介護職では50代の求人も多く、資格を持っていれば未経験でも正社員として採用されることもあります。
未経験から介護をしてみたいけどデメリットや注意点を知っておきたい。
介護の資格や職場はどんなところがあるのか知りたい
上記のような50代未経験から介護職に転職したい方はこの記事を読むことで解決できます。
この記事では50代未経験から介護職に転職するメリット・デメリットを解説。また介護転職を成功させるためのポイントや注意点、さらに介護資格や介護の施設についてもまとめましたのでぜひ参考にしてみてください。
50代介護職員の労働現状
50代男女別の就業率
介護・福祉分野で働く、サービス提供責任者、看護職員、ケアマネジャー、生活相談員・支援相談員、PT、OT、ST等、管理栄養士・栄養士、福祉用具専門相談員、介護職員、訪問介護員の9職種の職員合計のうち、50代の就業率は男性で10.7%、女性で25.6%と、女性が男性の約2.5倍となっています。
20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60歳以上 | |
男性 | 24.5% | 34.8% | 18.7% | 10.7% | 8.6% |
女性 | 9.7% | 17.9% | 25% | 25.6% | 19% |
出典 介護労働安定センター
50代職種別の就業率
50代男女の就業率を特に介護職員と訪問介護員についてみると、介護職員では19.7%、訪問介護員では27.5%でした。
介護職員の各年代別での就業率では50代は3番目で、訪問介護員では2番目に多くなっています。
20~29歳 | 30~39歳 | 40~49歳 | 50~59歳 | 60歳以上 | |
介護職員 | 19.0% | 24.0% | 22.4% | 19.7% | 12.0% |
訪問介護員 | 4.4% | 11.5% | 22.9% | 27.5% | 31.6% |
出典 介護労働安定センター
50代未経験が介護職に転職するメリット
【メリット①】年齢や職歴を問わない
介護職には年齢不問という求人が多く、50代ではまだ採用の機会が十分あります。年齢に制限がある他の業種のように、応募する前から諦めるということがありません。
また職歴を問わず未経験での採用が可能な求人も多数あるので、長く家庭にいて久しぶりに働くとか、全く違う職種に就いていたという場合でも、挑戦しやすい職種です。
【メリット②】長く安定した勤務
介護職は60代で働いている人もあり、50代で入ったとすればあと10年以上は勤務できることになります。派遣など期間が決まっている仕事と違い、長く安定して勤務できることがメリットです。
また、ほとんどの場合週に20時間以上、ひと月8万8千円以上働くことになると思いますが、その場合職場で社会保険に加入することができます。
社会保険の加入で、将来受け取る年金額が増えたり、国民健康保険では給付されない傷病手当金などを受けられることもメリットになります。
【メリット③】正社員になることも可能
50代で未経験者を正社員採用する職場はほぼありませんが、介護職では未経験でも資格を持っていれば正社員採用もありますし、未経験・無資格で入職しても、その後資格を取得することで正社員になる道が選べる職場もあります。
そのため50代からでも、スキルアップしていき施設長や管理者を目指すことも可能です。
【メリット④】知識が身につく
50代といえば、親の介護が必要になってくる年齢ですが、実際にその時が来るまでは準備や心構えはしていない、という人が多いと思います。
介護の仕事を通して利用者と接し、知識を学んでいくことで、いざ親に介護が必要になった時にも慌てず対応する準備ができていきます。
【メリット⑤】利用者と打ち解けやすい
50代の人にとって施設を利用している高齢者は、ちょうど自分の親と同年代が多いでしょうから、コミュニケーションの取り方も慣れていると思います。
また利用者にとっても、息子や娘と同年代の50代なら、昔の話も理解してもらえますし、若すぎる職員よりは打ち解けやすい面が多いでしょう。
50代未経験が介護職に転職するデメリット
【デメリット①】夜勤が辛い
体力も落ちてきている50代にとって、夜勤はかなりのデメリットです。
入居型の介護施設では夜勤は月に少なくても4~5回はあり基本的に昼夜の交代制勤務なので、からだのリズムが回復しにくくなっている50代では、夜勤の疲れが残って抜けきらないうちに次の夜勤を迎えることもあり、負担も大きく感じます。
参考 介護職の夜勤とは?1日の流れ・勤務時間・回数・給料・休憩仮眠を解説
【デメリット②】上司が年下
管理職やリーダーなどが自分より年下の場合も多く、前職でベテランだった人は多少抵抗を感じるかもしれませんが、未経験の転職では、周りの人に一から教えてもらわなければ業務ができないので、下の立場に置かれるのは当然です。
しかし、年下の上司や先輩に指導されたり厳しく注意を受けることが度々続けば、やはりストレスに感じることもあり、その点がデメリットといえるでしょう。
【デメリット③】仕事を覚えるのが大変
年齢的に記憶力が落ちていくこともあり、この年代で介護に関する新たな知識を覚えていくのは意外と大変ですし、若い人よりも時間がかかります。
また日常の業務の中でも、服薬の時間や回数、利用者の状態に合った食事の形態など、忘れると利用者の安全にかかわることが数多くあり、それらを確実に行わなければならず、記憶に自信が無いところは常にメモを取ったり、忘れない工夫をする必要があります。
【デメリット④】給与の安さ
これまで就いていた仕事で、キャリアがあり見合った給与をもらっていたとしても、転職先では20代の新卒者も50代でも、同じ未経験者としての給与になります。
努力次第でキャリアアップし昇給できる希望はありますが、全産業の中でも介護職の給与は低いと言われているので、未経験での介護職への転職は、以前の職場に比べて収入がかなり下がることは覚悟しておいたほうがいいでしょう。
未経験から介護転職を成功させる5つのポイント
ポイント① 自分に合った施設を選ぶ
介護施設には実は多くの種類があり、利用者の介護をする、という点では同じですが、
など、違った特徴を持っています。
例えば、
人前で話したり明るくイベントを仕切ったりするのが得意な人は通所介護が向いています。
利用者に寄り添いじっくり向き合うことが得意な人には在宅介護が向いています。
体力に自信があったりチームでケアをしたい人には施設介護が向いています。
自分の性格や得意分野を生かせる職場を選ぶことが転職成功のポイントのひとつです。
ポイント② 自分に合った雇用形態、勤務時間
介護職には正社員・パート・アルバイトなど雇用形態も働く時間帯もいろいろあるので、家庭重視の働き方なのか、バリバリ稼いでスキルアップもしていくことが目標なのかなど、どのように働きたいかを明確にして職場と働き方を選ぶと失敗がありません。
将来は管理者等を目指しているなら正社員としてフルタイムで、家庭や子どもを優先して働くなら日勤のみの勤務や短時間のパート、少ない日数で稼ぎたいなら夜勤だけの夜勤専従という働き方もあります。
自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶことで、無理なく勤務を続けられます。
ポイント③ 資格取得しておく
転職成功のいちばんのポイントは、介護職の基本となる「介護職員初任者研修」資格を取得しておくことです。
資格を持っていることで採用される確率も上がりますし、未経験であっても有資格者では無資格者に比べて給与額も高くなります。
介護職員初任者研修資格は、130時間の講習受講が必要で、通常3か月ほどかかるのですが、スクールによってはひと月程度で受講できるカリキュラムを組んでいるところもあります。
また、雇用保険の受給が終了した人、雇用保険を受給できない人が該当するハローワークの求職者支援制度を使うと、教材代等自己負担は多少かかりますが講習は無料で受講することも可能です。
ポイント④ 実際に職場を訪問してみる
見学会や説明会などを行っているところでは、実際に案内してもらうこともできますが、もしそうした機会が作られていなくても、面接で訪問した時にさりげなく職員や施設内の様子を見ておきましょう。
施設内の隅々まで清掃が行き届いていたり、季節の装飾がされているような職場は、余裕をもって仕事ができている、という目安にもなりますし、職員が声を掛け合っていたり笑顔が多い職場は、未経験者も安心して勤務できるでしょう。
ポイント⑤ 介護転職エージェント&介護求人サイトを活用する
介護経験者であっても人間関係が良い職場や高給与の職場を探すのは、コネや信頼性のある介護人脈が無い限り非常に困難です。そこで利用するべきなのが「介護転職エージェント」と「介護求人サイト」です。
- 「介護転職エージェント」
プロのアドバイザーがあなたの希望する職場を無料で紹介してくれます。 - 「介護求人サイト」
介護求人のみが掲載されているので見やすく気に入った求人に自分で応募します。
転職エージェントは各介護施設や事業所の内部情報を把握していますので、紹介してくれる職場は「人間関係が良い」「高給与」「好待遇」なところが多いです。
▼「介護転職エージェント」人間関係が良く高給与の介護求人を無料で探してもらう
▼「介護求人サイト」自分で介護求人探して応募する
50代未経験で介護に転職する3つの注意点
【注意点①】介護職に就く目的は
採用する側からすると「他に仕事がないから」「誰でも入れそうだったから」という理由で来る人よりも、前向きに介護に取り組む意欲のある人を採用したいと考えています。
高齢者の命を預かり、残りの人生をより良く過ごすお手伝いをする仕事なので、そのために働くという心構えは必要ですし、面接でもその点は問われることでしょう。
人のために働くことに喜びを感じるような適性が、自分にあるかどうかを改めて考えて、転職に臨みましょう。
【注意点②】職場の年齢構成に注意
転職先を選ぶときには、求人やHPなどから、または施設見学や面接時などに、職員の年齢構成も確認します。
若い職員ばかりの職場だと、その仕事ぶりに体力的にもついていけないことがあり、かといって、年代の高いベテランばかりという職場も、もしかしたら若い職員がすぐ辞めてしまうような理由があるのかもしれません。
広い年代の職員がバランスよく居るようだと、どの年代も働きやすい職場と考えられます。
【注意点③】自分の経験・キャリアに固執しないこと
転職の面接等で、また転職したあとでも、これまでの社会経験が長く前職ではある程度の地位にあった50代では、自分の経験に固執し新たな職場に自分から馴染もうという努力ができなかったり、部下や家族に接するような上から目線になってしまう男性もいるようです。
転職するからには、その職場では一番下の立場になることはわきまえて、教えてもらう、自分から学ぶという姿勢でいたいものです。
介護職の資格の種類
介護職の代表的な3つの資格をご紹介します。
そのほか介護の資格はまだまだたくさんありますのでご覧ください。
参考 介護資格一覧表【22選】|種類・難易度・通信通学講座料金・受験資格・期間を比較
介護職の施設の種類
介護の施設・事業所には次のようなものがあります。
介護の仕事は職場によってそれぞれメリット・デメリットがありますので、仕事内容や一日の流れ、給料などをチェックしてみましょう。
介護施設一覧 | |
高齢者施設 | ・特別養護老人ホーム(特養) ・介護老人保健施設(老健) ・介護療養型医療施設 ・サービス付き高齢者向け住宅 ・介護付有料老人ホーム ・認知症対応型グループホーム |
通所型事業所 | ・デイサービス(通所介護) ・小規模多機能型居宅介護 |
訪問介護事業所 | ・訪問介護 |
障害者施設 | ・障害者施設 |
おわりに
50代で未経験の介護職を始めた人には、リストラなど人生の大きなできごとをきっかけに転職してきたという人もいます。
多くの人生経験を経ているからこそ、高齢者に寄り添った介護をできるのが50代の強みともいえるので、これから転職を考えている方は自信をもってチャレンジしてみてください。
- 参考 介護転職の流れ
- 参考 履歴書の書き方
- 参考 面接の服装・身だしなみ
- 参考 面接の退職理由【例文あり】
- 参考 面接の志望動機【例文あり】
- 参考 円満退職するまでの流れ