおすすめします。
【デメリット2】周りの人と馴染めない
職業訓練は、言わば学校と同じ環境の中で職歴や学歴が多種多様な人達と2カ月~2年ほど一緒に訓練を受けます。
大人しかったり、人見知りの方はなかなか馴染めないかもしれません。そのため一人でいると辛く限界を感じ辞める人もいるようです。
とはいえ、変な人と関わることで精神が乱れたり、集団でいる方が気を使い疲れたりもします。友達を作りに来ている場ではないので、資格取得のために全力で頑張ることをおすすめします。
【デメリット3】訓練期間が長い
ハローワークの教育訓練は短いものであれば最短9日~3ケ月程度のコースもありますが、一般的にはだいたい「3ヶ月」ほどかかる訓練期間コースが多いです。
例えば、介護の訓練期間は以下の通りです。
コース | 訓練期間 |
介護職員初任者研修 | 約3ヶ月 |
実務者研修 | 約6ヶ月 |
介護福祉士 | 約2年 |
また職業訓練を受けるためには手続きなどが必要となりますので結構時間がかかります。
「職業相談」→「受講申込」→「選考」→「合否通知」→「訓練受講開始」
訓練受講開始までに数ヶ月間もかかってしまう場合もありますので、早く資格を取得したいという方にはおすすめできません。
【デメリット4】選考に落ちるかもしれない
職業訓練は受講申込後、「選考」があります。
選考は「筆記試験」と「面接」によって受講者の選定をします。
・自己紹介
・職業訓練を受けようと思った理由
・前職の退職理由
・職業訓練を学びたいこと
・就職が決まったらどうするか
・修了後、すぐに就職できるか
選考では、筆記試験よりも面接の方が重要と言われています。倍率が高いコースの場合は集団面接になります。
面接では上記の聞かれることに対して正確に答えれるようにしておきましょう。一番重要なことは訓練で一生懸命学びたい、すぐに就職したいという思いを伝えることです。
選考に落ちた場合は、自宅に不合格通知が届きます。
こうならないためにも、筆記試験の過去問チェックと面接対策をしておきましょう。
【デメリット5】テキスト代や資格受験料が必要
職業訓練は原則無料を受けることができますが、テキスト代や作業着代など1万円~2万円ほどかかります。また、資格を受ける際には資格受験料も自己負担になります。
コース | 自己負担額 |
介護職員初任者研修 | 教科書代:8,200円 その他:3,000円 |
実務者研修 | 教科書代:17,300円 その他:4,800円 |
介護福祉士 | 教科書代:45,000円 その他:84,000円 |
また、交通費や車の場合はガソリン代もかかってきます。(要件を満たせば交通費も支給されます。上限あり。)
ある程度のお金がかかることを想定して訓練を受ける必要があります。
【デメリット6】悪質な訓練校がある
職業訓練は「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」の2つがありますが、民間企業が実施主体となっている「求職者支援訓練」はブラックな訓練校が多いです。
具体的には、
- 講師のやる気がなく自習が多い
- 講師に質問しても返ってこない
- 講師が怒鳴ってくる
- 無理やり就職を強要してくる
などです。
このような訓練校の多くは国から訓練などを計画に沿って実施した時に支給される「助成金」や訓練が円滑かつ効果的に実施されるよう「奨励金」で運営をしています。
経営が厳しい民間企業ほどこのような「助成金」や「奨励金」目当てで運営しているため、生徒のことは全く考えていなく、講師は悪質で最悪なケースが多いです。
もちろんすべての企業ではないですが、少なからずこのような民間企業も存在しています。
【デメリット7】就業先の質が低い
ハローワークでは就職サポートを行っており、求人への問合わせや応募手続きはハローワークが行ってくれます。
しかし、ハローワークから紹介される就職先である企業の質が悪いことがよくあります。
例えば、
- 「介護求人サイト」に介護施設が掲載する際にかかる費用は約5万円~10万円ほど
- 「介護人材紹介会社」に介護施設が転職希望者を斡旋してもらった際にかかる費用は採用者の年収約30%~40%ほど
つまり、経営に余裕があり優秀な人材を確保したいと考える企業はハローワークは利用せず、求人サイトや人材紹介会社に依頼するところが多いです。
【デメリット8】倍率が高くて受かりづらい
ハローワークの職業訓練の人気のコースは受ける人が多いため、倍率が高く受かりづらいです。
定員が予め決まっているため、定員漏れになる可能性もあります。
最近では、IT・web系の需要が高まっており、応募倍率は2倍以上のコースが見受けられます。
【東京都2021年12月度】求職者委託訓練の応募倍率(一部抜粋)
Webクリエイター | 2.50 |
Webデザイン | 3.23 |
介護職員初任者研修 | 1.00 |
医療事務 | 1.35 |
経理・総務 | 1.35 |
建築2DCAD | 1.14 |
ビジネスソフト | 0.87 |
不動産ビジネス | 1.67 |
職業訓練の応募から開始までの流れ
- ハローワークで申し込みを行う
- 受講申込をする
- 選考(筆記試験・面接)
- 合格通知書が届く
- 説明会に参加する
- 訓練開始
ハローワーク職業訓練の応募方法から訓練開始までの流れを説明します。
【STEP1】ハローワークで申し込みを行う
まずは管轄のハローワークで求職の申し込みを行います。
その際、ハローワーク窓口の方に
将来〇〇の仕事に就きたいのですが、資格などを持っていないので不安です。職業訓練でスキルを身に付けることができると知ったのでぜひ受講させていただきたいです。
と伝えるとスムーズです。
ハローワークで職業相談を受けながら、どの職業訓練コースを受講するか決めます。
入校案内パンフレットを家で見ながらじっくりと決めたり、コースによっては説明会を開催していますので教室や授業風景を実際に確認して見つけてみるのも良いでしょう。
【STEP2】受講申込をする
「受講申込書」に必要事項を記入、写真1枚添付し、希望される訓練コースの募集期間内にハローワーク窓口に提出します。
受講申込書の「職業訓練の受講を希望した理由欄」は面接でも聞かれる重要な箇所ですので、しっかりと自分の意思を書きましょう。
参考 東京労働局 受講申込書
【STEP3】選考(筆記試験・面接)
職業訓練の受講要件をきちんと満たしているか確認するため、「筆記試験」と「面接」を受けます。入所願書等の内容を含め総合的に判断して合否が決定されます。
・自己紹介
・職業訓練を受けようと思った理由
・前職の退職理由
・職業訓練を学びたいこと
・就職が決まったらどうするか
・修了後、すぐに就職できるか
選考では、筆記試験よりも面接の方が重要と言われています。倍率が高いコースの場合は集団面接になります。
面接では上記の聞かれることに対して正確に答えれるようにしておきましょう。一番重要なことは訓練で一生懸命学びたい、すぐに就職したいという思いを伝えることです。
【STEP4】合格通知書が届く
職業訓練合否の「選考結果通知書」が、合否発表日に受験者の自宅へ郵送されます。
選考に落ちた場合は、自宅に不合格通知が届きます。
合格された方は、ハローワークに選考結果通知書を持参し、「就職支援計画書」の交付を受けましょう。
【STEP5】説明会に参加する
選考結果通知書の中に説明会について書いてありますので、指定日に説明会に参加します。説明会では選考結果通知書と一緒に同封された必要書類を持参し講師に提出します。
「訓練のガイダンス」がありますので必要なことはしっかりとメモを取りましょう。
・筆記用具
・メモ帳
・A4クリアファイル
・バッグ
・印鑑
・お金
またテキストなどが配布されますので、テキスト代等のお金を事前に準備しておきましょう。
説明会では学校の雰囲気、設備、講座の内容を把握することができますので、必ず参加してください。体調不良等で説明会を欠席せざる得ない場合は、速やかに就業先へ電話連絡をしましょう。
【STEP6】訓練開始
訓練開始になります。開校日には「就職支援計画書」の写しを持参してください。
おわりに
ハローワーク職業訓練のメリット・デメリットをおさらいします。
- 受講料が無料
- 実践的な知識・職業スキルが身に付く
- 支援員が就職サポート
- さまざまな手当が支給される
- 受講手続きが楽
- 給付制限が解除される
- 授業のスピードが早くてついていけない
- 周りの人と馴染めない
- 訓練期間が長い
- 選考に落ちるかもしれない
- テキスト代や資格受験料が必要
- 悪質な訓練校がある
- 就業サポートの質が低い
職業訓練をこれから受けようと考えている方はメリット・デメリットや受講要件をよく理解してから申し込むことをおすすめします。