実務者研修の試験を受けようと思っているので受験資格や資格講座を知りたい
実務者研修の仕事内容や給料が知りたい
上記のようにこれから実務者研修の資格を取得するにあたり詳しく知りたい方はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では、実務者研修のメリット、仕事内容や将来性、転職先、受験資格取得ルート、通信・通学のカリキュラム受講講座内容、などを詳しく解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
実務者研修とは?
実務者研修の正式名称は【介護福祉士実務者研修】と言います。旧名は2013年に廃止されたホームヘルパー1級になります。
無資格・未経験でも受けることができ、受講期間は450時間必要になります。
実務者研修は、介護職員初任者研修の上位資格であり、介護に関するより幅広い知識・技術を身に着けることができる応用的な資格になります。
実務者研修のメリット4つ
【メリット①】介護福祉士の受験ができる
一般的に社会人から介護福祉士になるための受験資格は、以下の2点が必須になっています。
- 実務経験3年以上
- 実務者研修の修了
介護の仕事を続けるのであれば、いずれは国家資格「介護福祉士」の資格を取得したいと考える方も多いと思いますので、働きながら実務者研修を修了すれば、介護福祉士の受験にチャレンジすることができます。
キャリアアップを考えている人にとっても必須の資格となっています。
【メリット②】サービス提供責任者になれる
実務者研修を取得すると、訪問介護事業所で必ず配置されている「サービス提供責任者」として働くことができるようになり、実践的な知識と洗練された技術を使う仕事を任されます。
訪問介護を行っている事業所ではサービス提供責任者は必須となっており、実務者研修修了者も認められています。
具体的な仕事内容は、
訪問介護サービスにおける主軸として重要なポジションにつけるチャンスが広がります。
【メリット③】医療的ケアを学ぶことができる
従来は医師や看護師しか行うことができませんでしたが、実務者研修修了者は一定の条件を満たすことで、
医療的ケアである
- たん吸引
- 経管栄養
などの医療行為を行うことができるようになりますので、介護現場においてより必要性を高めることができます。
実際に実務者研修を終了している人は現場では多く求められている人材になっています。また、この資格を持っている人は将来介護福祉士を目指していると好意的にとられることが多いので、様々な介護職にて活躍することができるでしょう。
【メリット④】給料アップに繋がる
実務者研修資格を取得すれば、資格手当等が支給されたり重要なポジションに昇格するチャンスが増えます。
仕事の幅が広がることでやりがいも出てきますし、介護の知識や技術があると周りからの信頼も得やすくなります。給料アップだけではなくキャリアアップを目指したり、転職を考える上でも有利に働く資格です。
実務者研修の仕事内容とは
職場によって仕事内容は違いますが、主な業務は以下の2つが基本です
- 身体介護
- 生活援助
介護の職場も大きく分けて2つあります。
利用者の自宅での支援、介護施設や医療機関での支援、訪問入浴介護などを行います。
施設介護
24時間体制の所もあるため様々な時間帯で勤務することも多く、一度に複数人の支援を行ったりすることもあります。
生活援助は資格がなくても行えますが、身体介護は知識や技術が必要なため無資格では行えません。
①身体介護とは
利用者の身体に直接触れながら、利用者の様々な身体状況に合わせ、身体に関する介護全般を行います。
食事介助
利用者の状態に合わせて、体勢やどの位置からどれくらいの量を口に運べばいいのかなどを考えながら食事の介助を行います。他にも歯磨きやうがいなどの口腔ケア、口腔体操や嚥下体操などのサポートもあります。
排泄介助
排泄やおむつ交換などの介助を行います。トイレまで連れて行ったり、ポータブルトイレを使用したり、ベッドの上で介助をしたりと、プライバシーに配慮しながら介助を行います。
入浴介助
髪や身体の全身洗浄、足浴、タオルを使っての清拭など、利用者の入浴の介助を行います。健康を保つためには入浴や清潔保持はとても重要です。
移乗の介助
ベッドから車イス、車イスからベッドなどへの移動するための介助をします。利用者の体は麻痺、筋力低下などさまざまな病状がありますので負担がかからないように介助を行います。
着替えの介助
利用者の身体状態を見ながら着替えの介助を行います。脱健着患を意識しつつ身体に負担をかけずスムーズに着替えを手伝います。
体位変換
同じ場所が圧迫され血流が悪くなってしまうと床ずれを起こしたり、関節も固まって拘縮してしまいます。そうならないために、仰向けに寝ている状態から横にしたり、座っている状態から立たせたりと体位を変えます。
移動介助
立ったり、座ったり、歩いたりなどの移動や、車椅子や杖を使っての移動の介助を行います。段差の上り下りや階段の上り下りなど、少しでも不安を取り除き安全に移動ができるように手伝います。
通院介助
利用者が通院するための身支度や、交通機関を使っての移動などの介助を行います。車での乗り降りや、段差や横断歩道などでのサポート、病院での手続きなども手伝います。
②生活援助とは
食事の用意や掃除、洗濯、買い物などを利用者がひとりで行うのが難しい場合に、日常生活に必要な家事を代わって行うのが生活援助です。
調理
利用者の自宅で食事の用意をします。利用者の好みや状態、栄養バランスなどを考えながらメニューを決め、準備・調理・後片付けやゴミ出しなどを行います。
掃除
利用者の自宅の掃除をします。利用者によって清掃方法は違いますが、掃除機をかけたり、雑巾がけ、整理整頓などを行います。
洗濯
利用者の自宅で衣類等の洗濯や収納、衣服の修理などを行います。
買い物
利用者の代わりに日用品などの買い物の代行、薬の受け取りなどを行います。
生活に関する相談・助言
ケアマネージャーなどと連携を取りながら適切なアドバイスや助言を行います。介護技術、介護用品に関する相談以外は対応できません。
③その他
レクリエーション
施設でのレクリエーションの際に、企画や実施なども行います。
実務者研修の将来性
実務者研修は介護業界で目標となる資格の1つ
実務者研修の将来性は介護職員初任者研修と同じく高いものと言えます。
旧介護職員基礎研修・旧ホームヘルパー1級から実務者研修に改編されたときに、介護資格の最上位資格である認定介護福祉士へのステップアップルートに大々的に組み込まれる形になったので、介護業界で働く人にとって目標となる資格の一つとなったからです。
また、日本は高齢化社会へ一直線に進んでいるため介護そのものの需要はこれから増え続けるでしょう。その点から見ても誰が見ても分かりやすい資格の保持者になることは非常に大きいことと言えます。
資格取得者は求められている
上を目指すためにも必須な資格となっていますが、資格を持っている人そのものも非常に求められているので「この資格をとっても意味が無い」とは絶対になりません。
介護業界の資格で悩んだ場合は最終的に認定介護福祉士に到達することを目標として、介護職員初任者研修を取得し、実務者研修を修了するのがいいでしょう。
実務者研修の就職先
実務者研修修了者はどのような就職先があるかというと
など数多くの介護関連の施設で働くことができます。
もともと介護職員初任者研修の資格があればこれらの場所では働けるようにはなるのですが、そこで求められているのは現場で仕事をする人です。しかし実務者研修修了者はそれよりも上の地位、具体的には現場のまとめ役やサービス提供責任者になることを求められます。いわゆるある程度の責任のある立場ということです。
実務者研修の給料
介護業界全体が薄給であることは知られていますが、実務者研修修了者であればある程度の額をもらうことができるようになります。もともと実務者研修修了者は現場のリーダーやサービス提供責任者などの一定の地位につく必要があるものとなっているので、給料も現場で働いている人より上となります。
具体的には正社員で月収18~22万円(資格手当込み)くらいとなるでしょう。年収は、男性で約350万円、女性で約300万円といわれています。時給は800円~1400円。働く場所や会社によってはだいぶ前後することがありますので参考程度にお願いします。
給料 | 金額 |
年収 | 250万円〜350万円 |
月収 | 18万〜22万円 |
時給 | 800円~1400円 |
給料面で納得がいかない職場に就いたとしても、実務者研修修了者は多くの人に求められているのですぐに転職することができます。そのため自分が納得のいく職場を探すこともできるでしょう。
実務者研修の資格概要
受講資格
実務者研修は、受験資格は必要ありません。無資格・未経験、どなたでも受講可能です。
料金・費用
実務者研修の講座料金・費用は、
- スクール
- 保有介護資格
によって変わってきます。
実務者研修スクールの平均的な料金・費用は以下の通りです。
保有介護資格名 | 料金・費用 |
無資格の方 | 9万円~16万円(税込) |
初任者研修 | 8万円~15万円(税込) |
ホームヘルパー2級 | 8万円~15万円(税込) |
ホームヘルパー1級 | 5万円~10万円(税込) |
介護職員基礎研修 | 2万円~5万円(税込) |
例として全国展開している介護資格教室の大手「三幸福祉カレッジ」の料金・費用は以下になります。
保有介護資格名 | 料金・費用 |
無資格の方 | 142,670円(税込) |
初任者研修 | 109,670円(税込) |
ホームヘルパー2級 | 109,670円(税込) |
ホームヘルパー1級 | 84,700円(税込) |
介護職員基礎研修 | 40,700円(税込) |
学習期間
学習期間は2007年の法改正により、【6ヶ月・450時間】と定められています。
おおよそ1カ月半~6カ月ほどで取得できます。(保有介護資格により変わります。)
スクールによって、平日コースや土日コースなどある場合がありますのでご自身の通いやすいコースを選びましょう。
無資格の方 | 介護職員初任者 研修修了者 |
ホームヘルパー2級 修了者 |
ホームヘルパー1級 修了者 |
介護職員基礎研修 修了者 |
|
通学日数 | 6~10日 | 6~10日 | 6~10日 | 6~10日 | 1~3日 |
受講期間 | 6ヶ月 | 4ヶ月 | 4ヶ月 | 2ヶ月 | 1ヶ月 |
学習方法
学習方法は以下の2つを合わせて行います。
- 自宅学習(通信)約2ヶ月ほど
自宅にてテキスト学習をしてレポートを提出します。 - 通学講習(スクーリング)約7日間
介護教室に通い、実践的な介護の知識を技術を身につけます。
受講の流れ
- ステップ①自宅学習
- ステップ②通学講習
- ステップ③スクールによって修了試験あり
- ステップ④実務者研修修了証明書の発行
教育訓練給付金とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、本人がその教育訓練施設に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度になります。おおよそ受講料が20%~最大70%割引になりますので対象者の方は必ずスクールの申込時に申請しましょう。
参考 教育訓練給付金制度とは
実務者研修のカリキュラム
無資格の方はすべての科目を受講します。介護資格をお持ちの方は、受講科目と受講時間の一部が免除されます。
自宅学習
自宅学習する箇所は「●」印になります。
カリキュラム | 時間 | 無資格 | 介護職員 初任者研修 |
介護職員 基礎研修 |
ヘルパー 1級 |
ヘルパー 2級 |
喀痰吸引 等研修 |
人間の尊厳と自立 | 5 | ● | ー | ー | ー | ー | ● |
社会の理解Ⅰ | 5 | ● | ー | ー | ー | ー | ● |
社会の理解Ⅱ | 30 | ● | ● | ー | ー | ● | ● |
介護の基本Ⅰ | 10 | ● | ー | ー | ー | ー | ● |
介護の基本Ⅱ | 20 | ● | ● | ー | ー | ー | ● |
コミュニケーション 技術 |
20 | ● | ● | ー | ー | ● | ● |
生活支援技術Ⅰ | 20 | ● | ー | ー | ー | ー | ● |
生活支援技術Ⅱ | 30 | ● | ー | ー | ー | ー | ● |
介護過程Ⅰ | 20 | ● | ー | ー | ー | ー | ● |
介護過程Ⅱ | 25 | ● | ● | ー | ー | ● | ● |
発達と老化の理解Ⅰ | 10 | ● | ● | ー | ー | ● | ● |
発達と老化の理解Ⅱ | 20 | ● | ● | ー | ー | ● | ● |
認知症の理解Ⅰ | 10 | ● | ー | ー | ー | ● | ● |
認知症の理解Ⅱ | 20 | ● | ● | ー | ー | ● | ● |
障害の理解Ⅰ | 10 | ● | ー | ー | ー | ● | ● |
障害の理解Ⅱ | 20 | ● | ● | ー | ー | ● | ● |
こころとからだ のしくみⅠ |
20 | ● | ー | ー | ー | ー | ● |
こころとからだ のしくみⅡ |
60 | ● | ● | ー | ー | ● | ● |
医療的ケア・通信 | 50 | ● | ● | ● | ● | ● | ー |
自宅学習の科目数 | 19科目 | 10科目 | 1科目 | 1科目 | 11科目 | 18科目 |
通学講習(スクーリング)
通学講習する箇所は「●」印になります。
カリキュラム | 時間 | 無資格 | 介護職員 初任者研修 |
介護職員 基礎研修 |
ヘルパー 1級 |
ヘルパー 2級 |
喀痰吸引 等研修 |
介護課程Ⅲ | 45 | ● | ● | ー | ● | ● | ● |
医療的ケア 講義・演習 |
16 | ● | ● | ● | ● | ● | ー |
通学講習の日数 | 約9日間 | 約9日間 | 約3日間 | 約9日間 | 約9日間 | 約9日間 |
「医療的ケア」の演習は喀痰吸引(口腔 5 回以上、鼻腔 5 回以上、 気管カニューレ内部 5 回以上)、経管栄養(胃ろう又は腸ろう 5 回以上、経鼻経管栄養 5 回以上)、 救急蘇生法演習(1 回以上)になります。